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完璧な辺境伯のお父様が大好きな令嬢は、今日も鈍感

蓮 怜

21、再会

なんとも親しげに話す王太子殿下により警戒しなければならないと思うのになんだか危害は加えられそうにないと思った。ただの勘でしかないが少しだけ息をする余裕ができる。
いつもマナーの先生から言われていることを意識することもなく練習で染み付いた礼をしながら


「王太子殿下、昨日は有意義なお時間ありがとうございます」


この時初めてちゃんと勉強しておいてよかったと心の底から思うのだった。常日頃からやっていないととっさには挨拶の言葉も礼すらも出来な自分の姿が容易に思い浮かぶ。勉強もマナーもお父様が完璧だから私もお父様みたいになりたくて頑張ったのだ。
(よかった…)
安堵でため息を吐きそうになるところをこらえながら礼をした。礼をしたままでいると王太子殿下は「そんな事しなくていいから」と言って、昨日のお父様のもとへ連れて行ってくれたときのように私の手を引いて部屋の中までエスコートをした。


「お初にお目にかかります、辺境伯令嬢」


部屋の中に入ったら流れるような動きで、私の手の甲にキスをしながら青い髪をした殿下と同じくらいの歳の人が言った。あまりに急のことで驚いて固まっていると殿下が「エイダン」と少し強めの語気で言った。


「なんでしょう?」
「急に現れて余計なことをするな」
「余計なこととは?」


殿下の言うことは面白いと言ったようにエイデンという人は「クック」と笑った。
(とりあえず私は処罰されることはない…?)


「この男は、私の側近候補のエイダン・プロヴァンスだ」


状況をいまいち理解できていない私に殿下は言った。


「お初にお目にかかります。プロヴァンス様」
「エイダンでいいよ、弟達と区別がつかないから」
「そういうことでしたら、以後、エイダン様とお呼びいたします。」
「様もいらない」
「皆さんとりあえず座りましょう」


エイダンに私が何か言う前にお父様が言った。


「そうだね、ずっとたているのもおかしいしみんな座ってくれ」


と言った殿下の声が合図となりみんなが座りようやく本題というところで


「ギバネス!!」


と言いながらジェフおじさんが入ってきた。


「なんだ、ジェファーソン」
「なんだじゃないよ、はやく仕事をしにこい、お前がいなきゃいつまでも終わらないだろ!」
「印鑑貸すからやっといてくれ」
「はぁ?何言ってんだよ、仕事はそれだけじゃないの知ってるだろ?」
「辺境伯、エミリアは私たちに任せてくれ」


満面の笑みで言った殿下にお父様は何か言いかけたけれど


「王太子殿下もそう言っていることだし早く行くぞ」


と言われてジェフおじさんに連れて行かれてしまった。
正直この状況で置いていかれると不安しかないのだがお父様が仕事をしなければ他の人たちに甚大な皺寄せがいくことを知っているのでここは一人でなるべく失礼がないように頑張るしかないわ!!


非常にポジティブな考えをしていると


「エミリア、昨日の約束覚えている?」


と殿下から聞かれた


「昨日の約束ですか?」
「そう、昨日一緒に剣術を習おうて約束したでしょ?」
「その時は王太子殿下とは存じておらず、知ってしまった今では、恐れ多く…」
「そんなに気を使わなくてもいい、昨日と同じように話して?」
「そうだぞ、俺だってミゲルと普通に話しているんだし」


そう言われてたっぷり数分悩んで、殿下とエイダンの視線に耐えきれなかった頃、


「分かった…」


消えそうな声でそう言った。



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