【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1306話 海流爆陣

「おらあっ!!」

 俺は『紅剣アヴァロン』を一閃する。
 斬撃が飛ぶが、ポセイドンの石像は魔力を込めた水壁を作って防いだ。

「ちっ!」

『甘イナ! ――【大海嘯(だいかいしょう)】!!』

 ポセイドンの石像が吠えると同時に、周囲一帯の水が激しくうねった。
 それらは巨大な津波となって、俺に迫り来る。

「うおっ!?」

 俺は慌てて逃げるが、津波はなおも追いかけてくる。
 どうやら、水の動きを操る魔法らしい。
 さすが海神を名乗るだけあって、水系の魔法はお手の物ということか。

「ぐあっ!?」

 俺は海流に呑み込まれる。
 凄まじい質量だ。
 激流の中で揉まれる木の葉のような気分だった。

「ぐっ……! はぁ、はぁ……!!」

 俺はなんとか水流から脱出する。
 だが、全身を強く打ち付けてしまったらしい。
 身体が思うように動かなかった。

『ドウシタ? ソンナモノカ?』

 ポセイドンの石像が挑発してくる。
 俺は立ち上がった。

「この野郎……! この呪鎖さえ外せれば、お前なんか……!!」

 俺はポセイドンの石像を睨む。
 魔力と闘気が抑え込まれていなければ、もっと楽に戦えるのだが……。

『フム……。確カニ、呪鎖ノ影響モ大キイヨウダ。ソロソロ頃合イダナ。――【海流爆陣】!!』

 ポセイドンの石像が吠える。
 すると、俺の周囲を取り囲むように魔法陣が現れた。
 前後左右だけじゃない。
 上にも下にも、俺を取り囲むように魔法陣が浮かんでいる。

『サア! 踊レ!!』

 ポセイドンの石像が言う。
 それと同時に、俺の周囲の魔法陣から水塊が放たれた。

「くっ……!?」

 俺は咄嗟に避ける。
 だが、避けた先にも水塊が迫っていた。

「ちっ!」

 俺は剣で水塊を弾く。
 しかし、防戦一方なのも確かな事実だ。
 このままではジリ貧だろう。
 何とか状況を打開しないといけないのだが……。

『ソコダ! 【海流爆陣】!!』

「がっ!?」

 俺の周囲に浮かんでいた魔法陣から、追加の水塊が射出される。
 俺は防ぎきれずに被弾してしまった。
 ダメージ自体は大したことないが……。
 体勢が崩れてしまっている。

『サア! 仕上ゲダ!!』

 ポセイドンの石像が言う。
 そして、魔法陣から水塊が放たれた。

『【殲景・海流爆陣】!!』

「がはっ!?」

 俺は四方八方から迫る水塊を食らってしまう。

『ハハハハハッ!!』

 ポセイドンの石像は笑う。
 俺には為す術がない。
 激流の中に揺蕩う木の葉のようなものである。
 ただ、攻撃を受け続けるしかなかった。

「ちょ、ちょっと待ってくれ……!!」

『待タヌ!』

「ぐおおおぉっ!?」

 俺は悲鳴を上げる。
 ポセイドンの石像からの攻撃が止む気配はない。

「ぐ……ぐぐっ……」

 意識が朦朧としてきた。
 もはや、魔力や闘気で最低限の防御をするだけで精一杯である。

『フム……。随分ト頑丈ダナ……。モウヒト押シトイッタトコロカ』

 ポセイドンの石像が言う。
 奴はまだまだ本気ではないのだろう。
 海神の名は伊達ではない。
 本当に、厄介な相手だ。

「……ん? 待てよ……。なんだ、この力は……?」

 俺はふと気づいた。
 四方八方から攻撃を受け続けているにも関わらず、不思議とパワーが漲ってくるのだ。
 俺の中を流れる闘気や魔力、そして聖気……それらの出力が徐々に増してきているのが分かる。
 これはいったい……?

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