第176話　オークションの存在

「お金を使うのであれば・・・・オークションはいかがですか？」

「オークション？」

俺は聞き返した。
ネットじゃあないし、ろくでもない物じゃないのか？

「はい、金額によりますが、市民レベルの、不用品や、自作した物を売ったりできますし、さらに上のオークションでは、冒険者がドロップアイテムを売買していますし、上限無しのオークションでは・・・・冒険者が、レアなドロップアイテムを売ったり、鍛冶師や薬剤師、錬金術師・・・・錬金術師は、色々なスキルがあって、ひとまとめにそう言ってますが・・・・素材を求め、貴族や富裕層がより珍しい物を求め、愛玩物を欲した場合等・・・・オークションが一番でしょうか？ただ・・・・」

「ただ何、イベッテ？」

「士門さんは・・・・奴隷がおいやでしょうか？」

「あまりいい気はしないな。」

「そうですか・・・・オークションは、時に人が売られる事もありますので。」

「何？それはどういう事だ？」

「あ・・・その・・・・奴隷には、もうひとつあるんですが・・・・戦時に、勝者が敗者の国から獲得した奴隷ですね。これらを奴隷商が売買するのですが、時々と言いますか・・・・頻繁に売り買いされているんです。」

なんてこった・・・・戦争で、勝ったらやりたい放題か・・・・？
うーん・・・・

【ますたーどうしたの？奴隷がそんなに嫌なの？ボクには何で嫌うか理解できないけど、必要な事だよ？】

「どういう事だ？ロンダーヴ・・・・」

【だってほら、犯罪犯してそのまま牢屋に放り込んでも、食事とかお金がかかるでしょ？だから奴隷として働いてもらうの。そして戦争では・・・・兵隊さんにお給料払わないといけないでしょ？これも必要な事なんだよ？】

・・・・理解できない・・・・ますます理解が出来なくなった。
佐和も
「そんな・・・ひどいわ・・・・」

せつも
「人が売買される世の中ってあったんですね・・・・」
みつえは

「普段からこんな感じなの？」

やはり理解できないみたいだ。
日本で平和に暮らせば、そうなるわな。
そしてイベッテが言う。

「士門さんはお店を開くのでしたよね？でしたら手っ取り早いのが、やはり奴隷ですね。商売に失敗して破産し、家族ともども奴隷になった人とかが狙い目ですけどね。」

・・・・それは・・・経験者が、奴隷になっていて・・・・その奴隷に商売をさせるって事か？
もっと違う方法はないものだろうか？
だからと言って、俺達が深く関わる案件じゃないし。

「あ、これは双方に利点があるんですよ？待遇が良ければ、早く借金を返済出来ますし。雇う側も経験者を獲得しやすいですし。」


うーん・・・・なんだ？このもやもやは・・・・

「まあ兎に角、一度奴隷商の所と、オークション会場へ行ってみるべきかと思うのだけど・・・」

イベッテが言う。

まあ、見ないままだと判断できにくいし、どうにもならないから、見てくるか。