完璧な辺境伯のお父様が大好きな令嬢は、今日も鈍感
2、王都へ
ガタガタと揺れながら馬車が王都に向かって進んで行く。我がカロディアン家は、辺境伯といっても王都から近く1,5日ぐらいしかかからない。だからと言って退屈じゃないわけではない。5歳の私にとっては、ずっと馬車に乗っているのに苦痛を感じるほど暇だ。いや、私だって最初っからこの調子だったわけじゃない。はじめの2時間ぐらいは、馬車から見える景色を見て楽しんでいた。だけど、田んぼが続きはじめて3分ぐらいで飽きてしまった。
「エリー」
馬車の中で寝転んでいる私を見てお父様は声をかけた。
「なあに?」
普通に座り直してコテンっと首を傾げると
「エリーは、可愛いね」
「ふふっ」
頭を撫でられて自然と頬が緩む。結局宿に着くまでお父様の膝の上に乗って揺られていた。
ーーーーーーーー
お父様お父様の膝のうえで寝ている間に田んぼが広がる景色から、街に変わった。
「エリー、起きたのか?」
寝ぼけてボーッとしている私に向かってお父様は言った。
「お父様…?おうちじゃなくて…馬車…?」
「王都に向かって馬車で移動しているんだよ。」
ほらっと窓の外を指さす。
「王都…」そう呟いて頭を働かせるとようやく今の状況を理解した。
状況がわかったところで言われた通り窓の外を見てみると、色とりどりのレンガが敷いてある道を街の住民達が歩いている。
奥の方に市場があるようで夕方とは思えない程にぎわっていた。
市場の手前で右に曲がってしばらくすると馬車は止まった。
 
「やっと着いたー!!」
げんなりした声で言うとお父様は、ハハッと笑い私を抱っこしたまま、馬車を降りた。馬車の目の前にあるのは、貴族御用達の宿だ。貴族やお金持ちの商人が使うので、外観に汚れ1つなく、古くからの歴史を感じる。問題点があるとすれば、お出迎えに宿の前に10人ほど立っている従業員の1人が抱っこされて出てきた私をポカーンっとしたまま眺めているぐらいだろうか…。
そんなに珍しいのだろうか…。珍しいのだろうなー
なんたって、貴族は高貴であればあるほど、子供の自立を促すためはやくから甘やかされることがない。だから貴族の当主が娘を抱っこするなど初めて見たのだろう。
(それにしても口を開きすぎでは???)
と思って見ていると私を眺めていた従業員は、私の視線に気づいた他の従業員から、つつかれて慌てて口を閉じていた。
並んで立っている従業員の中で最年長とみられる人がお父様に
「ようこそ!カロディアン辺境伯様。まずお部屋にご案内いたします。」
そういって宿の中に入っていく。
「お父様、ここって前の宿と違うよ??」
「前の宿はなー、あまり良くなかったからなー」
そうだったっけ?と思ったけれど、お父様がそういうならきっとそうだったのだろう。
一度も宿を変えたことはなかったんだけどなーっとも思ったけれどそれは私が考えることでもないのだろうと1人で納得する。
「お前は、なんでも深く考えすぎだ。賢いのはいいことだが、1人で解決しようとするのは良くない。聞きたいことがあるならなんでも聞きなさい。」
「別にさっきのことで悩んでないよ?私がまだ子供だからいえないこともあるんだろーなって思っただけよ?」
「いや、さっきのだって別に…」
お父様が少し取り乱した時にふっと部屋に案内していた従業員の足が止まった。何かあったのかと思うほど急に止まったので、お父様が声をかけようとしたところで、急に振り返りその従業員は
「こちらです。」
と部屋の扉を開けた。
「エリー」
馬車の中で寝転んでいる私を見てお父様は声をかけた。
「なあに?」
普通に座り直してコテンっと首を傾げると
「エリーは、可愛いね」
「ふふっ」
頭を撫でられて自然と頬が緩む。結局宿に着くまでお父様の膝の上に乗って揺られていた。
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お父様お父様の膝のうえで寝ている間に田んぼが広がる景色から、街に変わった。
「エリー、起きたのか?」
寝ぼけてボーッとしている私に向かってお父様は言った。
「お父様…?おうちじゃなくて…馬車…?」
「王都に向かって馬車で移動しているんだよ。」
ほらっと窓の外を指さす。
「王都…」そう呟いて頭を働かせるとようやく今の状況を理解した。
状況がわかったところで言われた通り窓の外を見てみると、色とりどりのレンガが敷いてある道を街の住民達が歩いている。
奥の方に市場があるようで夕方とは思えない程にぎわっていた。
市場の手前で右に曲がってしばらくすると馬車は止まった。
 
「やっと着いたー!!」
げんなりした声で言うとお父様は、ハハッと笑い私を抱っこしたまま、馬車を降りた。馬車の目の前にあるのは、貴族御用達の宿だ。貴族やお金持ちの商人が使うので、外観に汚れ1つなく、古くからの歴史を感じる。問題点があるとすれば、お出迎えに宿の前に10人ほど立っている従業員の1人が抱っこされて出てきた私をポカーンっとしたまま眺めているぐらいだろうか…。
そんなに珍しいのだろうか…。珍しいのだろうなー
なんたって、貴族は高貴であればあるほど、子供の自立を促すためはやくから甘やかされることがない。だから貴族の当主が娘を抱っこするなど初めて見たのだろう。
(それにしても口を開きすぎでは???)
と思って見ていると私を眺めていた従業員は、私の視線に気づいた他の従業員から、つつかれて慌てて口を閉じていた。
並んで立っている従業員の中で最年長とみられる人がお父様に
「ようこそ!カロディアン辺境伯様。まずお部屋にご案内いたします。」
そういって宿の中に入っていく。
「お父様、ここって前の宿と違うよ??」
「前の宿はなー、あまり良くなかったからなー」
そうだったっけ?と思ったけれど、お父様がそういうならきっとそうだったのだろう。
一度も宿を変えたことはなかったんだけどなーっとも思ったけれどそれは私が考えることでもないのだろうと1人で納得する。
「お前は、なんでも深く考えすぎだ。賢いのはいいことだが、1人で解決しようとするのは良くない。聞きたいことがあるならなんでも聞きなさい。」
「別にさっきのことで悩んでないよ?私がまだ子供だからいえないこともあるんだろーなって思っただけよ?」
「いや、さっきのだって別に…」
お父様が少し取り乱した時にふっと部屋に案内していた従業員の足が止まった。何かあったのかと思うほど急に止まったので、お父様が声をかけようとしたところで、急に振り返りその従業員は
「こちらです。」
と部屋の扉を開けた。
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