最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~
第151話 【ヤライの防衛強化1】
<<マサル視点>>
「856429っと。」
カーン殿に魔道具の設置許可をもらい、魔道具の設置を終えた。
「カーン殿、とりあえずスパ二に対する防衛ラインを強化しましょう。
今から向こうに戻って、こちらの防衛強化するための準備をして来ます。
それからルソン殿をこちらに連れてきますので、ヤコブ領との折衝をお願いします。」
俺は、そう言うと魔道具を起動してナーラの屋敷の地下室へ移動した。
リビングに入ると、デカさんとルソン殿がいた。
「ルソン殿、今からヤライまで行きましょう。」
「今から……ですか?」
「そうです、すぐですよ。
さあ行きましょう。」
俺は戸惑うルソン殿の手を引いて地下室に降りる。
魔道具を起動すると光が広がり、消えるとそこはカーン殿の屋敷の地下室だ。
地下室から上に上がると、カーン殿が待っていた。
「カーン殿、ルソン殿を連れて来ました。
ルソン殿への説明と、ヤコブ族とのことよろしくお願いします。
あっ、それとトランシーバーを置いて置きますので、何かあれば連絡下さい。」
トランシーバーの使い方を説明して、俺はナーラに戻った。
リビングに入ると、デカさんの目が点になっている。
「…………あっそうか、王都からこちらまでに使った魔道具でヤライまで行かれたのでね。
ヤライから1ヶ月以上かかる大変な旅だったのに。………」
なんだか凄く悔しそうな顔をしている。
「デカさん、追っ手の正体がなんとなく分かりました。
たぶんスパ二族の間者ではないかと思います。
心当たりはありませんか?」
デカさんは少し考え込みます。
「そういえば、いつも襲われるのは夜です。
わたし達は夜の警戒を強化していたので、船の中で襲うのであれば、他の客が多く、警備が手薄になりがちな昼の方が向いていたと思います。スパ二族の間者であれば蝙蝠人が中心なので、夜に活動が偏るのも肯けます。」
「もしかして、王都で襲われたのは、夜明け直前だったのでは?」
「その通りです。湖に朝日が薄ら見えてくる頃でした。
あっ、夜が明けたから、追跡を逃れることが出来たということでしょうか!」
「推測の域は出ませんが、恐らく間違いないでしょう。」
<<カーン視点>>
昨日、ジャボ大陸から来たと言う若者が西の砦に現れた。
キンコー王国のマサル・カトウと名乗ったらしい。
デカのことで話しがあると言う。
確かにデカは3ヶ月前にジャボ大陸にいるルソン殿を頼って出発した。
デカに何かあったに違いない。
すぐにでも話しを聞きたい。
西の砦を担当しているアル隊長にここに連れて来るように指示しようとして躊躇した。
「アル、間違いなくマサル・カトウと言ったか?」
「はい、間違いありません。
定かではありませんが、一部の守備兵からは、空から降りて来たと言う噂も聞きましたので、スパ二族かとも思いましたが、精霊鑑定術で人族と判定されましたので、カーン様に報告に参りました。」
「空からか。」
デカが出てから2ヶ月が経つが、デカがジャボ大陸に着いてからすぐに船の手配をしてこちらに着いたとしても3ヶ月は掛かるだろう。
空を飛んで来たと考えなければ、人族がここにたどり着けるはずがない。
そうなると、空を飛ぶ魔法を使える人族か、マサル・カトウか、うん? マサル!
そういえば、ルソン殿からの情報にそんな名前があった。
ジャボ大陸に突然現れ、10年足らずで大陸全体の改革を推進し、大陸内にある全ての国をまとめて強固な連合関係を構築した男。
巨大隕石の衝突を未然に防ぎこの世界を救った救国の英雄『マサル・カトウ』か!!
彼は確かキンコー王国から公爵位を授かったと報告にあったはずだ。
「アル。たぶんその者は『ジャボ大陸の救国の英雄』マサル殿だ。分かるか?」
「はっ、そういえば、ジャボ大陸の報告書にあったマサル殿ですね。
確か今はカトウ公爵と呼ばれていたかと。」
「恐らくそうだろう。悪いがすぐに戻って、急いでお連れしてくれ。」
「はっ、承知しました。」
アルが扉から出て行った。
しかし、本物のカトウ公爵がデカの情報を持って来たというのもおかしな話しだ。
デカの身に何があったのだろうか。
しばらくして、アルがカトウ公爵と思われる人族を連れて来た。
精霊鑑定術で確認したが間違いなくカトウ公爵であった。
その後の話しで、デカがスパ二族に狙われたことやカトウ公爵が保護して下さっていること、ルソン殿を連れて来て頂けること等、話しが進んだ。
降って湧いたような話しばかりであるが、閉塞感に囚われていた現状を考えると非常にありがたい。
しばらくすると、執務室の扉がノックされた。
「入れ。」
開かれた扉からアルと青年が入って来た。
挨拶を終え、話しをすると聞いていたカトウ公爵像と一致した。
マサル殿は、デカの安全を確保してくれること、ルソン殿をこちらに連れて来ることを、よくわからない魔道具を使って話している。
話し終えたマサル殿は、わたしに向かって我が国の防衛強化について話し出した。
「スパ二とロンドーの双方から圧力をかけられていると聞いています。」
「スパ二は一部衝突が始まっています。
ロンドーは今のところ様子見ですが、スパ二との本格的な戦いになると、漁夫の利を狙うでしょうな。」
「分かりました。それではスパ二側に防衛ラインを構築し、防衛強化を図りましょう。
準備をするために、わたしは一旦戻ります。」
マサル殿はそう言うと、先程我が屋敷の地下室に設置した魔道具に触れた途端に光と共に消えた。
「856429っと。」
カーン殿に魔道具の設置許可をもらい、魔道具の設置を終えた。
「カーン殿、とりあえずスパ二に対する防衛ラインを強化しましょう。
今から向こうに戻って、こちらの防衛強化するための準備をして来ます。
それからルソン殿をこちらに連れてきますので、ヤコブ領との折衝をお願いします。」
俺は、そう言うと魔道具を起動してナーラの屋敷の地下室へ移動した。
リビングに入ると、デカさんとルソン殿がいた。
「ルソン殿、今からヤライまで行きましょう。」
「今から……ですか?」
「そうです、すぐですよ。
さあ行きましょう。」
俺は戸惑うルソン殿の手を引いて地下室に降りる。
魔道具を起動すると光が広がり、消えるとそこはカーン殿の屋敷の地下室だ。
地下室から上に上がると、カーン殿が待っていた。
「カーン殿、ルソン殿を連れて来ました。
ルソン殿への説明と、ヤコブ族とのことよろしくお願いします。
あっ、それとトランシーバーを置いて置きますので、何かあれば連絡下さい。」
トランシーバーの使い方を説明して、俺はナーラに戻った。
リビングに入ると、デカさんの目が点になっている。
「…………あっそうか、王都からこちらまでに使った魔道具でヤライまで行かれたのでね。
ヤライから1ヶ月以上かかる大変な旅だったのに。………」
なんだか凄く悔しそうな顔をしている。
「デカさん、追っ手の正体がなんとなく分かりました。
たぶんスパ二族の間者ではないかと思います。
心当たりはありませんか?」
デカさんは少し考え込みます。
「そういえば、いつも襲われるのは夜です。
わたし達は夜の警戒を強化していたので、船の中で襲うのであれば、他の客が多く、警備が手薄になりがちな昼の方が向いていたと思います。スパ二族の間者であれば蝙蝠人が中心なので、夜に活動が偏るのも肯けます。」
「もしかして、王都で襲われたのは、夜明け直前だったのでは?」
「その通りです。湖に朝日が薄ら見えてくる頃でした。
あっ、夜が明けたから、追跡を逃れることが出来たということでしょうか!」
「推測の域は出ませんが、恐らく間違いないでしょう。」
<<カーン視点>>
昨日、ジャボ大陸から来たと言う若者が西の砦に現れた。
キンコー王国のマサル・カトウと名乗ったらしい。
デカのことで話しがあると言う。
確かにデカは3ヶ月前にジャボ大陸にいるルソン殿を頼って出発した。
デカに何かあったに違いない。
すぐにでも話しを聞きたい。
西の砦を担当しているアル隊長にここに連れて来るように指示しようとして躊躇した。
「アル、間違いなくマサル・カトウと言ったか?」
「はい、間違いありません。
定かではありませんが、一部の守備兵からは、空から降りて来たと言う噂も聞きましたので、スパ二族かとも思いましたが、精霊鑑定術で人族と判定されましたので、カーン様に報告に参りました。」
「空からか。」
デカが出てから2ヶ月が経つが、デカがジャボ大陸に着いてからすぐに船の手配をしてこちらに着いたとしても3ヶ月は掛かるだろう。
空を飛んで来たと考えなければ、人族がここにたどり着けるはずがない。
そうなると、空を飛ぶ魔法を使える人族か、マサル・カトウか、うん? マサル!
そういえば、ルソン殿からの情報にそんな名前があった。
ジャボ大陸に突然現れ、10年足らずで大陸全体の改革を推進し、大陸内にある全ての国をまとめて強固な連合関係を構築した男。
巨大隕石の衝突を未然に防ぎこの世界を救った救国の英雄『マサル・カトウ』か!!
彼は確かキンコー王国から公爵位を授かったと報告にあったはずだ。
「アル。たぶんその者は『ジャボ大陸の救国の英雄』マサル殿だ。分かるか?」
「はっ、そういえば、ジャボ大陸の報告書にあったマサル殿ですね。
確か今はカトウ公爵と呼ばれていたかと。」
「恐らくそうだろう。悪いがすぐに戻って、急いでお連れしてくれ。」
「はっ、承知しました。」
アルが扉から出て行った。
しかし、本物のカトウ公爵がデカの情報を持って来たというのもおかしな話しだ。
デカの身に何があったのだろうか。
しばらくして、アルがカトウ公爵と思われる人族を連れて来た。
精霊鑑定術で確認したが間違いなくカトウ公爵であった。
その後の話しで、デカがスパ二族に狙われたことやカトウ公爵が保護して下さっていること、ルソン殿を連れて来て頂けること等、話しが進んだ。
降って湧いたような話しばかりであるが、閉塞感に囚われていた現状を考えると非常にありがたい。
しばらくすると、執務室の扉がノックされた。
「入れ。」
開かれた扉からアルと青年が入って来た。
挨拶を終え、話しをすると聞いていたカトウ公爵像と一致した。
マサル殿は、デカの安全を確保してくれること、ルソン殿をこちらに連れて来ることを、よくわからない魔道具を使って話している。
話し終えたマサル殿は、わたしに向かって我が国の防衛強化について話し出した。
「スパ二とロンドーの双方から圧力をかけられていると聞いています。」
「スパ二は一部衝突が始まっています。
ロンドーは今のところ様子見ですが、スパ二との本格的な戦いになると、漁夫の利を狙うでしょうな。」
「分かりました。それではスパ二側に防衛ラインを構築し、防衛強化を図りましょう。
準備をするために、わたしは一旦戻ります。」
マサル殿はそう言うと、先程我が屋敷の地下室に設置した魔道具に触れた途端に光と共に消えた。
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