雨日和

みゆ

4

「みゆさーん、お昼どうします?」


「うーん、紗菜ちゃんどうする?」


「雨も降ってきたし外出るの嫌なんで
社食にしませんか?」


「だね、そうしよっか」







金曜日。

職場の一つ下の後輩、紗菜ちゃんとのお昼。

朝は晴れてたのに
どんどん暗い雲が広がって、あっという間に降ってきた雨。

外を見ると
窓ガラスををポツポツと濡らしていた。 








「今日の会社の飲み会どうしよっかな~。
みゆさん行きますか?」


「ごめん、私今日予定あって」


「あ、例の彼とのデートですね?」


「うん、まぁ…」


「いーなー!
あんなイケメンで高収入で優しそうな彼氏、私も欲しいー!」


「そんなそんな…、
紗菜ちゃんの彼だってイケメンじゃない」


「でも別に優しくないですもん、稼ぎ悪いし」


「ほら、まだ若いんだからこれからだよ」


「そうかなぁ~…」







こんなこと言ってるけど
紗菜ちゃんが彼のことを大好きなのは見てれば分かる。

少し不満そうだけど
彼とのペアリングを輝かせて、オムライスを頬張ってる紗菜ちゃんは
十分幸せそうに感じるけどな。







「そろそろみゆさんも結婚かなぁ~」


「こらこら、なんで急にそうなるの」


「だってもう長いじゃないですか、今の彼氏さんと」


「うーん…」


「あーん、ほんと羨ましい~」







結婚かぁ…。

具体的に考えると、全然想像できない。

そもそもそんなに結婚に夢を見てるタイプでもなかったから。







「紗菜ちゃんは結婚したいの?」


「そりゃしたいですよ!
好きな人とずっと一緒にいれるなんて幸せじゃないですか~」


「そっかぁ…。
その好きな人って、どれくらい好きなの?
あんまり好きだと怖くならない?」


「え?」






私のその唐突な質問にオムライスを頬張ってた手を止めて
キョトンと私を見つめた。







「……あ、いやごめん、なんでもない」


「え~?急にどうしたんですか?」







あは、って笑った紗菜ちゃんに
ごめんごめん、って笑って誤魔化して私もパスタを頬張った。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品