45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしい

第144話 おっさん、懇願される

「その、シラカワさまは、ここロートレック公爵領がどのような場所か御存知でしょうか?」

・・・・そういえば、どんな所なんだ?全く知らない・・・・

極貧の地とか、過激な宗教がはこびってるとか?

もしかして、熱いとか寒いとか住むのに適さないとか?

今いる場所は快適そうだけど?

「あーごめん、全く知らないよ。この国の何処にあるとかも。」

「やはり御存知なかったようですね。シラカワさまがこの地を訪れたという話を聞いていなかったものですから、もしやと思ったのですわ。」

「あーこれってゲートを使う上での悪い面だね。行き先がどんな所か分からないけど、ゲートを使えば行けるって。行った先の場所がどんな所か、どんな人々が暮らしてるのとか、見てないからね。」

「は、はい、そうなのですが、申し訳ございません、シラカワさまを責めているのとは違うのです。あたくしの思慮が足りませんでした。では申し訳ございませんが、もう一度シラカワさまにお尋ねしてもよろしいでしょうか?」

「気にしなくていいのに。で、何かな?」

「ありがとうございます。ロートレック公爵領ですが、セアリアス帝国における位置づけ、主要な産業・・・どのような事を知っておいででしょうか?」

「あーほとんど知らないんだよね。まあ、ロートレック公爵が皇帝とは従兄弟だっけ?もう少し離れてる?の血縁関係にある事ぐらいかな?」

「そうでしたか。ありがとうございます。それで、今回の本当のお願いに関わるのですが、この地は・・・・田舎なのです。」

「えー田舎とお願いがどう関わるのかな?」

「はい、ロートレック公爵領の領地は広く、農耕地が広がっているのですが、主要な産業は農業の為、ほとんど商店も存在していないような地域なのです。」

「えーと、おっさんの所の店をロートレック公爵領に出せばいいの?」

「はい、それもとても魅力なのですが・・・・ロートレック公爵領で採れた農作物の販路の拡大を、シラカワさまにぜひお願いしたいのです。」

・・・・おっさん農作物の売買ってした事ないよ・・・・何でそんなお願いをおっさんに頼むんだろう?店の出店かと思っちゃったよ。

「あのさ、農作物の売買全く関わってないんだけど、どうしておっさんに言うの?」

「はっきり申し上げます、シラカワさまの収納カバンです。」

・・・・リュシエンヌ、どうして知ってるの?

「エーナンノコトカナ?」



「私達は、これでも公爵家です。シラカワさまが収納カバンの作成に関わっているという情報を、かなり前から入手していました。公爵家ほどになりますと、独自の情報源がありますので、最近のシラカワさまのご活躍には何かあると父は考え、内密に探らせておりました。」

「気が付かなかったよ・・・・一応、そういった事は外に出ないようにしてたんだけどね。」

「お認めになるのですか?」

          

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