【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1311話 一件落着

「まったく……。ナイトメア・ナイト殿もお人が悪い。無事に帰ってきていたのなら、一言声をかけてくださればよいものを……」

「本当ですの! 私たち、とっても心配していましたのよ?」

「いや、申し訳ない。その件については悪かったと思っている」

 俺は頭を下げる。
 今現在、俺はエリオット王子とメルティーネ姫の前で平謝りしていた。

「しかしだな、俺も悪意があったわけじゃないんだ。何というか、タイミングが悪くてな……」

 想像してほしい。
 自分が帰還したタイミングで、『恩人を救出しに行くぞ!』という集団がいたらどうする?
 まさかその『恩人』とやらが自分のことだとは思うまい。
 自分も疲れ果てていたならともかく、少しでも余裕があれば手伝いたいと思うのが人情だろう。

「貴殿の自己評価はおかしいぞ。『人魚族の大恩人』と言えば、貴殿以外に誰がいるというのだ?」

「そうですの! ナイ様はジャイアントクラーケン討伐の功労者で、治療岩で負傷者を治療して、防壁をたくさん補修して、瘴気に侵された兄様を正気に戻してくださいました! もう英雄……いえ、大英雄ですの!!」

 エリオットとメルティーネは俺を褒め称える。
 確かに、俺はそれらの功績を上げてきた。
 特に、最後のエリオットの件は大きいだろう。

 クーデターは、本来ならばかなりの重罪だが……。
 俺が闇の瘴気をしっかりと浄化したこともあり、罪には問われないことになったらしい。
 もちろん、王位継承権もそのままである。
 このあたりは繊細な問題なので、俺がとやかく言うことではない。

 しかし、俺が不在ならばどうなっていただろうか?
 クーデターの成否にかかわらず、今のように笑い合っている状況はなかったかもしれない。
 感謝の視線を向けてくる2人を見て俺は照れ臭い気持ちになり、苦笑した。

「こっちはこっちで打算ありきだったんだけどな」

 俺は冗談めかして言った。
 そこに、ネプトリウス陛下が話しかけてくる。

「うむ。打算というのは……ヤマト連邦とかいう島国に連れて行ってほしい、という件だな?」

「はい。何卒お願いしたいと思っています」

 俺が人魚の里に来たのは、成り行きである。
 ジャイアントクラーケン討伐後に気を失い、メルティーネたちに連れてこられたのだ。
 あのままだと他の魔物の餌になっていただろうし、助けてくれたのはありがたい。

 だが、それはそれとして、里での俺は軟禁されていた。
 無理に脱出しようにも、ここは深海。
 自力での脱出はほぼ不可能だ。
 頑張れば海上までは到達できるかもだが、その先が厳しい。
 ヤマト連邦までの距離は、まだまだ残っている。

「ここから東方に島国があることは把握している。それぐらいならお安い御用だ。とはいえ、魔物襲撃やクーデター騒ぎで、怪我人が多い……。今しばらくは待ってもらわねばならぬ」

「もちろんですよ。俺としても、里の人たちを放っておくわけにもいきませんしね」

 ミッションの件もあり、俺は人魚族と親しくしてきた。
 かなりの情が湧いている。
 自分の都合を最優先するわけにはいかない。
 ミティたちは心配だが、密かに続けていた『共鳴水晶』の情報共有によると順調に旅を続けている様子だ。
 過度な心配は不要だろう。

「ならば良い。せめてもの感謝の気持ちとして、宴を開く予定だ。旅立つ前に、ゆっくり休んでいくが良い」

「ありがとうございます、陛下」

 俺は頭を下げた。
 エリオットもメルティーネも笑みを浮かべている。
 いろいろあったが、全てが良い方向に収まった気がする。
 あとは、宴会を楽しんでから、人魚たちにヤマト連邦の近海まで連れていってもらうだけだ。

 ……ああ、いや。
 もう1つだけ用事があったな。
 達成済みだが、その報酬は確認しておかねばなるまい。

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