最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

マーくん

第126話【友達って多い方が楽しいよね】

<<サンズ子爵息女リアン視点>>
入学式の日、わたしはひどく緊張していたのです。
小さい頃から病弱で屋敷から出たことなかったから。

5歳になって体力がついたからって、お父様が小学校に行くことを許可して下さったの。

でもね、1人じゃ心配だからって侍女のランの息子のレスリーが一緒に入学することになったのです。

レスリーの家は騎士爵でお父様は王都の防衛の任に着いておられるとか。

レスリーとはランを介して何回も会っているから、わたしにとっては、唯一の友達なの。

小学校に行くのは少し怖いけど、レスリーが一緒だから大丈夫だと思います。


馬車が学校の門をくぐり馬車置き場に着きました。

広い馬車置き場の真ん中辺りかな。

馬車の中から、外を見ると両親に手を引かれた同い年くらいの子供達がたくさんいます。

お父様やお母様は、他の貴族達に挨拶に行ってしまったけど、今日は風が冷たいからって、わたしは馬車で待っています。

レスリーも友達を見つけたらしく、そちらに行っちゃった。

「リアン様、ちょっと外へ出れますか?」
「レスリー、学校ではリアンって呼んでって言ったでしょう。
わたし達友達なんだから。」

「リアン、外に面白い奴がいるんだ。
一緒に友達になろうよ。」

レスリーが誘ってくれました。

わたしが馬車から降りると、そこには1人の男の子がいました。

綺麗な顔をした男の子です。

「僕はランスです。友達になって下さい。」

その男の子は、ここに来るまでにいろんな子に声を掛けていたみたいで、少しづつランス君の元に男の子達が集まってきています。

「あっ、女の子だ。妹のイリヤも友達になってくれますか?」

綺麗な顔に満面の笑みを浮かべられて問われると、自然笑顔になって頷いてしまう。

「はい。」

「良かった。イリヤ!こっちに来れる?
女の子のお友達ができたんだ。」

その声が聞こえる範囲には女の子はわたしだけしかいません。
誰と話してるんだろう。

わたしの不思議そうな顔を見て、ランス君は言います。

「妹のイリヤとは、双子だからかもしれないけど、念話で会話が出来るんだ。」

ランス様の言うことは良くわかりませんが、ランス様の方にランス様とはまた違った可愛さの女の子が駆け寄ってきました。

「イリヤ、この男の子がレスリー君で、こっちの女の子は、リアンちゃんって言うんだ。

リアンちゃんがお友達になってくれるって。良かったね。」

そのイリヤという可愛い女の子は、わたしに向かってペコリと頭を下げて、『ありがとう。』って。

わたしも、向こうから友達が来てくれたのが嬉しくて、差し出された手をとって握手したんです。

その姿を見ていたのか、お父様とお母様が戻って来ました。

「リアン、お友達が出来たのかい?」

「リアンちゃんのお父様ですか?

僕はランスと言います。
こっちは双子の妹のイリヤです。

今リアンちゃんとレスリー君に友達になってもらいました。

一緒に他の友達を探しに行こうと思うんですけど、一緒に行っていいですか?」

「ランス君、よろしくお願いするね。」

「はい、じゃレスリー君、リアンちゃん、イリヤ、あそこの馬車まで競争だ。」

そうランス様が言うと、ランス様とレスリー達は、走って行きました。

「リアンちゃん、ごめんね。
お兄ちゃんっていつもあんな感じなの。

気にしないでね。

わたし達も他のお友達を探しにいきましょうか。」

イリヤちゃんは、お父様とお母様にペコリと頭を下げるとわたしに手を差し出します。

わたしはその手をとって、イリヤちゃんと、ランス君達の方へ歩いて行きました。



<<レスリー視点>>
俺の名はレスリー・ムーン。
お父様は、キンコー王国騎士団の誇り高き騎士だ。

お母様は、サンズ子爵様のお屋敷で、リアンお嬢様の侍女をしている。

お父様は、遠征や夜番なんかで家に居ないことが多いし、お母様も昼間はサンズ様のお屋敷にいるから、小さい頃からお爺様とお婆様と一緒にいることが多かった。

ちょっと寂しい時もあったけど、お爺様が剣術を教えてくれたので、楽しい毎日だったんだ。

5歳になって、小学校に通うことになった。

俺は騎士になるから勉強なんか要らないと思っていたんだけど、騎士になるには勉強できなくっちゃダメってお爺様に言われたから、しょうがないんだ。

ちょうど、リアン様も小学校に入学するから、学校での護衛ということでリアン様と一緒に通うことになったんだ。

リアン様ってすごく可愛いんだぜ。

顔もしぐさもそうだけど、少し病弱で儚そうなところが、なんとも言えないんだ。

初めて会った時から俺が守ってやるんだって決めていた。

入学式の日、リアン様の馬車に乗って学校に着いた。

子爵様達が馬車から降りて、他の貴族の方達と挨拶をしている。

馬車の中には、リアン様とお付きのメイド、俺の3人だけ。

俺は窓から外を見ると見知った顔があった。

お父様のお友達の子供で近所のアルクだ。

アルクは馬車の中の俺を見つけ、手を振っている。

その様子を見ていたリアン様が、『お友達のところへ行ってきたら』って言ってくれた。

俺は、ちょっと躊躇ったけど、メイドさんも頷いてくれたから、馬車を降りて、アルクのところへ行ったんだ。

アルクと話していると、知らない奴がやって来た。

ランスと名乗るそいつは、俺達と友達になりたいって言ってきた。

俺も友達がいっぱい欲しいから、ランスと友達になることにした。

俺とアルクが、友達になるって言うと、ランスはとっても楽しそうな顔をするんで、俺も楽しくなった。

「他にも友達を探しに行こうよ。」
ランスが言うので、ランスとアルクをリアン様のところへ連れて行った。

ランスはリアン様にも躊躇なく友達になろうって言う。

そして、リアン様に妹を紹介している。
ランスの妹イリヤちゃんは、リアン様の次くらいに可愛いと思う女の子だった。

リアン様も嬉しそうだったので、紹介して良かった。

その後、ランスはリアン様とイリヤちゃんも誘って新しい友達を探しに行こうって言う。

ちょうどサンズ子爵様が馬車に戻って来られたので、ランスは『リアン様が一緒に行っても良いか』確認している。
子爵様の笑顔に皆んな嬉しくなって、俺達は、近くの馬車に走り出したんだ。

小学校が楽しくなりそうだぜ。

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