え?ボクが英雄?

よっしい

第68話 忍び寄る影 悪魔の囁き

時はちょうどヘルト達が学院の課題のダンジョンの5層の攻略を終えた頃・・・・



「くそっ!どうして俺様がこんな目に合わないといけないんだ!」

俺は父親に死んだ事にされ、街を追放された。

今まで何とかやってきたが、とうとう大けがを負ってしまった。
うう・・・・血が止まらない・・・・

こんな所で終ってしまうのか?

くそっ!くそくそ!
どうしてこうなったんだ?

あ、あいつだ!あの餓鬼!ちょっとばかし女みたいな綺麗な顔しやがって!

まあだからこそさらってうっぱらうつもりだったんだが。

あと少しで捕まえられたのに!

くそ!これもすべてあの餓鬼のせいだ!

死ぬ前に、あいつの顔をぎったぎたにしてやりてえ!

裸にひん剥いて本当は女なんじゃないかどうか確かめてやる!

だが・・・もう動けねえ。誰か助けてくれえ・・・たとえ悪魔でもいい・・・あいつをぎゃふんと言わせれば・・・・何だってしてやるんだがなあ・・・・
この時、俺の目の前に突然魔法陣が展開され、なにやらバケモンが現れやがった。何だこいつ、実体がないのか?

【おやおや、誰が私を呼び出したのかと思えば、死にかけの冒険者でしたか。そこで何をなさなっておられるのでしょうか?】

「なんだてめえ・・・・実体がないくせに何俺様に話かけてやがるんだ?」

【これは失礼を。わたくし、少々込み入った事情により、実態を失くしてしまいまして、どなたか身体を使わせていただける方を探しているのですよ。】

「信用ならねえな。あんた何もんだ?」

【おや?先ほどの説明では足りませんか?もともと魔法の使い手だったのですが、争いに敗れ、実体を失くしたのですよ。何とか秘術でこのような姿で漂っているのですが。】

「あんたうさんくせえ・・・・だが・・・もうどうでもいい。俺はもう、見ての通り死にかけてるんだ。期待に沿えず悪いが、ほっといてくれ」

【そうなのですか、それは残念。ああ、そうそう、わたくし、少々回復魔法を使えるのでしてね、私と契約をしていただければ、その傷なおして差し上げますよ?】

「何言ってやがるねめえ。誰がてめえなんかに身体貸すかってんだ!」

【おお怖い、それは残念ですねえ。では去ると致しますか。あ、そうそう、わたくし、少々未來視ができるのですが、貴方もうすぐここに魔物の大群が現れ、生きたまま貪り食われちゃいますよ。そら、すぐそこに。】

うう・・・・そいつが示したっぽい方を見ると・・・・うぐ・・・オオカミの群れかよ!チクショー!

俺は抵抗したが、多勢に無勢。

あっという間にかみつかれ、腹を、内臓を食われている。うぐ・・・・

【どうしますか?最期の機会ですが、私と契約しませんか?私と契約すれば、貴方の望みをかなえて差し上げますよ?】

「死にたくない・・・・助けてくれ・・・・契約するから、助けて・・・・」


【ありがとうございます。では契約成立ですね。一寸ばかり体の中を借りますよ。あと・・・・うっとうしいですね、この狼。死んでください。】

なんだ?お・・・俺が突然立ち上がり、腕を振ったら、オオカミが皆はじけ飛んだぞ?

それに・・・・凄い!体の傷がふさがってるぞ?

【完全回復はサービスですよ?私との契約有難うございます。さあ、あなたの目的の子供の所へ行きましょうか?ああ、でも、その前にもっと力をつけないといけませんねえ?あ、体の制御お返ししますよ。】

「お、おう、一時はどうなるかと思ったがどうなってやがんだ?」


こうしてこの男は、知らず悪魔を呼び出し、契約してしまった・・・・



          

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