〜異世界で契約した従魔がEXランクの魔物達でした〜

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幕間④〜フィオの不安〜

第2章 イングレア王立学園編
幕間④〜フィオの不安〜
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  こんにちは、フィオです。


  武魔法大会を明日に控えた今日は、個人戦の抽選会がイングレア王立学園で開かれるので、うちからはリーダーであるユーマくんが行っています。


 どこと当たるかは運ですが、ユーマくん達がいれば何処が来ても勝てる確信が私にはありました。


 私は1年生の時からこの武魔法大会に出場していますが、2年連続でノズワール帝立学院に負けています。


 当時選ばえていた先輩や同級生も決して弱くはなかったのですが、負けてしまいました。


 軽い怪我をした方もいれば、大怪我をしてしまった方もいました。


 そこで私はなにか裏があると思い、お父様や執事であるセバス、その他わたしが使える手を駆使して調べた結果2年連続で相手になって負けたノズワール帝立学院がせこいというかルール違反になるような事をしているのだと気づきました。


 しかし、気づいた所で証拠がないのでノズワール帝立学院を裁いたり文句さえも言えなかったのです。


 下級生しかも2つ下の1年生であるユーマくん達に頼りっぱなしになるのは心苦しかったです。


 そんな事を考えているとユーマくんから念話が入ってきました。


ユーマ【ルディ、シルフィ、オーグ、フィオさん。聞こえる?ユーマだよ】


ルディ【ユーマ君?聞こえるよ】


シルフィ【ちゃんと聞こえるよ。ユーマ】


オーグ【どうした?ユーマ】


  【何かあったの?ユーマ君】


ユーマ【さっき武魔法大会個人戦の組み合わせ抽選があって、僕達イングレア王立学園代表は1回戦でノズワール帝立学院とやることになったからその報告だね】


 なんと、1回戦からいきなり3連覇中であり因縁の相手でもあるノズワール帝立学院と試合をすることになったのです。


 私は心の中で、今までの負け方や悔しさを思い出してしまって、とても不安になったんですけど1年生であるユーマくん達に心配をかける訳にはいかないので、何もない風に振舞っていました。


ユーマ【僕は1回戦でノズワール帝立学院と当たれて良かったと思ってるよ】


オーグ【何故だ?】


ユーマ【僕たちが3学校の中で1番強い事は揺るぎないけど、舐めてる帝国の奴らに一泡吹かせれるチャンスだと思うんだ。フィオさんもそう思うよね?】


  【そうだね。私は1年の時から代表メンバーに入ってるけど、悔しい負け方してきてるからここで相手をギャフンっと言わせたいかな】


ユーマ【ですよね。じゃあ、また明日ね。明日は全力を出し切ろう。まあ、僕が全力を出したら校舎や王都に被害が出そうだから抑えるけどね笑】


  (私が言いたい事、全部ユーマくんに言われちゃったなぁ)


 心の中でそんな事を思いながら私は家への帰路に着きました。




 そして、今日武魔法大会が開催される日を迎えた。


 私が会場である王立競技場に着くと、オーグくんとラルフ先生、そして学園長であるオーバン先生がいた。


  「オーグくん、おはよう。ラルフ先生もオーバン先生もおはようございます」


オーグ「フィオさん。おはようございます」


ラルフ「フィオ、おはよう」


オーバン「フィオくん、おはよう。今日は頼むぞ!」


  「はい!お任せ下さい」


 話をしているとユーマくん、ルディちゃん、シルフィちゃんも来た。


ユーマ「みんな、おはよう。先生方もおはようございます」


オーグ「お、ユーマ。おはよう」


  「みんなおはよ〜」


ラルフ「ユーマ達か。おはよう」


オーバン「今年は今まで以上に優勝が狙えると思っておる。ユーマ君達、頼んだぞ!」


「「「「「はい!」」」」」


 そして、国王陛下の開催宣言を聞いた後私達は控え室に入った。


 控え室に入った後、私達は最終打ち合わせをした。


ユーマ「1回戦は、こないだ決めた順番で行こう。みんなは意見ある?」


 みんなが首を横に振ってくれたのを確認し、ユーマくんは声出しをした。


ユーマ「僕達は強い。この3学校の中でどこよりも強い。狙うは優勝だけだ!絶対勝つよ!」


「「「「おう!(うん!)」」」」


 ユーマくんがリーダらしくみんなの士気を高めてくれた所で、係員さんが来た。


「そろそろ始めますので、先鋒の選手はご準備をお願いします」


 うちの先鋒は、オーグくんだ。




 オーグくんの試合が始まってからは、一瞬の出来事だった。


 相手のロイズくんの火槍<ファイアランス>とオーグくんの水槍<ウォーターランス>がぶつかり、爆発し水蒸気になった。


 オーグくんは、その瞬間を見逃さず水蒸気が晴れた時には、剣を首に向かって突きつけていたオーグくんがいた。


ロイズ「ま、参った」


 相手が降参したことにより、オーグくんの勝ちが決まった。


 オーグくんの強さは知っていたけど、これ程とは思わなかった。


 チームで自主練をした時も、オーグくんだけが忙しかったのか最初の1、2回しか参加できてなかったのです。


「フィールドの準備が整いましたので次鋒戦に出られる選手はご準備をお願いいたします」


 係員さんが次の次鋒戦に出る選手を呼びに来た。


 うちからは、ルディちゃんが出る。


  「次はルディちゃんだね。気持ちの整理とかは大丈夫?」


ルディ「大丈夫です!フィオ先輩」


 ルディちゃんも気合いは十分だったみたいだ。


ユーマ「ルディ、君なら勝てる!今までの修行の成果をここで見せる時だよ」


ルディ「うん!行ってきます。ユーマ君」


 ユーマ君はルディちゃんに気合を入れる為に頭を撫でてあげていた。


ルディ「久しぶりにユーマ君に頭撫でられちゃった。これで気合が更に上がったわ。勝てたらご褒美頂戴ね?」




 ルディちゃんの相手は、相手の学校でも指折りの実力者と言われてきたリオだった。


 彼らの中で知らなかったのは、オーグくんと対戦してたロイズくんだけで他の4人は私と同じように1年生からこの武魔法大会に代表選手として出場している。


 試合が始まってからは、お互いに引けを取らないいい勝負をしていたけどやっぱり抜け出したのはルディちゃんだった。


 リオが撃ったのは氷槍<アイシクルランス>2本だったけどルディちゃんが撃ったのは炎槍<フレイムランス>5本だった。


 当然ぶつかれば消えるのはリオの撃ったアイシクルランスで残ったフレイムランスがリオに直撃していて、煙が晴れたそこにはリオが倒れていた。


「そこまで!この試合、ルディ選手の勝利とする!」




「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」」」」」」


 ルディちゃんの勝利が宣言されると、観客席からは大歓声が贈られていた。


 ルディちゃんが控え筆に帰ってくるとユーマくんに抱きついていて、ユーマくんはルディちゃんの頭を撫でて迎えていた。


 べっ、別に羨ましいとか思ってないですよ!?




んん!!オーグくんとルディちゃんが勝ったからうちが2勝したんだ。


 次の中堅戦に出る私が勝てばうちが決勝進出!
 ノズワール帝立学院にリベンジができる。


 私は喜んでいるユーマくんとルディちゃんを後目に控え室を出た。


 ーーーーーーーーーユーマ視点ーーーーーーーーーー


  「ん?」


 フィオさん思い詰めてた顔してたけどどこ行ったんだろ?


  「ルディはちょっと待っててくれる?フィオさん探してくるから」


ルディ「私は行かない方が良さそうね。ユーマくん!頑張って来てね」


  「分かってるよ」


 僕は、フィオさんを追いかけて控え室を出た。


 フィオさん自体は、僕の索敵魔法ですぐ見つかった。


 なのに、僕がフィオさんに声をかけれなかったのは嗚咽を吐きながら泣いていたからだ。


 でも、このままずっと待ってても仕方ないと考えた僕は意を決してフィオさんに声をかけた。


  「フィオさん、大丈夫?」


 フィオさんは体をビクッとさせてゆっくりこっちを向いた。


フィオ「ユーマくん!?どうしてここに?というかどうして私がここにいるって分かったの!」


  「フィオさんがなにか思い詰めた顔をしながら部屋を出たのが見えたので追いかけてきたんだ。フィオさんが簡単に見つかったのは、僕の無属性魔法のひとつの索敵魔法で見つけたからなんだ」


フィオ「索敵魔法って習得が難しいって聞いたことあるけど?」


  「それについては僕の秘密について教える必要があるんだけど絶対周りに他言できないって誓える?」


フィオ「うん!でもそんなに凄いの?」


  「まず先に聞きたいんだけどフィオさんは転生者とか転移者って聞いたことある?」


フィオ「本で読んだことあるよ。勇者の召喚以外でごく稀に他の世界から来た人間がいるって」


  「知ってるなら話が早いね。実は僕は転生者なんだ。勇者達や転移者と同じ世界から来たね」


 僕が転生者だと知ると、フィオさんは大きく口を開けてびっくりしていた。


  「言っただけだと信じられないだろうから、今から僕のステータスを見せるけどさっきに約束が覚えてるね?」


フィオ「うん!絶対に誰にも言わない」


  「ありがとう!じゃあステータス見せるね」


 僕がここでフィオさんにステータスを見せるのには理由があった。


 それはフィオさんが抱えてる暗い部分や過去の話をしてもらうためには、僕の秘密も話した方が話しやすいと思ったからだ。


  <ステータスオープン>


 僕とフィオさんの前に、僕のステータスが表示された。


 ステータス
名前:ユーマ・シンフィールド
年齢:10歳
種族:人間
レベル:35
称号:転生者、神の使徒、神々に愛されし者、スタンピードを越えし者、神の守護化に置かれし者
体力:589,300/589,300
魔力:876,500/876,500
筋力:189,200
俊敏:295,600
属性魔法:基本属性LV10(火、水、風、土)
                  炎属性LV10
                  氷属性LV10
                  光属性LV10
                  闇属性LV10
                  雷属性LV10
                  無属性LV10
特殊魔法:創造魔法
                  複合魔法
                  回復魔法
                  時空魔法(転移)(亜空間)
                  索敵魔法
                  精霊召喚
スキル:思念伝達
               無詠唱
               言語理解
               連続詠唱
               魔力吸収
               アイテムボックスLV10
               鑑定LV10
               武術LV10
               体術LV10
               物理耐性LV10
               全属性魔法耐性LV10
               状態異常耐性LV10


加護:創造神の加護LV10
           生命神の加護LV10
           魔法神の加護LV10
           大地神の加護LV10
           武神の加護LV10
           技能神の加護LV10
           商業神の加護LV10
   神獣の加護LV10
   神龍の加護LV10
           風の上位精霊の加護LV10


従魔:ルクス(神獣フェンリル)
   リムル(神龍)


精霊:エアリィ(風属性の上位精霊)


  「これが僕の、本当のステータスだよ。いつもは隠蔽して隠してるんだけどね」


 フィオさんは最初、絶句していたけど次第に口を開くとポツポツと語り出した。


フィオ「ユーマくんが危険を冒してまで私に本当のステータスを出してくれたか分かる気がするわね。良いわ、私の話を聞きたいんだよね?」


  「無理はしないで良いからね。もしきついなら断ってもいいよ」


フィオ「ううん、むしろユーマくんには私の事もっと知ってもらいたいからね」


 そうしてフィオさんは、自分の過去について語り出した。


フィオ「私の家はね、貴族じゃないんだけど結構な名家で今まで色んな騎士の人や魔法使いを排出してきた家柄なの。この国の国王様からも信頼されてるくらい凄い家なの。だから私も生まれて物心着く前から、この家に生まれたのなら優れた剣士か優れた魔法使いになりなさいというお母様の言いつけを守って育ってきた。お父様は、私の好きな道に進みなさいって言ってくれてるけど、お母様には逆らえないし私はお母様の言いつけを守って学園トップの成績をキープしてたわ。子供の頃からキツいプレッシャーをかけられて育った私は、一瞬たりとも気が抜けない!周りの期待に応えなきゃ!というプレッシャーを感じすぎて大事な試合や大きい舞台になると緊張しちゃってさっきユーマくんが見た自体になっちゃうの。頼りない先輩でごめんね!こんな先輩と一緒だと嫌だよね?」


 僕は今の自分の気持ちを込めるように、フィオさんを抱きしめた。


フィオ「え!?ユーマくん!!?」


 突然の事態に、フィオさんは混乱していた。


 抱きしめたフィオさんの体は、とても小さく華奢だった。


 この小さな体で、小さい頃から周りの人のプレッシャーに耐えていたのだとすると凄いなと思いながら抱きしめた。


  「そんなことないよ。フィオさんは強くて優しくて可愛い先輩だよ。そんな先輩と一緒にいて嫌なわけがないじゃん。確かに周りの期待に応えなきゃ行けないって言うプレッシャーがあったのかもしれないけど、もう自由に生きていいんじゃないかな?だってフィオさんはフィオさんだろ?フィオさんの人生を決めれるのは、フィオさんだけだ。だからもうプレッシャーに感じることはないと思うし、僕が付いてる。僕だけじゃない、オーグやルディ、シルフィも付いてるし、フィオさんのクラスメイトの友達も付いてる。フィオさんはもうひとりじゃないんだよ」


 そういうと、フィオさんは僕の胸の中で、大泣きをした。


 僕はフィオさんが泣き止むまで抱きしめながら頭を撫でてあげた。




 しばらくすると、フィオさんは顔を真っ赤にして離れた。


フィオ「ありがとう!みっともないところを見せちゃったね。そして1つ気付いたことがあったよ」


  「なんですか?」


フィオ「私はユーマくんのことが好きだよ。一緒に武魔法大会の練習をしてる時からね」


  「えっ!?」


 僕は驚いて、変な声を出した。


フィオ「返事はすぐじゃなくていいよ。じっくり考えて答えを出して欲しいかな!」


 僕は頷くしか出来なかったが、いつか答えを出そうと決意したのだった。


フィオ「行こ!ユーマくん」


 僕は、フィオさんと手を繋いで控え室に帰った。

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