みんなの役に立ちたい気持ちは誰にも負けない!!!
チェガン
〜森の中〜
私は先程ガブと呼ばれていた青年に引っ張られ森の中を走っている。正直体力的にもう限界だ。
「……ここまでくれば……もう大丈夫……だと思う」
結構走ったところでやっと止まった。
今日だけでどのくらい運動をしたのだろうか。もう足がフラフラだよ……。
「……大丈夫?」
「はぁ……大丈夫……で……ぜぇー……です」
「……あそこに座れそうな所あるけど……行く?」
ガブが指さしている方には大きな木があり、根っこの部分が少し飛び出していて座れそうだ。
「お……お願いします……はぁ〜」
ストッ
「ふぅ〜……」
飛び出している根っこに座って一息つく。やっとゆっくり休めた気がする。 
自然の中に居るので空気も澄んでいてとても気持ちがいい。
自然の風を浴び続けている間、ガブは私の隣に座りぼ〜っとしていた。
ずっと無言な空気が続いており正直凄く気まずい………。
この人は一体どんな人なんだろうかと頭の中で先程の起こった出来事を思い出していた。
ガブがエレナを見てからいきなり変な事になった。
一体何が見えたのか、私には考えつかない。そう思っていると屋敷に残してしまったエレナの事が心配でならなくなった。すごく嫌な感じがする。
「………っエレナを! 」
ーーエレナをどうすつもり!
と、聞こうとしたらガブは体を少しビクつかせながらこちらをチラ見した。
「な……なに?」
びっくりしたのか目を見開いて私を見る。
いや、そこまでびっくりさせるつもりはなかったのですが……ごめんなさい……。
「エレナは……エレナはどうなったの?」
「え……エレナ? あぁ……さっきの女の子?」
「そうだよ! エレナはどうなるの?! ま……まさか殺されるとか……ていうか、さっきの男の子は何?! 誰なの?! エレナはどこにっ……?!」
冷静を保つため頑張ったがこれ以上は無理だった。だんだんと取り乱してしまい次から次へと質問をぶつけてしまう。それをガブは表情を一切変えずに最後まで聞いてくれた。
「……とりあえず落ち着きなよ……アルカさんがいるから多分……殺しはしないよ……あの2人だけだったら……わからないけど……カルムさんもいるし」
目を合わせないまま淡々と説明してくれた。
口調が優しく丁寧な感じのため自然に安心出来る。
言葉の間にある『……』は何か意味があるのかな?
「あの……貴方は一体何者なの?」
そう聞いたと思ったら、ガブは急にこっちに顔を向けじ〜っと見ている。
って、なんですかい??
「……君ってすごいね」
「え? 」
質問を華麗に無視された私は思わず素っ頓狂な声が出た。
いや……無視しないでくださいよ。
「だって、普通あんなの見たら逃げるでしょ……僕は逃げた所で追いかけたりしないよ……逃げたかったら逃げてもいいけど……ただ……ここの事について誰にも言わないって……約束してくれたら」
こちらをチラっと見てそう言った。
「だって……私が逃げたらエレナがどんな事されるかわからない。逃げたいけど……エレナを置いてはいけないよ」
「……ふーん」
興味無さそうにそっぽ向きながら相槌。そっちが聞いてきたのに……。
「そういえば、さっきの質問に答えてなかったね」
……話しが飛びすぎる。なんの事だか一瞬分からなかったよ。
それを、ガブは忘れたのかというような目で言葉を続けた。
「ほら……僕は一体何者かって……聞いてこなかったっけ?」
いや、確かに聞いたけど今このタイミングで?
答えてくれるならどのタイミングでも良いんだけどさ。
私は小さく首を縦に降った。
「僕はガブ……ガブリエッラ·トリエステ……ガブって呼んでくれていいよ。みんな、そう呼んでるから」
「ガブさん?」
そう呼ぶと、ちょっと嫌そうな顔をして首を横に振った。
「……ガブでいい」
「わ……わかりました。ガブはなんでこんな所にいるの? 何が見えているの?」
「説明下手だからうまく言えないけど……」
「うん、それでもいいよ。教えてくれないかな?」
「わかった。でも、それだけじゃないんでしょ……? 聞きたい事……。後で何回も質問されるのも……面倒臭いから……今まとめて話しても……いい?」
こっちを少し確認している。
何となく言葉にトゲがあるような感じがしたが聞きたいのは事実なので何も言わずに頷いた。
「いいよ。気になるし……あの人達の事も……」
「そうだね……なら……話すよ」
ガブは目線を私から外し話してくれた。
元々目線を合わせるのが苦手な子なのかな。
「まず……僕がここに居るのは、拾われたからだよ」
「拾われた?」
「うん……僕は小さい時に捨てられたから」
   本当にそんな事をする人がいるんだ。
ニュースとかではよく見るが、いつ見てもそれはひどいと思っていた。それが、今目の前にいる人は体験したんだと思うと何故か悲しくなった。
「捨てられた経緯とかは……今は関係ないから……省くけど……捨てられたのは……森だった」
「森……まさか」
ガブが捨てられた森って……。
「想像通りだと思うよ……今ここ…。僕達が居るここで……僕は捨てられた」
目を見開いた。まさか、捨てられたのがこんな山奥だとは。子供の足なら森を出るのも大変だろう。大人の足でもここに来るまでの道のりは簡単ではないはず。それも考えての〈ここ〉だったのだろうか。
「……大丈夫だったの?」
「大丈夫……ではなかった……。普通に怖かったよ」
まぁ、そうだよね。
こんな森の中、子供一人だと怖くて怖くて仕方が無いと思う。
「怖くて動けないでいると……声が聞こえたんだ」
「声?」
「そう……『そんな所に一人で何をしてるんだ? もう遅いから帰れ』ってね……そして、上を向いたらソフィアさんが居たんだよ」
「ソフィアさんって、さっきの喧嘩していた一人? 白い髪の……」
 
「また……喧嘩してたんだ……。多分……その人で合ってるよ」
またって事はやっぱりあの二人はよく喧嘩するらしい。
壁直し終わった後も言い争ってたしなぁ。
「それで……目の前にはソフィアさんが立っていた……。その時に教えてくれたんだ……『ここは危険だ、とりあえずこの道をまっすぐ言ったら大きな屋敷がある。そこには人がいるはずだ。そこへ行け』ってね」
意外だ。
あの人がこんなに面倒見がいいなんて。
「僕は……ソフィアさんの事を信じてもいいって……わかったから……その人の言う通り……屋敷へと向かった」
ん? 信じていい?
なぜそう思ったのだろうか…。
「ちょっと、聞いてもいいかな?」
「なに?」
ガブは私を横目で確認し聞いてくれた。
「信じてもいいってなんでわかったの?」
「……んとね」
目を背けて少し下を向きながらガブは悲しそうな顔で言っていた。
「あのね……僕には『人の力を見る』事ができるんだよ」
「……力??」
「そう……まぁ……力って言うか……みんなは……『チェガン』って呼んでるけど......それで……『チェガン』についてわかりやすい例を出すと……2人が喧嘩してるの見たんでしょ……? それが一番わかりやすいんじゃないかな」
私の事を確認しながら続きを話してくれた。
「『チェガン』って言うのは……なんて説明したらいいかな」
手を口元に置き考えている。
「『チェガン』ってね……常人を超えた能力……みたいなものなんだよね」
「常人を超えた? というか、チェガンって何? どういう意味??」
まず、その言葉すら聞き覚えがない。
何を指す意味なのだろうか。
「チェガンは才能って意味だよ……確か……違う国の言葉だって……アルカさんが言ってた……かな」
「そうなんだ……」
アルカって他の国の言葉もわかるの?
普通に頭良いのかな。人を小馬鹿にしてばっかりだけど。
「それで……さっきの話の……続きだけど……例えば……さっきソフィアさんと喧嘩していた……もう一人の人居たでしょ?」
「うん」
「その人は恐らくヒュースさんっていう人だと思う……帽子被ってたでしょ……?」
 「うん」
  「なら見てたからわかると思うけど……何か気付いた事……ない……?」
横目でこちらを見ながら質問してきた。
「気付いた事……」
少し考えて、さっきの光景を思い出した。
思い出しただけで怖いんですけど……。
ヒュースさんは、一瞬で階段から移動したり、壁を壊したり、目で追えないくらいのスピードで殴ってたり……って……それって。
「すごいスピード、力……あれは普通の人には出来ない事なんじゃないかな?  一発で壁や床を壊すなんて」
「そう……ヒュースさんのチェガンは、『強化身体能力』なんだよ」
「強化身体能力?」
「うん……常人にはありえないパワーやスピード……。強さで言うと結構上の方にいるんじゃないかな?」
「でも、ソフィアさんはヒュースさんのスピードについてきてたみたいなんだけど?」
喧嘩している所は早すぎて見えなかったけど、どこも怪我してないってことは全部避けてたって事なんじゃないだろうか。
「ソフィアさんも『強化身体能力』の持ち主なの?」
「いや……ソフィアさんは違うよ……ソフィアさんのチェガンは……戦闘系じゃないよ」
「え……? でも、それじゃヒュースさんとあんなすごい喧嘩……出来るわけないんじゃ……」
本当にすごいスピードだった。そこまで動体視力は良い方ではないが目で見えないほど早い動きをするのは普通では無理だろう。それをチェガン? というものなしでやるなんていうのは不可能ではないだろうか。
「ソフィアさんは……すごく頭がいいんだよ」
「頭がいい?」
「うん……まぁ……アルカさん程じゃないけど」
やっぱりあの人は頭いいんだ。外国語を知ってる時点で察してはいたけど。
信じたくないなぁ。
「だから、ヒュースさんの動きを先読んで動いてるの……あの人は動きが単調だから……ソフィアさんぐらい頭が良かったら……読みながら動けるし……。そもそもの戦闘能力がずば抜けてるから」
「そう……なんだ」
チェガンについては何となくは理解出来てきたと思う。
アニメとかでよく見る異能力とか言うものなんだろう。でも、それは少しわかったからいいけど肝心の所は教えてもらってないのですが。
「チェガンの事は少しわかったけど、それが分かったとしても相手を信じていいとかは分からないんじゃないの??」
「あぁ……それは……その人がどんな風に……自分のチェガンを使っているのかも……少しわかるんだよ……色で」
「……色?」
「うん……チェガンがわかる時って…。色も出てくるんだよね……その時に……明るい色だったら信じていい人」
ガブのチェガンは、相手の目を見てチェガンを見破るらしい。
感覚的には頭の中にチェガンの特徴と色が出て来る感じ……らしいがあまりピンとは来なかった。
「それでね……君の友達もチェガンを持っているんだよね……色は……黒色」
「え……黒?」
先程の説明を思い出すため、頭をまたフル活動させた。自然と冷や汗が出て来る。
「黒色って……」
なんとか出た声は何ともか細い声で震えていた。
「わかった? ……あの子のチェガンは……」
私は先程ガブと呼ばれていた青年に引っ張られ森の中を走っている。正直体力的にもう限界だ。
「……ここまでくれば……もう大丈夫……だと思う」
結構走ったところでやっと止まった。
今日だけでどのくらい運動をしたのだろうか。もう足がフラフラだよ……。
「……大丈夫?」
「はぁ……大丈夫……で……ぜぇー……です」
「……あそこに座れそうな所あるけど……行く?」
ガブが指さしている方には大きな木があり、根っこの部分が少し飛び出していて座れそうだ。
「お……お願いします……はぁ〜」
ストッ
「ふぅ〜……」
飛び出している根っこに座って一息つく。やっとゆっくり休めた気がする。 
自然の中に居るので空気も澄んでいてとても気持ちがいい。
自然の風を浴び続けている間、ガブは私の隣に座りぼ〜っとしていた。
ずっと無言な空気が続いており正直凄く気まずい………。
この人は一体どんな人なんだろうかと頭の中で先程の起こった出来事を思い出していた。
ガブがエレナを見てからいきなり変な事になった。
一体何が見えたのか、私には考えつかない。そう思っていると屋敷に残してしまったエレナの事が心配でならなくなった。すごく嫌な感じがする。
「………っエレナを! 」
ーーエレナをどうすつもり!
と、聞こうとしたらガブは体を少しビクつかせながらこちらをチラ見した。
「な……なに?」
びっくりしたのか目を見開いて私を見る。
いや、そこまでびっくりさせるつもりはなかったのですが……ごめんなさい……。
「エレナは……エレナはどうなったの?」
「え……エレナ? あぁ……さっきの女の子?」
「そうだよ! エレナはどうなるの?! ま……まさか殺されるとか……ていうか、さっきの男の子は何?! 誰なの?! エレナはどこにっ……?!」
冷静を保つため頑張ったがこれ以上は無理だった。だんだんと取り乱してしまい次から次へと質問をぶつけてしまう。それをガブは表情を一切変えずに最後まで聞いてくれた。
「……とりあえず落ち着きなよ……アルカさんがいるから多分……殺しはしないよ……あの2人だけだったら……わからないけど……カルムさんもいるし」
目を合わせないまま淡々と説明してくれた。
口調が優しく丁寧な感じのため自然に安心出来る。
言葉の間にある『……』は何か意味があるのかな?
「あの……貴方は一体何者なの?」
そう聞いたと思ったら、ガブは急にこっちに顔を向けじ〜っと見ている。
って、なんですかい??
「……君ってすごいね」
「え? 」
質問を華麗に無視された私は思わず素っ頓狂な声が出た。
いや……無視しないでくださいよ。
「だって、普通あんなの見たら逃げるでしょ……僕は逃げた所で追いかけたりしないよ……逃げたかったら逃げてもいいけど……ただ……ここの事について誰にも言わないって……約束してくれたら」
こちらをチラっと見てそう言った。
「だって……私が逃げたらエレナがどんな事されるかわからない。逃げたいけど……エレナを置いてはいけないよ」
「……ふーん」
興味無さそうにそっぽ向きながら相槌。そっちが聞いてきたのに……。
「そういえば、さっきの質問に答えてなかったね」
……話しが飛びすぎる。なんの事だか一瞬分からなかったよ。
それを、ガブは忘れたのかというような目で言葉を続けた。
「ほら……僕は一体何者かって……聞いてこなかったっけ?」
いや、確かに聞いたけど今このタイミングで?
答えてくれるならどのタイミングでも良いんだけどさ。
私は小さく首を縦に降った。
「僕はガブ……ガブリエッラ·トリエステ……ガブって呼んでくれていいよ。みんな、そう呼んでるから」
「ガブさん?」
そう呼ぶと、ちょっと嫌そうな顔をして首を横に振った。
「……ガブでいい」
「わ……わかりました。ガブはなんでこんな所にいるの? 何が見えているの?」
「説明下手だからうまく言えないけど……」
「うん、それでもいいよ。教えてくれないかな?」
「わかった。でも、それだけじゃないんでしょ……? 聞きたい事……。後で何回も質問されるのも……面倒臭いから……今まとめて話しても……いい?」
こっちを少し確認している。
何となく言葉にトゲがあるような感じがしたが聞きたいのは事実なので何も言わずに頷いた。
「いいよ。気になるし……あの人達の事も……」
「そうだね……なら……話すよ」
ガブは目線を私から外し話してくれた。
元々目線を合わせるのが苦手な子なのかな。
「まず……僕がここに居るのは、拾われたからだよ」
「拾われた?」
「うん……僕は小さい時に捨てられたから」
   本当にそんな事をする人がいるんだ。
ニュースとかではよく見るが、いつ見てもそれはひどいと思っていた。それが、今目の前にいる人は体験したんだと思うと何故か悲しくなった。
「捨てられた経緯とかは……今は関係ないから……省くけど……捨てられたのは……森だった」
「森……まさか」
ガブが捨てられた森って……。
「想像通りだと思うよ……今ここ…。僕達が居るここで……僕は捨てられた」
目を見開いた。まさか、捨てられたのがこんな山奥だとは。子供の足なら森を出るのも大変だろう。大人の足でもここに来るまでの道のりは簡単ではないはず。それも考えての〈ここ〉だったのだろうか。
「……大丈夫だったの?」
「大丈夫……ではなかった……。普通に怖かったよ」
まぁ、そうだよね。
こんな森の中、子供一人だと怖くて怖くて仕方が無いと思う。
「怖くて動けないでいると……声が聞こえたんだ」
「声?」
「そう……『そんな所に一人で何をしてるんだ? もう遅いから帰れ』ってね……そして、上を向いたらソフィアさんが居たんだよ」
「ソフィアさんって、さっきの喧嘩していた一人? 白い髪の……」
 
「また……喧嘩してたんだ……。多分……その人で合ってるよ」
またって事はやっぱりあの二人はよく喧嘩するらしい。
壁直し終わった後も言い争ってたしなぁ。
「それで……目の前にはソフィアさんが立っていた……。その時に教えてくれたんだ……『ここは危険だ、とりあえずこの道をまっすぐ言ったら大きな屋敷がある。そこには人がいるはずだ。そこへ行け』ってね」
意外だ。
あの人がこんなに面倒見がいいなんて。
「僕は……ソフィアさんの事を信じてもいいって……わかったから……その人の言う通り……屋敷へと向かった」
ん? 信じていい?
なぜそう思ったのだろうか…。
「ちょっと、聞いてもいいかな?」
「なに?」
ガブは私を横目で確認し聞いてくれた。
「信じてもいいってなんでわかったの?」
「……んとね」
目を背けて少し下を向きながらガブは悲しそうな顔で言っていた。
「あのね……僕には『人の力を見る』事ができるんだよ」
「……力??」
「そう……まぁ……力って言うか……みんなは……『チェガン』って呼んでるけど......それで……『チェガン』についてわかりやすい例を出すと……2人が喧嘩してるの見たんでしょ……? それが一番わかりやすいんじゃないかな」
私の事を確認しながら続きを話してくれた。
「『チェガン』って言うのは……なんて説明したらいいかな」
手を口元に置き考えている。
「『チェガン』ってね……常人を超えた能力……みたいなものなんだよね」
「常人を超えた? というか、チェガンって何? どういう意味??」
まず、その言葉すら聞き覚えがない。
何を指す意味なのだろうか。
「チェガンは才能って意味だよ……確か……違う国の言葉だって……アルカさんが言ってた……かな」
「そうなんだ……」
アルカって他の国の言葉もわかるの?
普通に頭良いのかな。人を小馬鹿にしてばっかりだけど。
「それで……さっきの話の……続きだけど……例えば……さっきソフィアさんと喧嘩していた……もう一人の人居たでしょ?」
「うん」
「その人は恐らくヒュースさんっていう人だと思う……帽子被ってたでしょ……?」
 「うん」
  「なら見てたからわかると思うけど……何か気付いた事……ない……?」
横目でこちらを見ながら質問してきた。
「気付いた事……」
少し考えて、さっきの光景を思い出した。
思い出しただけで怖いんですけど……。
ヒュースさんは、一瞬で階段から移動したり、壁を壊したり、目で追えないくらいのスピードで殴ってたり……って……それって。
「すごいスピード、力……あれは普通の人には出来ない事なんじゃないかな?  一発で壁や床を壊すなんて」
「そう……ヒュースさんのチェガンは、『強化身体能力』なんだよ」
「強化身体能力?」
「うん……常人にはありえないパワーやスピード……。強さで言うと結構上の方にいるんじゃないかな?」
「でも、ソフィアさんはヒュースさんのスピードについてきてたみたいなんだけど?」
喧嘩している所は早すぎて見えなかったけど、どこも怪我してないってことは全部避けてたって事なんじゃないだろうか。
「ソフィアさんも『強化身体能力』の持ち主なの?」
「いや……ソフィアさんは違うよ……ソフィアさんのチェガンは……戦闘系じゃないよ」
「え……? でも、それじゃヒュースさんとあんなすごい喧嘩……出来るわけないんじゃ……」
本当にすごいスピードだった。そこまで動体視力は良い方ではないが目で見えないほど早い動きをするのは普通では無理だろう。それをチェガン? というものなしでやるなんていうのは不可能ではないだろうか。
「ソフィアさんは……すごく頭がいいんだよ」
「頭がいい?」
「うん……まぁ……アルカさん程じゃないけど」
やっぱりあの人は頭いいんだ。外国語を知ってる時点で察してはいたけど。
信じたくないなぁ。
「だから、ヒュースさんの動きを先読んで動いてるの……あの人は動きが単調だから……ソフィアさんぐらい頭が良かったら……読みながら動けるし……。そもそもの戦闘能力がずば抜けてるから」
「そう……なんだ」
チェガンについては何となくは理解出来てきたと思う。
アニメとかでよく見る異能力とか言うものなんだろう。でも、それは少しわかったからいいけど肝心の所は教えてもらってないのですが。
「チェガンの事は少しわかったけど、それが分かったとしても相手を信じていいとかは分からないんじゃないの??」
「あぁ……それは……その人がどんな風に……自分のチェガンを使っているのかも……少しわかるんだよ……色で」
「……色?」
「うん……チェガンがわかる時って…。色も出てくるんだよね……その時に……明るい色だったら信じていい人」
ガブのチェガンは、相手の目を見てチェガンを見破るらしい。
感覚的には頭の中にチェガンの特徴と色が出て来る感じ……らしいがあまりピンとは来なかった。
「それでね……君の友達もチェガンを持っているんだよね……色は……黒色」
「え……黒?」
先程の説明を思い出すため、頭をまたフル活動させた。自然と冷や汗が出て来る。
「黒色って……」
なんとか出た声は何ともか細い声で震えていた。
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