最強王子の無双譚〜暗殺者の僕が転生したら王子に生まれ変わったのだが、ステータスを前世から引き継いだので王子だが暗殺者として無双する〜
7.執着心
僕はスィーの家の前に立ったとき、スィーたち家族ともう二人の気配を感じた。
しかし、そのもう二人の方はピリピリと殺気立っている。スィーもその殺気に対して凍てつくような殺気を放出しているのが分かる。
僕は目を細めた。
この場合はどうするべきだろうか。
男としてかっこ良く助けるべきか、それとも、か弱いひょろひょろ王子として助けられるべきか。…でもなぁ……。
家の前でくよくよ迷っていても仕方ないので取り敢えず家の中に入っちゃう。
「只今戻りましたー!」
と元気よく叫びながら。
すると、パン屋の隅っこに固まっているリーナティアが咄嗟に叫んだ。
「殿下!お逃げくださいませ!!」
父と母を庇ってい、レイピアを構えているスィーも顔色を青ざめる。
その瞬間、スィーと対峙していた男たちの一人がこちらを勢いよく振り向いた。
その大部分が黒い布で覆われている顔を見て僕は目をぱちぱちと瞬きさせる。
「あれ?バグローグス公爵じゃないですか。ここで何をなさっておいでで?」
唯一見える目をぱちくりと瞬かせる男。
スィーは僕を見てキョトンとした。
「あれ?今日は公務だって父から聞いていたんですが…。」
いかにもデュラの父であることを確信しているような言葉。
男は困惑の表情を隠せない。
その目は言ってる。
「え?なんでバレた?」
と。
この世界よりも治安がよく、防犯対策も十分しっかりしていた地球の中で最強と呼ばれた「兵器」であった僕は目元を見ただけで誰なのかをはっきりと見極めることができた。
それは前世と同じステータスだからこそできることであるか。
「えーと、ここにデュラは居ませんよ。バグローグス公爵。」
名前をはっきりと呼ばれたバグローグスは狼狽えている。
それを見て僕はクスリと笑う。
「そんなに慌てちゃって。良いですよ、バレてますから。どうせ、自分の地位を築き上げるためにスィーを殺してあなたの孫娘などを押し付ける予定だったんでしょうけど…。」
ビクリ、とバグローグスの体が大きく震える。
うん。これだから金持ち…もとい貴族はやりやすい。
「あなたの孫娘さんのスィーへの嫉妬は凄まじかったですからねぇ〜。スィーの事を『魔法にしか能のない魔力貯蔵庫』とも呼んでたみたいですし〜?ってかなんか僕のことを付け回したりして、はた迷惑でしたけどー。」
嫌がらせなのだろうか。
スィーへの陰口と僕への付きまとい。全く、世の中にはとんだお嬢さんもいたものだ。
確か…バグロークスの孫は僕より3歳下の7歳。
結婚していないデュラに代わって、弟のジュラが次期当主として自分の娘…ミレイ・バグローグスを育てている。
僕はニッコリと笑うと優しく笑いかける。
「僕の婚約者を殺そうとした罪は結構重いですよ?」
言ってることは結構きつい事だが。
まぁ、殺人自体が結構サイコパスだからそれよりはサイコパス度は低いと思うけど…。
あ、でも肉体的な苦痛よりも精神的な苦痛のほうが残りやすいと僕は思ってるから結構僕ってサイコパスなのかも…。
まぁいいや。僕、暗殺してるし?そう考えれば常人よりサイコパスなのかもね。
そんなこの世界の人に通用しないであろう考えを頭の中で展開している僕に対してバグロークスは冷や汗をダラダラと流している。
まさか王子を殺すわけにもいかず、かと言って自分の正体を知ってしまった者を生かしておくわけにはいかず。
こんな状況にさせようとした、というふうにしか思えないのだ。
それに、わざわざこの時にスィーを狙おうとすることもどう考えても不自然だ。
スィーの警備が手薄な学校から帰って来たときに殺ろうとした方が良かったろうに。
僕の本性を知ってるのは義父とデュラのみ。
しかし、王宮内でそのことを知ってしまった誰かが彼らを動かして僕を殺そうと仕組んたとしたら?
僕は鼻で笑う。
その人物は心当たりがある。
僕を疎ましく思っており、殺したいと思っているだろう人物を。
我が義兄、ユイン・ファンタジスタである。
ユインは僕の婚約者であるスィーファリアに相当執着している。
僕と婚約を結んていない頃、ユインは「俺はスィーと結婚する!」と床の上で元気よく宣言していたのをよく覚えている。
しかし、当のスィーは王宮に遊びに来ても僕にばかりチョロチョロと付きまとい、ユインには近づこうとしなかったのだ。
スィーはその理由を、「目が怖いから」と言っていた。
その時、僕は5歳でユインは7歳、スィーは4歳であった。
子供のカンというべきなのか、僕がおかしいのか分からなかったが、目が怖かったらしい。
確かに今考えればスィーを見たときのユインの目はギラギラと執着心に彩られ、異常に明るかった。
それが怖かったのだろうか。
しかし、ユインの夢は崩れてしまった。
僕がスィーと婚約を結んでしまったのだ。
僕がスィーへ婚約を真っ赤な顔でどもりながら提案し、それを聞いたスィーが、キラキラと碧く光る目を大きく広げ、抱きつきながらそれを承諾したという流れであったか。
腰まで伸びる艷やかな金髪と、大きくサファイアの様な美しい碧い瞳。それが更にスィーの美しさを引き立てている。
そんな美しい髪の毛の中に一房、ピンク色の髪の毛が混じっている。
それに対して僕はただでさえ女顔なのにそれに追い打ちをかけるような水色の、しかもどういう原理かは全くわからないが毛先にかけて色が薄くなっている。前髪は長く伸び、後ろ髪も最近全く切っていないため、もうすぐで肩につきそうだ。
そんな僕とスィーが合う訳はないと思っているが、スィーは僕のことを5年たった今でも好いてくれていた。
はっきり言うとイケメン度ならユインのほうが上だ。
噂では病弱なユインが表で見せる優しい微笑みと穏やかな口調に恋心をもつ女性たちもいたというほどなのだ。
裏表がこれほど激しい男は初めて見た。 どこか新鮮な感じすら覚えたほどだ。
そんな彼が…義兄が公爵を動かし、「成功すればお前の血縁をレインに嫁がせてやる」と言ってスィーの殺害を依頼し彼女を庇った僕を殺す。それがおそらくシナリオだろう。
まぁ、それでも簡単に殺されないけどね。
「僕を殺そうとするのならとことん付き合ってあげますよ…義兄上。」
そう小さく呟いた僕は、いつの間にか堪え切れないほどの怒りを覚えていた。
僕を殺すためにスィーを巻き込んだことや、今更帰り道に感じた殺気のことを思い出したそんな自分に対しての怒りだ。
僕は昔と違う。
僕は僕のために暗殺をする。
他人のためではない。
僕はアレクサンドロス大王の血を受けた者。その生まれ変わりとも言えよう。
数々の命を撒き散らし、また守った彼の生まれ変わりならば、僕もそうでなくてはならない。
この世界で初めて彼を出現させる。
僕は目を瞑り、大きく深呼吸をする。
そして、ゆっくりと目を開くーー
「私を怒らせたんですからら覚悟ぐらいできてますよね?」
開口一言、そう言った。
そう、私こそがA-702の本性。暗殺者の最高実力者だ。
私は兵器。兵器には感情はいらない。
人を殺す。そのために生まれてきた物。
私は殺気にあてられてのか、カタカタと震えている男を見た。
「さぁてと、It's show timeと行きますかね。」
殺戮の喜びに満ちた赤い瞳がランランと光る。
しかし、そのもう二人の方はピリピリと殺気立っている。スィーもその殺気に対して凍てつくような殺気を放出しているのが分かる。
僕は目を細めた。
この場合はどうするべきだろうか。
男としてかっこ良く助けるべきか、それとも、か弱いひょろひょろ王子として助けられるべきか。…でもなぁ……。
家の前でくよくよ迷っていても仕方ないので取り敢えず家の中に入っちゃう。
「只今戻りましたー!」
と元気よく叫びながら。
すると、パン屋の隅っこに固まっているリーナティアが咄嗟に叫んだ。
「殿下!お逃げくださいませ!!」
父と母を庇ってい、レイピアを構えているスィーも顔色を青ざめる。
その瞬間、スィーと対峙していた男たちの一人がこちらを勢いよく振り向いた。
その大部分が黒い布で覆われている顔を見て僕は目をぱちぱちと瞬きさせる。
「あれ?バグローグス公爵じゃないですか。ここで何をなさっておいでで?」
唯一見える目をぱちくりと瞬かせる男。
スィーは僕を見てキョトンとした。
「あれ?今日は公務だって父から聞いていたんですが…。」
いかにもデュラの父であることを確信しているような言葉。
男は困惑の表情を隠せない。
その目は言ってる。
「え?なんでバレた?」
と。
この世界よりも治安がよく、防犯対策も十分しっかりしていた地球の中で最強と呼ばれた「兵器」であった僕は目元を見ただけで誰なのかをはっきりと見極めることができた。
それは前世と同じステータスだからこそできることであるか。
「えーと、ここにデュラは居ませんよ。バグローグス公爵。」
名前をはっきりと呼ばれたバグローグスは狼狽えている。
それを見て僕はクスリと笑う。
「そんなに慌てちゃって。良いですよ、バレてますから。どうせ、自分の地位を築き上げるためにスィーを殺してあなたの孫娘などを押し付ける予定だったんでしょうけど…。」
ビクリ、とバグローグスの体が大きく震える。
うん。これだから金持ち…もとい貴族はやりやすい。
「あなたの孫娘さんのスィーへの嫉妬は凄まじかったですからねぇ〜。スィーの事を『魔法にしか能のない魔力貯蔵庫』とも呼んでたみたいですし〜?ってかなんか僕のことを付け回したりして、はた迷惑でしたけどー。」
嫌がらせなのだろうか。
スィーへの陰口と僕への付きまとい。全く、世の中にはとんだお嬢さんもいたものだ。
確か…バグロークスの孫は僕より3歳下の7歳。
結婚していないデュラに代わって、弟のジュラが次期当主として自分の娘…ミレイ・バグローグスを育てている。
僕はニッコリと笑うと優しく笑いかける。
「僕の婚約者を殺そうとした罪は結構重いですよ?」
言ってることは結構きつい事だが。
まぁ、殺人自体が結構サイコパスだからそれよりはサイコパス度は低いと思うけど…。
あ、でも肉体的な苦痛よりも精神的な苦痛のほうが残りやすいと僕は思ってるから結構僕ってサイコパスなのかも…。
まぁいいや。僕、暗殺してるし?そう考えれば常人よりサイコパスなのかもね。
そんなこの世界の人に通用しないであろう考えを頭の中で展開している僕に対してバグロークスは冷や汗をダラダラと流している。
まさか王子を殺すわけにもいかず、かと言って自分の正体を知ってしまった者を生かしておくわけにはいかず。
こんな状況にさせようとした、というふうにしか思えないのだ。
それに、わざわざこの時にスィーを狙おうとすることもどう考えても不自然だ。
スィーの警備が手薄な学校から帰って来たときに殺ろうとした方が良かったろうに。
僕の本性を知ってるのは義父とデュラのみ。
しかし、王宮内でそのことを知ってしまった誰かが彼らを動かして僕を殺そうと仕組んたとしたら?
僕は鼻で笑う。
その人物は心当たりがある。
僕を疎ましく思っており、殺したいと思っているだろう人物を。
我が義兄、ユイン・ファンタジスタである。
ユインは僕の婚約者であるスィーファリアに相当執着している。
僕と婚約を結んていない頃、ユインは「俺はスィーと結婚する!」と床の上で元気よく宣言していたのをよく覚えている。
しかし、当のスィーは王宮に遊びに来ても僕にばかりチョロチョロと付きまとい、ユインには近づこうとしなかったのだ。
スィーはその理由を、「目が怖いから」と言っていた。
その時、僕は5歳でユインは7歳、スィーは4歳であった。
子供のカンというべきなのか、僕がおかしいのか分からなかったが、目が怖かったらしい。
確かに今考えればスィーを見たときのユインの目はギラギラと執着心に彩られ、異常に明るかった。
それが怖かったのだろうか。
しかし、ユインの夢は崩れてしまった。
僕がスィーと婚約を結んでしまったのだ。
僕がスィーへ婚約を真っ赤な顔でどもりながら提案し、それを聞いたスィーが、キラキラと碧く光る目を大きく広げ、抱きつきながらそれを承諾したという流れであったか。
腰まで伸びる艷やかな金髪と、大きくサファイアの様な美しい碧い瞳。それが更にスィーの美しさを引き立てている。
そんな美しい髪の毛の中に一房、ピンク色の髪の毛が混じっている。
それに対して僕はただでさえ女顔なのにそれに追い打ちをかけるような水色の、しかもどういう原理かは全くわからないが毛先にかけて色が薄くなっている。前髪は長く伸び、後ろ髪も最近全く切っていないため、もうすぐで肩につきそうだ。
そんな僕とスィーが合う訳はないと思っているが、スィーは僕のことを5年たった今でも好いてくれていた。
はっきり言うとイケメン度ならユインのほうが上だ。
噂では病弱なユインが表で見せる優しい微笑みと穏やかな口調に恋心をもつ女性たちもいたというほどなのだ。
裏表がこれほど激しい男は初めて見た。 どこか新鮮な感じすら覚えたほどだ。
そんな彼が…義兄が公爵を動かし、「成功すればお前の血縁をレインに嫁がせてやる」と言ってスィーの殺害を依頼し彼女を庇った僕を殺す。それがおそらくシナリオだろう。
まぁ、それでも簡単に殺されないけどね。
「僕を殺そうとするのならとことん付き合ってあげますよ…義兄上。」
そう小さく呟いた僕は、いつの間にか堪え切れないほどの怒りを覚えていた。
僕を殺すためにスィーを巻き込んだことや、今更帰り道に感じた殺気のことを思い出したそんな自分に対しての怒りだ。
僕は昔と違う。
僕は僕のために暗殺をする。
他人のためではない。
僕はアレクサンドロス大王の血を受けた者。その生まれ変わりとも言えよう。
数々の命を撒き散らし、また守った彼の生まれ変わりならば、僕もそうでなくてはならない。
この世界で初めて彼を出現させる。
僕は目を瞑り、大きく深呼吸をする。
そして、ゆっくりと目を開くーー
「私を怒らせたんですからら覚悟ぐらいできてますよね?」
開口一言、そう言った。
そう、私こそがA-702の本性。暗殺者の最高実力者だ。
私は兵器。兵器には感情はいらない。
人を殺す。そのために生まれてきた物。
私は殺気にあてられてのか、カタカタと震えている男を見た。
「さぁてと、It's show timeと行きますかね。」
殺戮の喜びに満ちた赤い瞳がランランと光る。
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