霧の異世界物語(ミスティアストーリー)

みうけん

第十一話 対決

シャウルたちは中央の建物の入り口を出て、モーシーの拾った青い石のさす光の方向を手掛かりに、モーシーが持っている青く光る石を手掛かりにマユイルの作ったバリア空間へつながる魔術式を書かれている家へと向かい、バリア空間内にワープした。
すぐにマユイルが傷の酷い部分から二人の人間を治癒していった。顔の部分を修復してパスジルとモーシーに見せると、どうやらダラスに偵察に来た魔術師のうちの二人だそうだ。ちなみにパスジルによると、地下にとらわれている魔術師はあと五人いるそうだ。
とりあえず全員の今の状態に問題がないか、特に一番魔力を使っているマユイルはまだ戦えるか確認したのち、もう一度建物の地下へマユイルの書き残した魔術式の力でワープした。四人は洞窟の中に来た時に自分たちが大いなるミスをしたことに気付いた。大量の魚人の魔物の処理を忘れていたのである。これは明らかに魔物のうちの誰かに気付かれる。洞窟の奥から陽気な優しい人間の様な声とは正反対の強烈な威圧を感じて四人の中に寒気が走った。
陽気な声「おやおやこれはこれは皆さん魔物に化けて私の地下空間に忍び込み私の大事な部下たちを皆殺しにした挙句拷問中だった魔術師を二人もさらっていったのはあなた方ですか?」
四人は沈黙した。声の主は上半身は裸でジーンズの様なズボンを着て、髪の毛のような頭から生えている三本のひものような黒いものを三本後ろに垂らし、全身は黒く体中に赤い線が入っている。手は大きく鋭い立派な爪を持ち、頭の上に赤い輪っかが付いているというより浮いている。
陽気な声「何も返してくれないとは残念ですね。本来ならここで今すぐ抹殺するところですが、あなた方はとても珍しい大変強い方々です。一息で殺してしまってはもったいない。特別に私の名前を教えてあげましょう。私の名前はメジクリアス。偉大なる破壊神ファボール様に使える側近の一人で炎の悪魔です。」
ここでモーシーが口を開いた。
モーシー「今ここに集まっている魔物の群れを集めているのはお前か?」
メジクリアス「大正解。私が今ミスティアにいる魔物の中で最も地位の高いものです。」
シャウル「つまりおまえを倒せばこの魔物の群れも機能しなくなると。」
メジクリアス「その通り。でもあなた方にそれができますかねえ?」
メジクリアスがそう言うと場の空気が張り詰め五秒ほど沈黙が続いた。シャウルは魔力の消費を抑えるために四人の魔物化を解いた
次の瞬間パスジルが飛び出し、メジクリアスに切りつけようとすると、メジクリアスの体が燃え上がり、洞窟の中は汗腺が爆発しそうなほどの灼熱の地獄と化し、泉の水がすべて蒸発し、パスジルはこれはまずいと思い、いったんメジクリアスから離れた。シャウルがオーギルの力で熱気を洞窟の奥へ飛ばし、マユイルが冷えたきりで周りを冷やした。
メジクリアス「今の力から察するに後ろの魔術師さん以外の三人はそれぞれ忘れもしない我が主ファボール様を撃退したあの三人の面影に重なりますねー。あなた方は今ここでつぶしておかなければならないようです。」
そういうと今度はメジクリアスの方から全速力で四人の方へ突進してきた。
モーシーとマユイルはメジクリアスの熱気を上回る速さで氷結の魔法で洞窟を冷却し、パスジルとメジクリアスは一対一で目に見えないほどの速さで打ち合っている。シャウルがありったけの魔力を弓矢に込めて焦点をメジクリアスに定め、発射するとメジクリアスの肩に矢が刺さり、一瞬ひるんだメジクリアスにパスジルが重い剣撃を三発たたき込み、メジクリアスは後ろに下がった。
メジクリアス「やれやれ、復活したてほやほやのこの体ではこれが限界ですねー。」
そういうとメジクリアスはその場から陽炎のようにゆらゆら揺れて消えた。途端にパスジルがバタッと倒れた。マユイルが駆け寄り、パスジルの顔を確かめるとひどくやけどをしていた。メジクリアスの熱気を最もまじかで浴びせられたパスジルはメジクリアスに焼かれながら打ち合っていたのだ。マユイルがすぐに治癒して表面のやけどの酷いところから順に治せるところまで治し、その場に寝かせた。
モーシー「メジクリアスはどうなった?」
マユイル「おそらくこの地下のどこかで傷をいやしているでしょう。」
シャウル「残りの五人を探しますか?それともパスジルの治療のためにまた戻りますか?」
モーシー「戻って時間をつぶせばその間にやつがまた回復して同じことの繰り返しになる。今のうちに助けられるだけ助けて逃げよう。」
マユイル「少し危ないかもですがメジクリアスは出てこないのであればできないこともないでしょう。」
シャウル「ではパスジルは私のユミユルの後ろへ載せていきましょう。」
そういうとパスジルはシャウルのユミユル(巨犬)の背中に乗せて洞窟の奥へ向かった。洞窟の奥はさらに二本の道に分かれていて、一行は左の道へと進んだ。洞窟の奥は青から緑の照明に変わっており、しばらく進むと大きな黒い横にひくタイプの扉の様なものがあり、厚い板に緑の模様がついている。扉は自動ドアのようにガラガラと開き、扉の向こうは開けてメジクリアスと戦った時の洞窟の二倍はある高い天井に部屋の地面には土があり、


部屋の中心には巨大な木が立っており木のツルに五人の人間が縛り付けられて木に生命力が吸い取られていた。

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