【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1307話 マッサージ

「ぐ……! ごごご……」

『ム?』

 俺が力を込めてもがくと、ポセイドンの石像が怪訝そうな声を上げた。
 そして――。

「だあああああっ!!」

 俺は水流を撥ね除ける。
 俺はポセイドンに対して油断なく構えた。

『ホウ……呪鎖ガ解ケタヨウダナ。ヨクゾ耐エタモノダ』

 ポセイドンの石像が感心したように言う。
 俺はそれを無視して、剣を構えた。

「はぁ……ぜぇ……」

『見事ナ魔力ト闘気ダ。矮小ナル人ノ子ニシテハ、見ドコロガアル』

「……」

 俺は無言で構えている。
 エリオットが国宝を用いて俺に発動した『海神の呪鎖』。
 なんやかんやあって、あれはずっと俺についたままだった。
 それが今、ようやく解除された感じだ。
 魔力と闘気が解放されて、身体は絶好調である。
 しかし――

『フフ……。自分デ自分ノチカラガ信ジラレナイカ?』

「……ああ。確かにな」

 俺はポセイドンの石像に同意した。
 さっきまでの俺は力を抑え込まれており、解除された今は力が増している。
 当たり前の話ではある。

 しかしそれにしても、魔力や闘気の出力が段違いな気がした。
 まるで、身体に羽が生えたような感覚である。
 いや、ここは海中だから……手足に水かきが付いたような感覚と言ったほうが適切か。

「呪鎖を纏いながら戦うことで……知らず知らずの内に、魔力や闘気が鍛えられていたのか?」

 俺はそう分析する。
 バトル漫画などでよくあるアレである。
 スポーツ漫画とかでもたまにあるか。
 重い道着を着たり、手足にウェイトを付けたり……。
 その状態で日常生活を送り日々のトレーニングをすることで、外したときに動きが良くなるのだ。
 しかし、あんなのは現実ではありえないと思っていたのだが……。

『部分的ニハソウダ。シカシ、ソレガ全テデハナイ』

「ん?」

 ポセイドンが語る。
 俺は首を傾げた。

『貴様ハ、人ノ身ニ余ル程ノチカラヲ身ニ付ケテイル……。ソレモ、通常ノ鍛錬デハ到達デキナイ程ノ領域ニ、ダ』

「ああ。そうかもしれないな」

 俺はうなずく。
 チートスキル『ステータス操作』の恩恵が大きすぎる。
 もちろん、俺なりに努力はしてきた。
 しかし、それだけでは説明のつかないレベルの力なのだ。

『過ギタルチカラハ破滅ヲモタラス……。貴様ノ魔力回路ヤ気門ハ、酷イ詰マリヲ起コシテイタ』

「詰まり? そんなことが……」

 いや、あり得ない話ではないのか。
 オルフェスでも、魔導技師ムウの魔力回路に異常が発生したことがあった。
 チートによって急成長を続ける俺の体に異常が発生していたとしても、おかしいことではない。

『ソノ詰マリヲ解放シテヤッタ。我ガ『海流爆陣』ニヨッテナ』

「……なるほどな」

 つまりあの激しい攻撃は、俺の魔力回路の詰まりを解消するためのマッサージだったのだ。
 四方八方から水流を受けることで、凝りが解消された。
 結果、俺の魔力回路が正常化し、魔力などの出力が増したわけだ。
 メチャクチャにされた甲斐があったと言えるかもしれない。

『サテ……準備ハ整ッタ』

 ポセイドンはニヤリと笑う。

『今度コソ本気デ行クゾ! タカハシタカシ!!』

 ポセイドンの石像が吠えると同時に、凄まじい水流が俺を襲う。
 だが……俺はそれを斬り裂いた。

「今なら何でもできる気がする。俺は今、最強の力を身に付けたんだからな」

 俺は油断なく剣を構える。
 そして、ポセイドンに突撃していくのだった。

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