霧の異世界物語(ミスティアストーリー)

みうけん

第八話  四つ目の軍勢

巨人たちが一斉に川を渡ってきた。シャウルが昨日倒した二つ目の軍勢の木は一様台車の上に乗せて夜のうちに修理してあるが台車には防御のための工夫は何もない。シャウルは魔物は馬鹿なのか?と思いながら昨日と同じように台車の車輪を射抜き、台車ごと木を横に倒し、二つ目の軍勢の中心の木は機能を失った。
魔物たちはやられたという顔で仕方なく木のゴーレムに直接呪文を打ち込んできた。
マユイルとシャウルは序盤から全開でシャウルは弓矢、マユイルは炎の呪文で巨人を一人、また一人と倒して行き、二つ目の軍勢の魔物の呪文と二百人の魔術師の魔法の打ち合いは若干魔術師が負け気味だが全身の固い木のゴーレムには魔物の呪文はそこまで効いていない。
シャウルはゴーレムを射抜きながらコンパスを見てメジクリアスの動きを見ると、左斜め前を刺していたコンパスが若干右側に寄ってきているように見えた。シャウルがもしやと思い遠くを見るともう後半日で付くであろう位の位置に四つ目の軍勢が近ずいてきていた。
シャウルはコスロー側の軍勢が二つ目、三つ目の軍勢を破った後に四つ目の軍勢と戦える力が残るのかどうか不安になった。マユイルも同じことを思ったのか巨人よりも先に川の向こうで呪文を打っている目障りな魔物たちを毒の霧で取り囲んだ。魔物たちは状況を理解する前に風で払う間もなくあっという間に毒殺した。思い返せば昨日のうちに二つ目の軍勢にこうしていればよかったのだ。これにより現在この場にいる全勢力が三つ目の巨人の軍勢の相手をできるようになりマユイルは残った魔力をすべて出し尽くす勢いで巨人達を焼いていった。シャウルはこの先メジクリアスとの戦闘のために魔術師たちには力を残して休むように言って、自分も少し弓を打つ速度を緩めた。マユイルの本気の炎の魔術はすさまじくメジクリアスにも匹敵するのではというような灼熱で陸から上がってきた巨人たちを焼いていった。巨人たちは炎に包まれながら苦しみの叫びをあげている。木のゴーレムたちはマユイルの炎をよけてくる巨人たちを相手に戦っている。
マユイルはすでに巨人を五百体は葬っていた。はじめは五千ほどいた巨人の軍勢も昨日二千葬りマユイルが五百シャウルが二百、ゴーレムたちが合計で五百、魔術師が五百は葬り、巨人の残りは千人弱になっていた。シャウルは一人ずつ矢で打ち抜くよりマユイルをサポートした方が効率的と考え弓矢を下ろし、マユイルの炎に風を送り込み炎を強化する方向に変え、シャウルは魔術師たちに風を送り込むよう指示すると、魔術師たちもそれに呼応し巨人と戦っている木のゴーレムごと一帯を巨大な炎が取り囲み川の水を蒸発させる勢いで巨人の軍勢は体を焼かれ、数秒後巨人の軍勢は力の残っていないものか焼け死んだ者だけになって壊滅していた。マユイルはその場に倒れ込み地面に手を突き息切れしながら四つ目の軍勢に目をやった。
四つ目の軍勢はまだ遠くにいるが巨人の軍勢と同じくらいの数はいる。コスロー側の残りは木のゴーレムが二百体に少し力を使った魔術師二百人、マユイルも一様いるがもう戦えないだろう。
残った木のゴーレムがギリギリ生きのこっている巨人を処理し、魔術師とシャウルは四つ目の軍勢を待った。

時刻が昼過ぎになり、ようやく四つ目の軍勢の構成が見えてきた。四つ目の軍勢は盾と槍に鎧を装備した犬の様な顔の二足歩行の黒い魔物と装備を一切していない全身赤色で二足歩行の背中に羽のついたガーゴイルの様な見た目の魔物の二種類で構成されていた。軍勢の戦闘には赤色の二本の燃える巨大な鎌を両手に持ったメジクリアスが歩いてくる。
シャウルはメジクリアスは自分と魔術師で倒すとしてそのほかの四つ目の軍勢はどうやって処理するか考えた。正直今残っている分で迎え撃てる気がしないのだ。だがおそらくメジクリアスは先に四つ目の軍勢をぶつけこちらが弱ったスキにコスローの大森林に接触し、コスローを燃やしに来るだろうとシャウルは考え、シャウルはまず先に戦うであろう四つ目の軍勢の倒し方を考えた。
シャウル「マユイル、まだ力は残っていますか?」
マユイル「少しの霧なら発生させられますがもうほとんど残っていません。」
シャウル「何かあの軍勢を迎え撃つだけの策はありますか?」
マユイル「今現在の戦力では無理でしょうが、魔術師から一人オウルに使いを送り援軍を頼めば最速で明日の夜まで耐え忍べば援軍が来てくれる可能性はあります。」
シャウル「来てくれるか心配だがそれにかけるしかないな」
そう言うとシャウルは魔術師のうちの一人にオウルへ援軍の要請に行くように伝え、魔術師はソルゴーに乗ってオウルの方へ向かった。そして、

ついに四つ目の軍勢とメジクリアスが川の前についた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品