第四話　マント

ヨルフ「おお、起きたかシャウル。」
シャウル「ううっ、」
ヨルフ「今日はもう疲れただろう。いったん帰って休め。」
シャウルはのそっと立ち上がり指輪に向かって唱えた。
シャウル「マートル」
シャウルがそう言うと指輪が緑に光り、シャウルは家の前にワープしていた。
シャウルは猛烈な眠気に襲われそのまま眠りについた。
シャウルが次に目を開けたのはまだあたりが薄暗い早朝だった。起き上がると腹筋が筋肉痛になっていることに気づいた。まだ全身に疲れが残っている。
シャウルはキッチンに並べてあるパンとスープの残りを食べて家の外に出た。
シャウル「マートル」
シャウルがそう唱えると再びシャウルは例の場所にワープした。
透明な箱の中にはあのボロボロのマントがある。
ヨルフ「来たかシャウル。私の予想では昼前に来ると思っていたがずいぶんと速かったな。」
シャウル「何故魔力を消費するだけで体がこんなに疲れるのですか？」
ヨルフ「それは私も知らん。興味があれば調べてみるといいんじゃないか？」
シャウルはボロボロのマントを入れてある透明な箱に手を触れた。するとシャウルがちょっと触れただけで箱にピキピキとひびが入り、バリンという音を立てて割れた。
ヨルフ「この特殊な箱は300年前の森の賢者モログの魔法だ。見事だろう？」
シャウル「それはそうですが肝心の中身がボロボロのマントとはどういうことなのですか？」
ヨルフ「まあこれはもしも誰かに盗まれた時のためのフェイクだ。そのマントに指輪を当ててみろ。」
シャウルはボロボロのマントを手に取り指にはめている指輪をマントにあてた。するとマントはみるみる濃い緑色に変色し、傷は修復され、元の三倍くらいの大きさのフード付きマントに変わった。シャウルが両手でマントを広げてみてみるとマントの内側には金色の大きな腕輪が右側と左側に取り付けられていた。
シャウル「この腕輪は何ですか？」
ヨルフ「その腕輪は風を操るためにある。」
シャウル「というと？」
ヨルフ「それは風を操るマントオーギルだ。その腕輪から魔力を空気に送り込むことで風を操る。試しにはめてみろ。」
シャウルはマントを羽織り両腕に腕輪を通してみた。腕輪はシャウルの腕よりも大きかったがシャウルが腕を通した途端カチャッとしまってシャウルの腕にフィットする大きさに収縮した。
シャウル「特に風を操れるようなことはありませんが、」
ヨルフ「その他のことは最後に教える。すべての神器を手に入れたらもう一度この場所へ来い。お前に会わせたい者がいる」
シャウルは誰だろうというわくわく感を感じるとともに着々とファボール討伐の旅への純部が進んできていることへの不安を感じていた。
ヨルフ「話はこれで終わりだ。いったん家に帰って寝るなり次の箱を開けるなり好きにしろ。」
シャウル「ではまだ疲れが残っているのでいったん家で休みます」
そう言うとシャウルは家に戻り、仮眠を取り、食べ物を食べ、家の外に出て唱えた
シャウル「マートル」