みんなの役に立ちたい気持ちは誰にも負けない!!!

桜桃

出会い

 〜放課後〜

 教室で帰る準備をしている時。

「リヒトー! 帰ろー!」

 エレナの元気な声でドアの方に顔を向けると、私に笑顔で手を振りながら待っていた。

「今行くー! 」

 少し急ぎ気味で帰る準備をして小走りでエレナの所に向かった。
 その際に何も無い所で躓いたのは誰にも見られてないよね……?

 私達は廊下を歩きながら今日あった出来事などを話していた。

「五·六時間目に国語と数学とか! 最悪! 」

「だよねぇ〜眠くなっちゃうし」

「そうそう! 先生方はちゃんと生徒の事を考えて欲しいよ」

「それなぁ〜」

 くだらない話で笑いながら校門を出て、いつも通り寄り道しながら帰っていた。だが、寄り道するにも所々に立ち入り禁止や立ち入り注意などの看板がある。
 そもそもなぜこんなに沢山色んな所にあるのだろうか。看板が立っている所はなぜかボロボロだし……。
 まぁ、これが私達の街では普通だから気にしないけどね。
 エレナといつも通り通学路を話しながら歩いているといきなり後ろから声をかけられ足を止めた。

「おい」

 二人で振り向いたら一人の男性が立っていた。
 髪は少し長いのか後ろ低めに結んでおり、右側の横髪を垂らしていた。赤いパーカーの前を開けており、片目の眼球が薄いらしく白く見える。だが、それを入れたとしてもなかなかの美青年だと思う。
 周りを少し確認したが私達以外誰もいない。

「私達?」

「他に誰がいる? 馬鹿なのか? 」

     ーーーはぁ?!?!

 思ってもいなかった言葉に開いた口が塞がらなくなった。
 初対面の相手に対してその言葉はないわ。本当にないわ。

「あのねぇー! 」

 文句を言うために口を開くが、私の文句はエレナによって遮られてしまった。

「私達に何か用なの?」

 エレナが私の疑問を言ってくれた。
 ついでに文句も言って欲しかったなぁ。

 男性は少し私達の事を見た後、

「お前ら、これから行こうとしている所に行かない方がいい」

 ーーーーはぁ?

 またしても意味のわからない言葉を言い放った男性を思わず凝視してしまった。
『怪しい』 これが男性への第一印象だ。
 私達はこれから大通りに行き今人気のクレープを食べようと歩いていたのだ。
 すごく楽しみにしていたのに行くなと知らない人に言われた。
 イラつきを隠さずにいるとエレナが口を開いた。

「それは、どういう意味ですか??」

「エレナ?! この人の言ったことを信じるの?! どう見たってこの人怪しいじゃない」

 男性に指を指しながらエレナに問いかける。

「おい、人に指を指すな」

「ごめんなさい! どういうことなのエレナ? 」

 
 咄嗟に謝ったが、それでも男性はちょっとムッとした顔をしていた。
 でも今はそれどころでは無い。
 エレナに問い詰めようとしたら、またしても思いもよらない言葉が返ってきた。

「だって、この人は信じていい人だと思うよ?」

「……はぃ?」

   ーーーーーーどういうこと?

「……それって、何をどう思ってその発想に行き渡ったの? 」

 今はとりあえずこの疑問を解決した方がいいだろう。
 そう思い、おそるおそる聞いてみたところ「なんとなく?」の一言で片付けられてしまった。

 ーーは?

「待てよ……私がおかしいの? いやいや、そんなわけない。私が正常のはずよ? どゆこと??」

 一人でブツブツ唱えている。周りからは変な人と思われる光景だろうが幸いなことに、周りにはエレナと変人(美青年)の二人しかいないため気にする必要はない。
 いや、女として少しは気にした方がいいのかな。

「……なんとなくでこの人は信じてもいい人だと思ったの? 」

 聞き間違いだとそう信じ、頭を抱えながら再度質問した。

「うん! なんとなく!」

「だよね! 知ってた! 」

 ため息をひとつ吐き、叫び気味でエレナに言い寄る。

「それどういうことなの?! なんとなくで怪しい人を信じるって馬鹿なの?! 」

「ば?! 馬鹿ってひどい! だってこの人からは良い人オーラが出てるじゃない!!」

 ーー良い人オーラ?

 エレナは無邪気で明るく、素直でいい子だけど時々何を考えてるのかわからない、不思議なところがある。

「ほぉ〜、その二つ結びの女は見どころあるなぁ〜隣の女とは違って」

 私の事を見ながらニヤニヤしている。
 正直に言って腹立つ。この言葉しか今は思い浮かばない。

「そもそも! 何を差し置いてでもまずは名前を名乗るのが先なんじゃないの? 」

 男性に指を指して、怒り口調で聞く。

「おっと、そういえば名乗ってなかったな。俺の名前はアルカ·フェデリオ。アルカでいいよ」

「私はエレナ! ベリンダ·エレナ。それで、こっちはグラオザーム·リヒト。かっこいい名前でしょ!」

 勝手に自己紹介をしないでよ。まぁ、そんなこと言ったところで意味ないんだけどさ。

「……女にかっこいい名前でしょはないでしょう」

「いいじゃない! かっこいいんだもん」

 満面な笑顔で言い切ったエレナの顔を見ると自然に笑みが浮かんでくる。不思議なものだ。

「エレナちゃんにリヒトな」

「なんで、私は呼び捨てなのよ……」
 
「まぁ〜、とりあえずこれから行く所には行かない方がいい。『道中』に何があっても知らねぇーぞ?」

「ちょっと! 無視してるんじゃ……」

 ーーーーーーピリピリピリピリ

 聞こうとした時にどこからか電話の着信音的な機械音が鳴った。

「ちょっとすまんな」

 その音の主はアルカと名乗った人のだったらしい。アルカはそう言うとポケットからスマホを取り出しそれを耳に当てた。

「もしもし、アルカ·フェデリオ……」

 途中で言葉が止まった。
 そして、なんか困った感じの表情をしている。

「どうしたんだろう?」

「……さぁ」

 待っているとアルカは何回か言葉を交わした後に携帯を切った。

「あぁ〜まじかよ……」

 頭を掻きながらボソリと呟いた。

「何かあったんですか? 」

 エレナが心配そうな顔で聞いていた。
 私も気になったため一緒にアルカの方へと近寄った。

「何かあったの? 」

「あぁ〜、いやお前らには関係ねぇーよ」

 目線だけをこちらに移したがすぐに目を逸らされてしまった。

「何か困ってないですか? 私達でよければ協力しますよ?」

「私達?!」

 私は思わず「ちょっと待って?! 」と言ったが二人ともその言葉には何も反応しなかったため反論の言葉は宙に消えていった。寂しい……。

「......」

 少し驚いた顔でアルカはこちらを見ている。
 いや、驚くのは当たり前だろと思いながらエレナを凝視していたが、なんの反応もなくじっとアルカの方に目を向けている。
 本気なの?

「ん〜そうだなぁ〜、じゃ〜少し協力してもらおうかねぇ〜? 」

 思ってもみない言葉に唖然とした。

「本当に? やったぁー! 」

 エレナは両手を広げて喜んでいる。何に対して喜んでいるのか私には何もわからない。
 私はまさに開いた口が塞がらない状態であった。

「んじゃ! 俺について来い」

 顎で道を指して歩き始めた。

「はぁーい!」

 絶対に楽しんでるエレナに私もその後ろをついて行くことにした。
 文句を心中で思いながらも正直少し気になっていたので結果オーライだったかもしれない。
 だってあの人、顔は笑っているのに何となく心は笑っていない気がする。一体、あの人は何者なのだろうか。

 考えながら私はエレナの後ろをついて歩いた。
 ……もしかしてだけどわざとあんなこと言ったんじゃないでしょうね。この人は何を考えているか分からないし……。信じて大丈夫かな……。
 不安と心配が心の中で渦巻きながらアルカについて行った。

「みんなの役に立ちたい気持ちは誰にも負けない!!!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く