最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~
第214話 【ダンジョンに侵入】
<<マサル共和国冒険者ギルド長グリル視点>>
マサル様の御子息ランス様の案内で、ダンジョンに到着した。
ランス様はまだ子供だ。10歳くらいだろうか。
あの英雄マサル様の御子息なのだから、利発なのは間違いないだろう。
10歳とは思わない方がいいだろう。
「ここが見つけたダンジョンです。
中に大きなモグラの魔物が何匹もいました。
モグラ達は僕が仕留めましたが、まだ奥に魔物が潜んでいる可能性があります。
気をつけて下さいね。」
ランス様が話す。
やはり利発そうだ。
モグラの魔物を仕留めたと言う。
まさか1人ではあるまい。
誰かお付きの者が仕留めたに違いない。
今回3国から選りすぐりの冒険者を集めて来たんだ。
そんなお付きの者と一緒にしないでもらいたい。
「ランス様、我々は全員最低でも15年以上、冒険者として活動しております。
ご安心下さい。」
少し笑みを浮かべながら大人の対応を心掛ける。
後ろで笑っている奴等、国王陛下の御子息の前なのだから、恥をかかせるような真似をするなよ。
「ごめんなさい。皆さんの強さを信頼しています。」
おっ、ランス様の方が大人の対応か!
「いえいえ、大船に乗った気持ちでお待ち下さい。
さあ皆んな、下に降りる準備をするんだ。」
やはり、熟練者を集めた甲斐があった。
ロープを木に括る者、降りるのに必要な荷物を分けて担ぐ者、探索に必要な武器や魔道具を皆に分ける者等、何も言わなくても役割分担をして自然と動けている。
『どうだ!一流の冒険者の手際は。』
俺はランス様の驚く顔を見ようと顔を向けた。
ランス様は意外そうな顔を見せている。
少し困惑して、俺に語りかけた。
「飛んで降りないのですか?
こんな風にです。」
「えっ、えーーー」
ランス様はふわっと浮き上がると、そのまま穴に入って行った。
<<ランス視点>>
僕は魔法を使って穴に飛び込んだ。
ライトの魔法で辺りを照らす。
壁に異常が無いか、注意深くゆっくりと降りていると、上からロープをたぐってグリルさんが降りてきた。
結構早い。さすが熟練者だなぁと感心した。
僕の横まで降りてきたグリルさんは、ゼイゼイ言いながら息を整えている。
「ランス様、驚きました。ランス様も『飛翔』が使えるのですね。
さすがは救国の英雄マサル様の御子息。
ランス様のお爺様に当たる我等の大先輩ライアン様も、『飛翔』を使えたと聞いておりますから、やはり血筋ですかな。」
ちなみに『飛翔』とは、冒険者用語で、空を飛ぶ魔法の総称らしい。
「グリルさん達は『飛翔』を使われないのですか?」
「エルフや魔族の血を受け継いでいると言われる一族には使える者もいるようですが、せいぜい100メートル程度を跳べるくらいの能力です。
それでも、実際の戦闘においては無類の強さになりますが。
こういった穴は深さが分からないため、使用出来ません。
ランス様は、魔法で浮かんでおられるのですよね。
こんな『飛翔』は初めて見ました。」
たしかに、空を飛ぶ時は姿を隠していることが多いから気付かれていないんだろうね。
「ナーカ教国や亜人大陸では、空を飛べる人達を何人か見かけましたよ。」
「ランス様はナーカ教国や亜人大陸にも行かれたことがあるのですか?」
「ええ、ナーカ教国は行政改革の時に。
亜人大陸は、いちおう親善大使でしたから。」
「素晴らしい。是非冒険者登録して頂けませんでしょうか?」
「考えさせて下さい。」
まだ9歳の子供を勧誘するなよなぁ、って思いながら、先を進むと穴の底に到着した。
しばらく待っていると、冒険者の皆さんが全員降りてこられた。
穴の底は意外と広い。
前回来た時にも確認したが、半径30メートルくらいはありそうだ。
光が全く入ってこないため、ライトの魔法を大きくして前方に浮かせる。
「さあ、横穴に入っていきましょう。」
「まったく、あの魔法は便利なものだな。火魔法のように熱くない。
それに、こういう閉鎖された洞窟の中で火魔法を使うと、気分が悪くなったり、ひどい時には気絶したりするからあまり使えないんだよな。」
年配の冒険者の1人がつぶやいている。
お父様が前に言っていた『酸素欠乏』の事なんだろうな。
火魔法は大量の魔素と『酸素』を使う。『酸素』が減ると息苦しくなったり、気を失ったり、最悪死ぬこともあるってお父様が言っていた。
『酸素』と言うのが、もうひとつよくわからないんだけど、魔素と同じようにどこにでもあるものらしい。
狭い空間に行くと『酸素』がなかなか入ってこなくて、火魔法で消費してしまうと人間が日常生活で使う分が足りなくなるらしい。
だから狭い空間では火魔法を多用しないように注意されていたんだ。
こんな知識は学校でも教えてくれない。
ただ冒険者の人達は、自分や過去の先輩達の経験を元に知っているのだと思う。
お母様もお父様から、この話しを一緒に聞いていた時に驚いていたから、多分アカデミーでも習わないんだろうね。
お父様って本当に物知りなんだよね。
          
マサル様の御子息ランス様の案内で、ダンジョンに到着した。
ランス様はまだ子供だ。10歳くらいだろうか。
あの英雄マサル様の御子息なのだから、利発なのは間違いないだろう。
10歳とは思わない方がいいだろう。
「ここが見つけたダンジョンです。
中に大きなモグラの魔物が何匹もいました。
モグラ達は僕が仕留めましたが、まだ奥に魔物が潜んでいる可能性があります。
気をつけて下さいね。」
ランス様が話す。
やはり利発そうだ。
モグラの魔物を仕留めたと言う。
まさか1人ではあるまい。
誰かお付きの者が仕留めたに違いない。
今回3国から選りすぐりの冒険者を集めて来たんだ。
そんなお付きの者と一緒にしないでもらいたい。
「ランス様、我々は全員最低でも15年以上、冒険者として活動しております。
ご安心下さい。」
少し笑みを浮かべながら大人の対応を心掛ける。
後ろで笑っている奴等、国王陛下の御子息の前なのだから、恥をかかせるような真似をするなよ。
「ごめんなさい。皆さんの強さを信頼しています。」
おっ、ランス様の方が大人の対応か!
「いえいえ、大船に乗った気持ちでお待ち下さい。
さあ皆んな、下に降りる準備をするんだ。」
やはり、熟練者を集めた甲斐があった。
ロープを木に括る者、降りるのに必要な荷物を分けて担ぐ者、探索に必要な武器や魔道具を皆に分ける者等、何も言わなくても役割分担をして自然と動けている。
『どうだ!一流の冒険者の手際は。』
俺はランス様の驚く顔を見ようと顔を向けた。
ランス様は意外そうな顔を見せている。
少し困惑して、俺に語りかけた。
「飛んで降りないのですか?
こんな風にです。」
「えっ、えーーー」
ランス様はふわっと浮き上がると、そのまま穴に入って行った。
<<ランス視点>>
僕は魔法を使って穴に飛び込んだ。
ライトの魔法で辺りを照らす。
壁に異常が無いか、注意深くゆっくりと降りていると、上からロープをたぐってグリルさんが降りてきた。
結構早い。さすが熟練者だなぁと感心した。
僕の横まで降りてきたグリルさんは、ゼイゼイ言いながら息を整えている。
「ランス様、驚きました。ランス様も『飛翔』が使えるのですね。
さすがは救国の英雄マサル様の御子息。
ランス様のお爺様に当たる我等の大先輩ライアン様も、『飛翔』を使えたと聞いておりますから、やはり血筋ですかな。」
ちなみに『飛翔』とは、冒険者用語で、空を飛ぶ魔法の総称らしい。
「グリルさん達は『飛翔』を使われないのですか?」
「エルフや魔族の血を受け継いでいると言われる一族には使える者もいるようですが、せいぜい100メートル程度を跳べるくらいの能力です。
それでも、実際の戦闘においては無類の強さになりますが。
こういった穴は深さが分からないため、使用出来ません。
ランス様は、魔法で浮かんでおられるのですよね。
こんな『飛翔』は初めて見ました。」
たしかに、空を飛ぶ時は姿を隠していることが多いから気付かれていないんだろうね。
「ナーカ教国や亜人大陸では、空を飛べる人達を何人か見かけましたよ。」
「ランス様はナーカ教国や亜人大陸にも行かれたことがあるのですか?」
「ええ、ナーカ教国は行政改革の時に。
亜人大陸は、いちおう親善大使でしたから。」
「素晴らしい。是非冒険者登録して頂けませんでしょうか?」
「考えさせて下さい。」
まだ9歳の子供を勧誘するなよなぁ、って思いながら、先を進むと穴の底に到着した。
しばらく待っていると、冒険者の皆さんが全員降りてこられた。
穴の底は意外と広い。
前回来た時にも確認したが、半径30メートルくらいはありそうだ。
光が全く入ってこないため、ライトの魔法を大きくして前方に浮かせる。
「さあ、横穴に入っていきましょう。」
「まったく、あの魔法は便利なものだな。火魔法のように熱くない。
それに、こういう閉鎖された洞窟の中で火魔法を使うと、気分が悪くなったり、ひどい時には気絶したりするからあまり使えないんだよな。」
年配の冒険者の1人がつぶやいている。
お父様が前に言っていた『酸素欠乏』の事なんだろうな。
火魔法は大量の魔素と『酸素』を使う。『酸素』が減ると息苦しくなったり、気を失ったり、最悪死ぬこともあるってお父様が言っていた。
『酸素』と言うのが、もうひとつよくわからないんだけど、魔素と同じようにどこにでもあるものらしい。
狭い空間に行くと『酸素』がなかなか入ってこなくて、火魔法で消費してしまうと人間が日常生活で使う分が足りなくなるらしい。
だから狭い空間では火魔法を多用しないように注意されていたんだ。
こんな知識は学校でも教えてくれない。
ただ冒険者の人達は、自分や過去の先輩達の経験を元に知っているのだと思う。
お母様もお父様から、この話しを一緒に聞いていた時に驚いていたから、多分アカデミーでも習わないんだろうね。
お父様って本当に物知りなんだよね。
          
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