【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1314話 酔い

「うぃ~。飲み過ぎたなぁ……」

 俺は頭をかく。
 久しぶりに羽目を外してしまったかもしれない。

「ナイトの兄ちゃん、大丈夫か? 一度、外にでて酔いを覚ましてきたらどうだ?」

「そうだな。そうさせてもらおう……」

 俺はおっさんの勧めに従ってその場を後にする。
 宴会はまだまだ続いており、盛り上がりも最高潮に達していた。
 メルティーネやエリオットも、楽しそうにしている。
 俺はその光景に少しホッとする。

(メルティーネが元気そうで良かった……)

 彼女は、今回のクーデターでかなり辛い思いをした。
 なにせ、実の兄が瘴気で暴走し、実の父に対してクーデターを起こしたのだ。
 最悪の場合、兄も父も失っていた可能性すらある。
 だが、今は笑っている。
 俺はそれが嬉しかった。

「さてと……」

 俺は宴会場を抜け出し、バルコニー的な場所へと移動した。
 火照った体を冷ますためだ。

「う~ん、気持ちいい……」

 夜風――ならぬ夜水が心地よい。
 俺は目を細めながら深呼吸した。

「こちらにいらっしゃいましたか、ナイト様」

「リマ?」

 振り返ると、そこにはリマの姿があった。
 さっきぶりだ。
 おっさんを相手した次は、将来性のある美少女。
 このギャップがいい。

「ずいぶんと酔っていらっしゃるようですね」

「ああ、少し羽目を外しすぎたよ……」

 俺は頭をかく。
 リマは心配そうに言った。

「大丈夫でしょうか? まだナイト様にご挨拶していない方々が沢山いらっしゃいます。ただ、ナイト様のお体に障っては……」

「心配いらないよ。少し休んでマシになった。また挨拶しにいくさ」

 俺は答える。
 リマは俺のことを心配して、わざわざ来てくれたのだろうか?
 彼女は本当に優しい子だ。
 俺は彼女の頭を撫でてやる。

「あ……」

 リマは嬉しそうに目を細める。
 可愛いものだ。

「でも、本当に無理はなさらないでください。大恩人様が倒れてしまっては大変です」

「分かってるって。……おっと」

 俺はふらついてしまう。
 リマが慌てて俺を支えた。

「ほら、やっぱりまだお加減が悪いのでは?」

「ううむ、そうかもな……」

 俺は苦笑する。
 実際、頭がボーっとしてきたし……。

「では、私がお支えいたします」

 リマはそう言うと、俺の腕を自分の肩に回させた。
 いわゆる、『お姫様抱っこ』の体勢だ。

「おっ?」

「こうしていれば、ナイト様も楽なはずです」

「ああ、ありがとう……」

 俺は礼を言う。
 水中なので、リマが俺の体重を支えることも不可能ではないらしい。

(……あれ? 男女逆じゃないか……?)

 少し疑問に思ったが、酔いが限界だったので気にしないことにした。
 調子に乗って飲みすぎてしまったようである。
 このレベルまでくると、自分で自分に治療魔法をかけて酔いを醒ますことも難しい。

 いや、技術的には難しくないが……。
 精神的に難しいのだ。
 日本の感覚で言えば、泥酔して帰宅した際に風呂に入って着替えるのが面倒だから、そのまま布団に直行してしまうようなものだろうか。
 本当は、ちゃんと着替えたりしてから寝た方がいい。
 だが、その方がいいと分かっていても、なかなか踏ん切りがつかないこともあるのだ。

「リリアンさんのところへご案内します」

「助かるよ……」

 リリアンは、治療岩の責任者である女性だ。
 彼女も宴会に招待されているので、会場のどこかにいるはずだ。
 彼女は治療魔法を使える。
 俺の酔いをいくらか醒まさせてくれることだろう。
 俺はリマにお姫様抱っこされたまま、リリアンの元へと向かうのだった。

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