え?ボクが英雄?

よっしい

第5話 一日歩いて、新たな街にたどり着く

道に沿って歩いたけれど、ここが何処か分からないうえに、次の街が歩いてどのぐらい掛かるのかが分からない。
徒歩で一日で次の街があるならいいんだけど、馬車で10日掛かる所しか無いとかだと、絶望的。

幸い?な事に、この後は分かれ道もなく・・・・その前にあった分かれ道、いくつかは適当に来てしまったのが悔やまれるけど、あの時はよく分からない事で追いかけられた冒険者・・・・明らかに僕より強者だし、無我夢中で逃げてしまったから、仕方ないんだけど。
せめて地図とか見れてたらよかったんだけど、そう言うのを聞く余裕がなかったし。

段々と日が落ち始め、このままだと森で寝る事になりそう。
幸いな事に、魔物よけになる草がそこら中に生えてたから、これを採って、木の上にのぼり、太い枝に体を横たえ休む事に。
勿論登る前に木の幹にこの草をたっぷり刷り込むのは忘れない。
どういう理由か、この臭いなのかなんなのか、魔物は嫌うみたいで、これを木に塗っておけば一晩先ず魔物は寄ってこない。
問題は獣だけど、やはり獣もこの臭いの近くには来ない。

手持ちのカバンに多少の水が残ってたので、これで飢えをしのぐ。
そしてしばらく目を瞑ると、気が付けば明るくなっていた。
寝たつもりはなかったけど、どうやらずっと寝てたみたい。

周りを見てみても、変化はなさそうだったので、木から降りて、再び歩き出す。
道中木の実が生っていたので、これを採って食べる。
みずみずしいので、水分補給にもなる。

そしてしばらく歩くと、道を行く馬車が何台か現れた。
どうやら街は近そう。

そう思っていると、なかなか立派な壁が現れ、門が見えてきた。
街だ。よかった。

門から街に入ろうとしたら、門番が何か確認してるみたいで、僕は門番にギルドカードを見せる事に。
そうしたらちらっと僕の顔を見ただけで、行けと身振りで合図してくれた。

こうして何とか新たな街にたどり着いた。
僕はギルドで受付をしようと思い、それらしい建物を探し入ったんだけど、何故かそこには昨日僕を殴ってきた冒険者が居て。
どういう訳かまたしても僕は殴られ、追われる事に。
何故?どうなってるの?しかも何で僕より先に街にいるの?
もしかして僕が森で寝てる間に追い越した?

またしても僕は街から逃げる羽目に。
必死になり、さっきとは違った森に入っていったんだけど、森に入った瞬間、その冒険者は僕を追いかけるのを急にやめて、何やら叫んで引き返していった。

何かあるんだろうか・・・・?
もしかして魔物が沢山出る?それともこの辺りの主でも居るの?

そうだと厄介だな。
一応、魔物除けの草はまだいくつかあるけど。
そう思ってさらに森の中を進んで行くと、あちこちで以前魔物が暴れた痕跡を見つける。
そう思って足元をおろそかにしてたら、何かにつまずいた。
冒険者の成れの果てだった。
ここで倒れ、魔物に食べられたのか、骨が散乱してる。そして、その後は誰も来なかったのか、装備がそのまま。
剣は錆びてるけど、カバンは使えそう。
カバンを取り出し中を見ると、金貨と銀貨が数枚、後は何かのアイテムが入っていて、それと着替えらしき布がいくつか。
多分男物。
ありがたく貰っていく。
せめてと思い、穴を掘り、骨を埋め、錆びて使えない剣を墓標代わりに突き立てる。
手を合わせ、その場を去る事に。そして暫く進むと、岩場らしき場所が現れ、よく見ると窪んだ場所があり、人が1人は入れそうな感じ。
調べて危険はなさそうだったので、暫くはここをねぐらに出来そうと判断。ちょっと奥まった場所があり、近付かないとそこに何かいるとは分からないのがいい感じ。

こうして理不尽に、分からないまま街を追い出された僕は、この場所を中心に暫く暮らす事になった。

          

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