〜異世界で契約した従魔がEXランクの魔物達でした〜

ノベルバユーザー327690

第25話〜それぞれの従魔紹介〜

第2章 イングレア王立学園編
第25話〜それぞれの従魔紹介〜
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 さて、今日から授業が始まるわけだけどいきなりピンチです。
 何故かって?それは最初の授業が自分の従魔紹介だからだよ!


 普通はみんなみたいに自分と波長が合う魔物1体だけと契約するはずなのに、僕はなぜかルクスとリムルの2体と契約出来てしまった。


 オーグは知ってるから良いけど、みんなにどう説明するかなぁと僕は悩んでいた。


ルディ「ユーマ君、考え事?難しい顔してたけど」


  「うん、今日の最初の授業の従魔紹介の事を考えてたんだ」


シルフィ「そっか。普通なら1体だけしか契約出来ないところをユーマはルクスとリムルの2体契約出来ちゃったから迷ってるんだよね?」


  「うん、シルフィの言う通りだよ」


ルディ「あー、正直に話したらめんどくさそうだよね。でもユーマ君ならそれでも跳ね返しそうだけどね笑」


  「そうだね、本当にやばい時はメダル見せれば良いし、2体とも紹介するか」


今回はリムルのみ頭の上に置いて、ルクスはいつでも出れるように僕の空間魔法の中に待機している。


 いつものように3人で学園に登校していると、後ろから不意に話しかけられた。


???「そこの君達、少し良いかな?」


 立ち止まり、振り返ると武装していた騎士の人が2人いた。


  「なんですか?僕達今から学園に向かうところなんですけど?」


???「私は隣の街の領主であられるガチェック・フォン・バラント伯爵の部下をしているフランツだ。すまないが、そこの少年よ、私と一緒にバラント伯爵の屋敷までご同行願えるか?」


 口では、頼んでるつもりなんだろうが、いわば強制だな。こいつと波長の合う兵士や雇われた冒険者と思われる人物が4、5名いるのが索敵でバレバレだ。
 大方、断ったら力付くで連れて行くつもりなんだろう。


  「お断りします。いくら伯爵様の命令でも、僕達はこれから学園に行くのですからついて行けません。お引き取り願えますか?」


 僕が断ると、フランツはみるみる顔が赤くなった。


 うーん、瞬間湯沸かし器かな?


フランツ「優しくいえばつげあがりおって貴様!平民が口答えするな!貴様ら平民なぞ我ら貴族の命令に素直に聞けば良いのだ。お前達出てこい!」


 すると近くの路地裏から、僕の索敵通り、4、5名が姿を現した。


「悪く思うなよ、坊主。こっちも仕事なんでな」


「大人しく聞いてれば怪我などしなかったのにな」


ルディ「きゃっ!ちょっと!離してよ!」


シルフィ「離しなさいよ!」


  「ルディ!シルフィ!」


フランツ「大人しく私に従っていれば、彼女達を傷つけずに済んだものを。ここからは素直に聞かないと、大切なお嬢さん方が傷ついてしまうぞ?」


  (チッ!やむを得ないな。あれをやるか)


 そう思い僕は、ルディとシルフィに念話を飛ばした。
 念話なら相手に聞かれる恐れはない。


  【ルディ、シルフィ、聞こえるかい?】


ルディ【聞こえるよ!ユーマ君】


シルフィ【聞こえるよ、ユーマ】


  【今から君達を学園の前まで、転移させるから君達はこの事をラルフ先生に伝えてくれ。あと僕は大丈夫だから遅れて行くとも伝えておいてくれるか?】


ルディ【うん、わかった。ユーマ君なら大丈夫だと思うけど、無理はしないでね】


  【わかってるよ。もしやばくなったら俺も転移で学園に向かうよ】


シルフィ【それなら、3人で転移すれば良いんじゃない?そうしたら遅れて行くとかやらなくて済むと思うけど?】


  【そうしたいのはやまやまなんだけど、今からやる転移は、普通のと違って僕に触れていなくても飛ばせるんだけど、この転移方法には欠点があってね。それは飛ばす人と飛ばす場所を指定できる代わりに魔法を使う本人は飛ばせないんだ。逆に普通の転移は僕の体のどこかに触れていないと使えないからね。それにこの人たちにはお灸を据えておかないと、これから先もっと絡んできそうだからね】


シルフィ【分かった。ただ私も言うけど、無茶はしないでね】


  【うん、分かってるよ】


 そう言うと、僕は念話を切った。


フランツ「何やら考え込んでいたようだけど、まとまったかい?」


  「ああ、考えはまとまったよ」


フランツ「では聞こうか!どうするのだ?」


  「こうするんだよ!」


 僕はルディとシルフィに頼んだよと目配せをすると魔法を唱えた。


ユーマ〈座標転移!ルディ、クリス、シルフィ!〉


 そう唱えるとルディとクリスとシルフィは学園へと転移された。


 勿論、2人を掴んでいた冒険者2名はその場に残って辺りをキョロキョロ見ている。


 この座標転移という魔法は、指定した人物や物を指定した場所に飛ばす魔法だ。
 因みにこの魔法はこの世界にはなく、僕のオリジナルだった。
 前世でオタクだったからこその妄想力と発想力で作り上げておいたのだ。


フランツ「貴様!あの2人と1匹はどこにやった!」


  「このままだと、僕の回答で彼女達が傷つけられるからな。僕の魔法で、学園まで飛ばしたのさ」


フランツ「転移魔法か!お前らやっちまえ!」


「「「「「はっ!」」」」」


 フランツが命令すると、4、5人の冒険者と兵士が僕に突っ込んできた。


  「遅いね!」


 僕は全員分躱した後に魔法を唱えた。


ユーマ〈闇鎖シャドウバインド!〉


 シャドウバインドを唱えると、彼ら自身の影から鎖が出てきて、その体を縛り上げていた。


  「最後はあんただな!フランツさん」


フランツ「貴様!こんな事をしてただで済むと思うな!」


  「街中で剣を抜いておいて、何を言ってるんだか。今からお前らを街の衛兵に突き出すから、覚悟しておけよ!」


フランツ「くそ!覚えてろ!」


 踵を返し、逃走を図ろうとしたフランツだったが...


  「逃すわけないだろ!シャドウバインド!」


 僕の魔法によって、呆気なく捕らえられたのだった。




 暫くすると、騒ぎを聞きつけたのか街の衛兵がやってきた。


衛兵A「騒ぎを聞いてやってきたが、これは君がやったのかい?」


 衛兵は冒険者や兵士4、5名にフランツを指差して聞いてきた。


  「はい。そこにいるフランツという男が、隣の街を治めているバラント伯爵の命令だと言って、僕を連れ去ろうとして断ったら剣を抜いてきたので、僕の魔法で拘束させてもらいました」


 説明をすると、衛兵さんは驚いた顔をしていたが、すぐに正気に戻っていた。


衛兵A「分かりました。この人たちは、私たちが責任を持って、連行いたします。怪我などはされていませんか?」


  「僕は大丈夫です。あと今回の件を陛下にお知らせしたいのですが、今日はガルム陛下はいらっしゃいますか?」


衛兵A「ええ、居られますよ。会われますか?」


  「はい!お願いします」


 こうして僕は、陛下に今回の件を報告させてもらうため、衛兵について行ったのだ。


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 一方、ユーマに魔法で学園の前に飛ばされたルディ、シルフィ、クリスはラルフの元に来ていた。


ルディ「ラルフ先生!おはようございます」


ラルフ「お、ルディとシルフィか、おはよう。どうしたんだい?僕に何か用事かな?」


ルディ「はい、実は・・・」


 ルディはここに来るまでに何があったかを説明し、ユーマが遅刻する事も伝えた。


ラルフ「事情は分かった。ユーマが来るまでは自習にしよう」


ルディ「ありがとうございます!先生」


ラルフ「さて、教室に向かうよ」


ルディ、シルフィ「「はい!」」


 ユーマのために授業を彼が来るまで自習にしてくれたラルフに、ルディもシルフィも頭を下げるのだった。


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 その頃ユーマは、王城に来ていた。


 陛下にくだんの事を報告するためだ。


衛兵A「陛下!ユーマという少年を連れてまいりました」


ガルム「ユーマ君が?入って良いぞ!」


衛兵A「失礼します!」


 陛下のいる執務室の扉が開かれ、僕は中に入った。


ガルム「君はもう下がって良いぞ!」


衛兵A「はっ!失礼します」


 衛兵さんは、深く頭を下げて戻っていった。


  「陛下、突然の訪問をしてしまい申し訳ありません」


ガルム「いや、構わないよ。それでどうしたのかな?その格好は学園に行くのではなかったのかな?」


  「ええ、お話が終わりましたら学園に行きます。聞いてもらえますか?」


ガルム「ああ、聞こう」


 僕の唯ならぬ気配を察知したのか、陛下は椅子に深く座り直し、背を正していた。


  「実は、今朝学園に登校する途中で、隣の街を治めておられるバラント伯爵の部下と思われるフランツという男が兵士と雇ったと思われる冒険者4、5名をけしかけて来たのです。目的は僕と神龍であるリムルを手駒に加えたいとのことでした。断りを入れると、ルディとシルフィを捕まえて、言うことを聞かないと傷つけるぞという脅しまでして来ました」


ガルム「なんと!それは本当ですか?」


  「はい、僕はなんとかルディとシルフィを逃した後、フランツを含め兵士と冒険者を魔法で捕らえた後衛兵に突き出しました」


 それを聞くと、陛下は1つ大きなため息をついた。


ガルム「そうでしたか。怪我がなさそうで安心しました」


  「バラント伯爵はどんな人物なのですか?」


ガルム「ユーマ君も薄々気付いているとは思うが、バラント伯爵はこの国の者でありながら裏では帝国と繋がっている帝国主義の男なのです」


  「やはりそうでしたか。という事は今回の件は僕、いやルクスやリムルを手駒に加えて戦争でも仕掛けるつもりだったのですかね?」


ガルム「恐らく、そうでしょう。今回の件は私に任せて貰えませんか?」


  「勿論そのつもりです。貴族とか僕はあまり知らないですしね」


ガルム「ありがとう、ユーマ君。学園が終わったら使いの者を出すから王城に来てもらえないかな?勿論ルディちゃんとシルフィ殿も一緒で構いません」


  「分かりました。またお伺いします」


ガルム「では、授業頑張ってください!」


  「ありがとうございます。陛下」


 そう言って、僕は陛下に頭を下げて退室し、急いで学園に向かった。


 学園に着いた僕は、まず職員室に向かった。


  「失礼します。遅れて申し訳ありませんでした。ラルフ先生はいらっしゃいますか?」


ラルフ「お!やっと来たか。ユーマ、おはよう」


  「おはようございます!先生」


ラルフ「事情はルディとシルフィから聞いたから、各自の従魔紹介はユーマが来てからにしようと言って、今は自習にしてあるよ」


  「心遣い感謝します。ラルフ先生」


ラルフ「じゃあ、行こうか」


 僕とラルフ先生はSクラスに向かった。


 まずは先生がSクラスに入った。


ルディ「先生!ユーマ君は来ましたか?」


ラルフ「ああ、来たよ。ユーマ、入っておいで」


  「みんな、今日は遅刻をしてしまい、済まなかった。皆に迷惑をかけてしまったよな」


オーグ「何言ってんだよ。今回はお前のせいじゃないだろ?事情を聞いてみんなそれは分かってる。だから謝る必要はないぞ」


エリカ「オーグさんに言われてしまいましたが、私も同じですよ。今回ユーマさんが謝る必要はないのですから、頭をあげてください」


  「オーグ、エリカありがとう。みんなもありがとう」


ラルフ「さて、ユーマも来て、全員揃ったところで、各自の従魔紹介と行こうか。従魔は主を守り、共に戦って行く仲間だ。だから、誰がどの魔物を従魔として使っているのかを見て、どのサポートをするか考えて欲しい。まずは僕から紹介しよう。終わったらエリカから紹介して最後はユーマの流れで行こう。僕の従魔を紹介しよう。僕の従魔はサラマンダーで、名前はリオンだ。サラマンダーといえば、精霊と思う人もいると思うが、この世界でのサラマンダーは竜種だ。翼はないが、強さや形が竜に似ているため、その位置づけなんだ。サイズが大きいから連れて来ていないが、実地授業になったら見せてあげるよ。じゃあ次はエリカ。頼むよ」


エリカ「はい!私の従魔は隣にいますが、種族名をビーストファングと言い、名前はスレアと言います。得意なのはやはり身体強化による肉弾戦でしょう。今はまだ子供ですが、大きくなったらかなり強くなると思いますよ」


ラルフ「エリカ、ありがとう。では次はフーガ」


フーガ「はい。僕の従魔は、種族名をハーピー。名前はリリアって言います。さぁ、リリア。皆さんにご挨拶して?」


リリア「皆さん初めまして。ただいま主から紹介されましたハーピーのリリアと申します。以後よろしくお願いしますね」


 リリアは一見すると、魔物ではないのではないかと思うくらい可愛い笑顔をしていた。


ラルフ「フーガにリリア。ありがとう。では次はヴェルディ、よろしく」


ヴェルディ「はい。私の従魔はワイルドベアのベルグです。ベルグは子供ながら、かなり大きいので、連れてこられませんでしたが、ラルフ先生と同じで実地授業になったらその時に紹介しますね」


ラルフ「ヴェルディ、ありがとう。次はアリスか」


アリス「はーい!私の従魔は種族名がダイアウルフ、名前はアヴェルって言うんだよ。アヴェルはまだ子供だけど、大人になったらかなり強くなるってお父さんが言ってました。アヴェル、自己紹介して」


アヴェル「分かったよ、アリス。皆さん初めまして。ただいま紹介されましたダイアウルフのアヴェルって言います。以後主人共々よろしくお願いします」


ラルフ「アリス、アヴェル、ありがとう。では次は、ウルトだな」


ウルト「はい。僕の従魔は、種族名をブラックウルフと言い、名前はイデアルと言います。得意なのは影からの奇襲や闇夜に紛れての斥候でしょうか。基本的には僕の影に潜んでいます」


ラルフ「ウルト、ありがとう。次はザノだな」


ザノ「はい。私の従魔は種族名がオーガ。名前はリファという。リファ、みんなにあいさつして」


リファ「うん、皆さん初めまして。先程紹介されましたオーガ族のリファです。まだまだ子供ですが、自分で言ってしまいますが、かなり強いですよ。以後よろしくお願いします」


ラルフ「ザノ、リファ、ありがとう。では次殿下、お願いします」


オーグ「分かった。僕の従魔は土の精霊であるノームのクゥだ。クゥ、みんなに挨拶して」


クゥ「我の名前はクゥである。皆、よろしく頼む」


ラルフ「殿下、クゥ、ありがとう。次はシルフィだな。よろしく」


シルフィ「はい。私の従魔は、レッサーウルフのハクですね。ハク、皆さんにご挨拶して」


ハク「ワフゥ(私の名前はハクと申す。皆、よろしく頼む)」


ラルフ「シルフィ、ハク、ありがとう。では次はルディだな」


  「ちょっと待ってください。まずは僕とルディの従魔について相談というか約束事があります」


アリス「なんか特別なの?」


  「うん、オーグは知ってると思うけど、僕とルディの従魔は特別でガルム国王陛下に後ろ盾になってもらっているんだ。僕とルディとそれぞれの従魔を悪用する事は陛下の名の下に厳罰になるってね。だから今から言う事はここだけの内緒にして欲しいんだ」


ラルフ「陛下が言うなら、余程のやつなんだろう。良いよ。約束は守るよ。みんなもそれで良いよな?」


「「「「「「「「はい!」」」」」」」」


ルディ「じゃあまず私からね。私の従魔は横にいるグリフォンのクリスだよ。クリスはSランクの魔物なんだけど自らの能力で体を自在に大きくしたり小さくしたり出来るから特異種になるんだ。だからSランクから一つ上がってEXランクの魔物になるの。クリス、みんなに挨拶して?」


クリス「クルクルゥ」


ラルフ「なんと⁉︎ルディはEXランクの魔物と適合していたのか!」


ルディ「まあこの子は元々Sランクなんですけどね」


ラルフ「それでも凄いよ!と言う事はユーマも?」


  「僕の場合はさらに特殊と言うか異例ですね。まず知識として従魔は人1人に対して魔力の波長が合う1匹のみというのはみんな知ってるよな?」


アリス「うん、知ってるよ」


ラルフ「それがどうかしたのか?」


  「僕が5歳の従魔契約で出会ったのが今から紹介する子だ。おいでルクス!」


ルクス【お呼びですか?主よ】


  「そして今僕の頭の上にいるのが7歳の時に助けたリムルだ」


リムル「リムルだよ。みんなよろしくね笑」


ラルフ「まさかその2体は?」


  「ええ。先生やみんなの予想通り、2体とも僕の従魔です。僕は2体の魔物と魔力の波長が合ったんだ。しかも魔物としてのランクは2体ともEXランクなんだけど、ルクスは神獣フェンリルで、リムルは神龍なんだよ」


「「「「「「「「ええっ‼︎」」」」」」」」


 みんな、僕が2体のEXランクの魔物と従魔契約できていたことに驚いていた。


ラルフ「従魔契約を2体成功させたのは500年以上前の人物だと聞いたことがある。ユーマはそんな歴史を塗り替えたんだ。凄い快挙だよ。しかもフェンリルと神龍と契約できるって事はユーマの魔力が桁違いな事を指しているんだ」


  「ありがとうございます。これでなんで僕が、この事を秘密にしてくれと言ったか分かったかと思う」


ラルフ「ああ、今の事がバレたら十中八九めんどくさいことになるな。みんなもその事を頭に入れた上で、行動してくれ。勿論僕も秘密にするよ。これでも口は硬い方なんだ。安心してくれ」


  「ありがとうございます、先生」


 そしてチャイムが鳴り、学園に来て初めての授業が終わった。
 その後の授業は、最初の授業という事もありオリエンテーションというかほぼ自習みたいなものだった。


 そうして、学園に入学しての初日の授業を終えた僕達は、陛下の使いだと名乗る人物についていき、王城に向かったのだ。

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