【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1317話 それで俺は言ってやったのさ

 俺はリリアンに治療魔法をかけてもらった。
 ほろ酔い状態にまで回復した俺は、そのまま彼女と談笑していた。

「――それで俺は言ってやったのさ。『男には、引けねぇときがある。俺の場合……それは今だ!!』ってね」

「まぁ! そんなことを言われたのですか?」

 リリアンが驚きの声を上げる。
 彼女は興味深そうに俺を見た。

「ふふふ……。カッコいいだろう?」

 このセリフを言ったのは、エリオット戦だな。
 闇の瘴気で暴走したエリオットは、宝物庫から多彩な魔導具を持ち出してから玉座の間を急襲した。
 メルティーネを人質にとり、魔導具『呪鎖』によって俺を弱体化させた。
 特殊な水晶に魔力を込め、海神の化身と呼ばれるアビス・サーペントを召喚。
 さらには魔導具『玉手箱』を使い、未来を前借りすることにより自身を強化。
 国宝の海神剣なんてのも持っていたな。

 そうして圧倒的に不利な状況にされてもなお、俺は引くわけにいかなかった。
 そのときに言ったセリフだ。

「す、すごいです! とても感動しました!!」

 リリアンは目を輝かせながら言う。
 俺は苦笑した。
 いや、実際にカッコいいセリフだとは思うが……。
 いわゆる中二病みたいなセリフでもある。
 そう素直に感動されると、逆に少し恥ずかしい。

「あはは……そうか? まあ、カッコつけたかっただけだよ」

「そんなことありません! 負ければ死の可能性すらある状況で、逃げずに立ち向かわれるなど……。ナイトメア・ナイト様は本当に勇敢な方だと思います!!」

 リリアンはそう言って俺を褒める。
 若干、過大評価のような気もするが……。
 まあ、悪い気はしない。
 俺は少し照れる。

 アイリスやユナあたりなら、ジト目になって『はいはい……』という感じで流すところだろう。
 俺が調子に乗ったときのブレーキ役兼ツッコミ役が彼女たちだ。
 今頃、元気にしているだろうか……。
 共鳴水晶によると順調っぽいが、早めに合流したいところだな。

「ナイトメア・ナイト様?」

「ああ、すまない……少しボーっとしていたよ。それで……どこまで話したかな?」

「はい! 強敵に追い詰められたときに、『男には、引けねぇときがある。俺の場合……それは今だ!!』とおっしゃられたところまでです!!」

「そうだったな……」

 俺はうなずく。
 ちなみにだが、エリオットたちの情報はボカして伝えている。
 闇の瘴気の影響があったとはいえ、あれはデリケートな問題だからな。
 俺がリリアンに伝えているのは、あくまで過去にあった一つの事件という形だ。

 俺は彼女と雑談を続けつつ、ステータス画面をチラ見する。
 そこには、加護(小)を満たしたリリアンのステータスが表示されていた。


レベル?、リリアン=アシェンプテル
種族:人魚族
身分:平民
役割:第一治療岩責任者
職業:ーー
ランク:ーー

HP:??
MP:高め
腕力:低め
脚力:??
体力:??
器用:??
魔力:??

残りスキルポイント:???
スキル:
治療魔法レベル4(3+1)
??


 彼女は平民である。
 だが、その治療魔法の腕前から第一治療岩の責任者となっている。
 人魚の里における身分制はよく知らないが、そこらの下級貴族と同じくらいの影響力はあるだろう。
 それもこれも、リリアンの努力の成果である。
 さらに加護(小)の恩恵で治療魔法のスキルレベルが上がっているし、さらなる活躍に期待できそうだ。

「リリアン、これからも治療の仕事を頑張ってくれ。人魚の安全は、君が背負っているといっても過言ではないからな」

「ありがとうございます。ナイトメア・ナイト様にそう言っていただけると自信がつきます!!」

 リリアンは微笑む。
 こうして俺は、彼女とパーティーを楽しんでいく。

「では、そろそろ他の人にも挨拶してくるよ。また後で会おう」

「はい、お待ちしております!」

 俺はリリアンと別れ、パーティー会場内を歩き出す。
 次は誰に挨拶しておこうかな?
 メルティーネたち王族を除けば、もう一通りの参加者には挨拶したような気がするが……。

「おうおう! 俺たちも一言、挨拶させてくれや!!」

「このままオサラバじゃ、腹の虫が治まらないんでな!!」

 そう言って絡んできたのは、屈強な体格をした男たち。
 ふむ。
 彼らは……。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品