え?ボクが英雄?

よっしい

第1話 国からの脱出

僕の名前はヘルト・マッセリンク。
この前10歳になったばかり。
両親と妹、弟とソーマカカ王国に住んでいる。
だけど最近は戦争で大変な事に。

父は兵士として戦場にいる。
そんな父が急に戻ってきた。

「戦争に負けた。もうこの国にはいられない。今すぐ港へ向かう!」

あらかじめ用意していたのか母が
「やはり駄目でしたか・・・・ヘルト、マデロン、カスペル、用意はいいですね?」

そう言って僕と妹、弟に話しかける。
用意と言ってもそう大した荷物はない。
カバンに着替えと数日分の食料、水が入っているぐらい。腰には短剣を用意しているし。

・・・・
・・・
・・


港は変な事になっていた。
人で溢れかえっており、そして何隻かの大型船にどんどん乗っていく。

そう、もう王国はソーマカカ王国は存在しない。
エッケシュヌ帝国に敗れ去り、国王以下国の主だった王族、貴族は皆討ち死にか処刑されてしまった・・・・・
そして、帝国はソーマカカ王国の人々を捕まえ、奴隷にしているらしく、仕方なく生き残った人はこうやって船で避難ををする事に。

僕たちの番が来た。
僕は妹と弟の手をしっかり握り、両親についていく。

20隻ほどが港を出た所で帝国の軍艦が、僕たちを追いかけてきた。

必死になって逃げる避難船の船団。
そしてそのうちの一隻が・・・・どうやら護衛の軍艦だったようで、帝国の軍艦に突撃をしていく。

この軍艦の尊い犠牲があって、何とか帝国を振り切った船団。
しかし何処に行けばいいか分からないうえに、途中着いていけない船が現れ始め、さらに嵐に見舞われる。
また船の中はひどいもので、どんどん病気で人が亡くなっていく。
一緒に船に乗ってきた近所の幼馴染も命を落とした。
僕たち家族は大丈夫だったけど。

そして運命の日が来てしまった。
僕たちの乗った船は損傷が激しくなり、とうとう航続が不可能になってしまった。
不幸中の幸いというか、他の船には人を乗せる余裕が・・・・病気でたくさん人が死んだ為だけど・・・・
別の船に乗り移る事に。

そして僕たちは小舟に乗る事になったんだけど・・・・この時海は大荒れで、もう既に乗っていた船は大破しかけていて、小舟には先に父に乗ってもらい、何とか妹と弟を乗せた。そして残りは母と僕となったんだけど、僕が乗ろうとしたとき、遂にその時が。
突然、船が・・・・真ん中あたりで床の板?が真っ二つに割れ、僕たちは船の後ろにいたんだけど、前が・・・・沈んでいった。

そして小舟もまだ船にロープで固定されていて、このままだと巻き込まれる。
そう判断した僕はまず無理やり母を小船に突き飛ばし、急いでロープを切りにロープを伝って、船に固定してる場所に上り・・・・どんどん紐を切っていく。
父が何か叫んでこっちに来ようとしてるけど、小舟は変に傾きながらもなんとか人を乗せたまま海に着水。
更に父は僕に何か叫んでるけど・・・・ナイフを腰に戻し、ロープを持って何とか僕も船に乗り移ろうとしたんだけど、残った船の半分もこの時一気に傾き、僕は小舟とは違う方向へ引っ張られ、彼方此方体を打ち付けながら、気が付いたら小舟とは反対側の海に落下。

沈む船に巻き込まれ僕も海に沈んでいく。必死になって何かに触れ、それを掴んだんだけど、海の中は凄いうねりでどうにもできない。

こうして僕は1人海に投げ出された・・・・
正確には、まだ船に残っていた人たち共々海に投げ出されたんだけど。

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