みんなの役に立ちたい気持ちは誰にも負けない!!!

桜桃

仲間達

「戻ったぞ〜」

 屋敷の中に入ってみると思っていたより綺麗に掃除されていた。だが、蛍光灯が少ないのか薄暗い。
 目が慣れていないせいで中央にある大きい階段しか確認できない。
 左右も廊下が続いているが暗くて奥まで見ることが出来ない。
 お化け屋敷でももっと明るいぞ……。

「ねぇ? なんでこんなに暗いの? 」

「確かに……ちょっと怖いかも」

 私もエレナも不安はあるものの、一応周りを見渡していた。
 左右の廊下には何個かドアがあったため部屋の数は相当多いのだろうと思う。
 その時廊下の奥の方に人影が見えた。

「ひ?! 」

「だ……だれ?」

 怯えている私とエレナの横からアルカが呑気な声でその人影に話しかけていた。

「おぉ〜ソフィアか。珍しいな? 本には飽きたのか? 」

「なんでそうなる? 普通人が来たと思ったら確認しに出てくるだろう? 頭を使え阿呆」

 この人はアルカと同じ思考らしい。
 私に言われたわけでは無いが何となくイラッとしてしまった。

「いつも人が来たとしても出てこないだろ? つーか本読んでる時は周りの音なんていつも聞こえてないのにどうしたんだ?」

「別に……ちょうど読み終わったら音がしたから来てみただけだ」

「なるほどな」

「あと、お前を呼び出した奴から伝言だ」

 その言葉を聞いたアルカはいきなり真面目な顔になり耳を傾けている。

「お前が予想した所に二人は行き無事に終わったらしいが……」

「……が? 」

「またすぐに他の所に現れるかもしれないそうだ」

「だろーな」

 内容的には慌てて戻ってくるような内容ではないと思う。てか、どういうこと? 無事って……なんの事?
 少しの沈黙のあと、男の人は私達に気づいたのかこっちに顔を向けた。

「ところで、後ろにいる二人は誰だ?」

 私達の事を機嫌が悪そうな口調で聞いている。なんでそんなに機嫌悪いの? 怖いんですけど……。

「お! こいつらか。なんか俺に協力したいとかなんとか言ってたから連れてきた」

「またか……ここは遊び場じゃねぇーんだ。軽々と人を入れるな」

 なんか少し怒ってる気がする。
 やっと目がこの暗さに慣れてきてくれたので前に立っている人の姿がはっきりと見えてきた。
 ソフィアと呼ばれていた人は白い髪で顔の半分を隠し、長めのマント? 外套とでも言うのだろうか、それを身にまとっている。身長はそんなに高くないため見た目は20代前半くらいの男性に見える。
 声が低かったので男性だとは思っていたけど。

「あの人は誰なの? 」

 私はアルカの後ろに近づき小さな声で聞いた。

「んあ? あいつか? あいつは〜仲間だな」

 ドヤ顔をしながら言わないでよ。それぐらい私でもわかるっつーの。

「それはわかるのよ! どんな人なのかって聞いてるの! 」

「見た目はすごく若そうよね? 20代くらいじゃないかな? 」

 いつの間にか隣にエレナが移動してきていた。

「確かに……身長もそんなに高くないしそうかも? 」

「ば?! おま?! 」

「「え?」」

 アルカは真っ青ですごく困った顔をしながら私達の方を見ている。
 えっ。何? 私何か言った?

「一体どうし……」

 聞く前に、先程の人から何やら嫌な空気? みたいなものが流れてきた感じがする。背には冷や汗がたくさん流れてきた。

「り……リヒト……あの人、すごく怒ってない? 」

 エレナは苦笑いしながらソフィアという人を見ていた。私も恐る恐る見てみた。

「ひ?! 」

 ソフィアという人はこっちを睨みながらすごく怖い顔で静かに私達の方に向かって来ている。
 なになになに?! めっちゃ怖いんですけど! え? 死ぬの? 今日が私の命日? まだ、彼氏すらできたことないんですけど?!

「え? なに?! 私達何かひどいこと言ったの?! 」

 私達は後ろに下がりたくても体言うことを聞いてくれない。その人から目を離せなかった。
 金縛りにでもあっているような感覚だ。

  ーーーーーー怖い

 そう思っているうちにその人が目の前まで近づいてきていた。

「あ……あの……」

 やっとの思いで出た声も掠れてしまい多分この人には届いていない。
 するといきなり手を伸ばしてきた。

 殺される!

 そう思い咄嗟に目を閉じると、階段の方から少し高めの呑気な声が聞こえた。

「お〜いアルカ? いるのかっ……」

「……?」

 途中で言葉が切れたため、気になり階段の上の方を見てみると先程アルカを呼んでいたヒュースと呼ばれていた男性がこちらを凝視しながら固まっている。

「あ……やば」

「え? 」

 アルカの少し低めで焦った声が聞こえたため私は目を開けアルカと階段上の男性を交互に見合わせた。すると……。

 ドガン!!!

 いきなり壁が壊れたような音が鳴り響き、何が起きたのか全くわからなかった。

 一瞬。

 大きく危ない音が私達の斜め前から聞こえた。
 ……な に が お き た ?

「あちゃ〜……タイミング悪いな」

 アルカは、片手を頭の後ろに回し本当に困りきっているような表情をしている。

「「な……なに?」」

 音がした方を見てみると、さっきまで階段の上にいた男性が今、ちょうどソフィアさんがいた所に手を床につき立て膝で座っていた。その表情はすごく怒っており眉間に皺を寄せていた。
 よく見れば、腰に着物? のようなものを巻いている。羽織とか言うものだろうか。
 そして、ソフィアさんはいつの間に場所移動したのかヒュースさんとは反対側に居た。
 眉間にシワを寄せ何かを言いたげな顔でニュースさんを見ている。

「え? なに? どうしたの?」

「り……リヒト壁が……床が……」

 私はエレナが指さす方を見てギョッとした。
 壁は壊れており、周りには木の粉や大小様々な破片がばらまかれている。
 床はヒュースさんの下が一番凹んでいた。
 ヒュースさんが少し動く事にミシミシと嫌な音を立てていた。今にも穴が開きそうな感じだ。

   こ……これを一発でやったの……?

「ソフィア! 今日こそお前をぶっ殺してやる!!」

「めんどくさいのがいる……視界にも入れたくないな」

「なんだとー!!」

 ヒュースさんがまたソフィアさんを殴ろうと立ち上がる。その際も床がミシミシと嫌な音を立てている。正直床抜けるんじゃないかと不安になる。

「え? これって大丈夫なの?」

 アルカに聞こうと後ろを向いたら

「あ〜俺俺、ちょっといいか? 」

 いつの間にか誰かに電話をしていた。

「ちょっと! 電話してないで……」

 アルカに対して怒ろうと思った時。

 ドガン!!

 ビクッ

 またもや先ほどと同じ音が後ろから聞こえた。
 咄嗟に音がした方を見るとさっきまで言い争いをしていた二人がいつの間にか殴りあっている。
 いや、ヒュースさんが一方的に殴っているようにも見える。
 今少しでも動いたら巻き込まれそうで怖い。

「エレナ……これどうしたらいいんだろう」

「こればっかりは……私にも 」

 私達が困っている時後ろから声が聞こえた。

「お前達は何もするなよ? 余計な仕事を増やすな」

 いつの間にか電話を終えたアルカが私達に対してそう言った。
 言い方に棘があるような気がしたがそんなことを気にしている場合では無い。
 屋敷が軋む音が聞こえる。本当に崩れそうになっていた。

「貴方何とかできない?! このままじゃ生き埋めになっちゃうわよ!」

「いやいや〜俺があの二人を止めるだって? 無理無理〜俺そもそも戦闘系じゃないし〜」

 手をひらひらさせながら呑気にそう言う。
 余裕な感じで焦りなどが一切感じられない。
 この人は色んな意味で頭大丈夫なの?!

「じゃー! この家はどうなんのよ! 私達が生き埋めになっちゃうじゃない!」

 怒るとアルカは少し遠くを見ているような……さっきとは変わって真面目な顔に切り替わった。
 そんな表情できるんだ……この人。

「こんなのでここが壊れてたらそもそももうなくなっちゃってるっつーの……」

「「え?」」

「それに、この喧嘩はもう終わる」

 少し笑いながらこちらを見てそう呟くアルカ。

「もう、終わるって?」

 喧嘩と呼んでいいものなのかわからない大乱闘は一人の一声で止まった。

「何をやっているのかしら? お二人共」

 ぴたっ……

 空気が一気に変わったような感じがした。
 さっきまでの殺伐とした空気は凍りつき、喧嘩していた2人はその場にぴたっと立ち止まった。
 声の主を見つけようとドアの方に顔を向けると女性が一人立っていた。
 その人は、私達の隣を散歩をするような歩き方で喧嘩していた2人へと向かって行った。

「ちょ! 危ないんじゃないんですか?!」

 声をかけたがその人は聞こえてないのか振り向かず歩き続けている。

「問題ねぇーよ、てかあの二人を平和的に止められる唯一の人物なんだよ、あの人は」

 アルカは私の肩に手を置きそう言った。その顔はすごく安心しているようにも見えた。
 まるでお姉さんを見て喜んでる子供のような顔だ。

「どういうこと……?」

 そう思いながらもぴたっと止まった2人の方を見ると、表情が先程からは考えられないほどに怯えているように見えた。

「何をしているのかしら? 喧嘩は程々にと、いつも言っているでしょう?」

「いや……これはその……」

 ヒュースさんは焦りすぎて言葉が出てきていない感じだ。
 ソフィアさんの方も目をそらしたまま何も言わない。
 どうしたんだろうか。
 さっきまではお互いを敵対視しているようにすごい暴れていたのに
 あの人が声をかけた瞬間静かになった。

「言い訳かしら? この場を見て言い訳は聞くのかしら?」

「いや……」

  ニコッ

「いい加減にしなさい?」

「ご……ごめんなさい!!」

「……俺は悪くないと思うが」

「ソフィアさん? 」

 ーーーーーーびくっ

「……悪かった」

「ふぅ、もうやめなさいね? あと、ここの壁と床の修復を行いなさい!」

「「はい……」」

 すごい。
 素直にそう思った。あの人が来て声をかけただけでこの場が収まってしまったのだ。
 あの人は一体何者なのだろうか。
 そう思っているとアルカが女性に近づいて行った。

「お疲れ様! 助かったぜ」

「いえ、お構いなく」

 改めてその女性を見た。女である私でも見惚れてしまうほどの美人さんだった。
 その人は着物を着ており茶髪の髪は肩より少し上で内側へカールしている。前髪は長いのか右目が隠れてしまっている。

「あら? お客様?」

 女性は私達の方を向きながら言った。

「あ! そうだ……忘れてた」

「なっ!」

「こ〜ら、お客様に失礼でしょう?」

「はぁ〜い」

 その人に対してだけはすごい素直な態度に何となく複雑な気持ちになった。
 初対面なのになんでだろう。

「はじめまして、私はカルム·リリアーナ。カルムって呼んでくださって構いませんよ」

 カルムと名乗った女性は手を出しながら自己紹介をしてくれた。

「はじめまして、私はグラオザーム·リヒトって言います。こちらは私の友達の.....」

「エレナって言います。はじめまして」

 私達2人共順番に握手をした。

「リヒトさんとエレナさんね。可愛いわね」

「……えへ、ありがとうございます」

「ありがとうございます」

 笑いながらも顔が赤くなってしまっているのがわかる。
 こんな綺麗な人にそんな事言われたら誰でも照れてしまうだろう。

「貴方達はなぜこんな所へ? 迷って入ってしまったってわけでもありませんよね」

「俺が案内しましたぁ〜」

 アルカは軽々と言い放った。
 てか、やっぱりこの人、あんな風に言ってたけど実際は全然焦ってなかったってことだよね? 
 どういうことよ。

「あなたが? なぜ? この子達には何か力があるのかしら?」

「いや! 多分なんもないと思うよ? まぁ〜……一人を除けば……だけどね」

 アルカは目を細めながら私達に顔を向けた.....と思ったら直ぐに顔を戻しそのまま話を続けている。

  「ねぇリヒト。結局私達は何をすればいいんだろう?」

  「さ……さぁ。分からない」

 そう話していると……。

「ちょっと、あの子を呼んで頂いてもよろしいかしら? もしこの子達に力があれば多分何かわかるんじゃないかしら?」

「あぁ、確かにね」

「あと、ソフィアさんからは聞きましたか?」

「聞いたよ、でも多分時間の方は大丈夫だと思う」

「わかりましたわ。では、お願いしますね」  
 
「了解!」

 アルカは廊下の奥へと消えて行った。
 ………あの子?

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