【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1303話 海神ポセイドンの試練

「……はっ! ここは……?」

 気がつくと、暗い空間にいた。
 なんだか海の底にいるような感覚だ。

『ココハ海神ノ大洞窟……ソノ最深部デアル。矮小ナル者ヨ、貴様ノ力ヲ見セテモラオウ』

 重苦しい声が響く。
 間違いない。
 これは海神ポセイドンの声だ。
 そして、ここは『海神の大洞窟』の最深部らしい。
 俺が拠点としていた場所の奥に、こんな場所があったとは。

『我ノ試練ヲ受ケヨ……。見事、コノ試練ヲ突破スルコトガデキレバ……我ノチカラヲ貸シ与エヨウ……』

「おお……?」

 俺は今、ポセイドンに存在を認知してもらっているらしい。
 仮にも『神』の名を持つ存在から個別に認識されるというだけでも、結構な偉業なのではないだろうか?

「力を貸してもらえるのか。それは助かるぜ」

『試練ヲ突破スレバノ話ダ……。人ノ子ヨ……』

「ああ、分かってる」

 ポセイドンの言いたいことは分かる。
 誰にでもホイホイと力を貸す神はいない。
 ポセイドン自身も、『試練』を乗り越えられない人間には力を貸さないのだろう。

「……それで、試練ってのはなんだ?」

『戦闘ダ……』

「ほう? バトルか……。それはいいな」

 俺は好戦的な笑みを浮かべてみせる。
 神と戦うなど、滅多にない機会だ。
 いい経験になるだろう。

『勘違イスルナ……。貴様ガ戦ウノハ我ガ眷属達ダ……』

「なに?」

『出デヨ……。我ガ眷属達ヨ……』

 ポセイドンの声に応えるように、周囲の海水が脈動した。
 現れたのは――リトルクラーケンとアビス・オクトパスだった。

「これが眷属?」

 こいつらは魔物だ。
 これらを眷属として従えているということは……海神ポセイドンも魔物なのか?
 いや、あれか。
 ポセイドンの眷属は海の精霊とかで、それらが魔力でリトルクラーケンの姿を再現しているのかもしれない。

「まぁ、なんでもいいか」

 相手が魔物だろうが精霊だろうが関係ない。
 俺はただ戦うのみだ。

「やってやるぜ!」

 俺は剣を構えた。
 ちなみに、エリオットにやられた『海神の呪鎖』はまだ解除できていない。
 まぁこれぐらいの相手なら何とかなるだろう。

「はっ! せいっ! うりゃあああ!!」

 リトルクラーケンとアビス・オクトパスに斬りかかる。
 2体の魔物は、あっという間に黒い粒子となって霧散した。

「ふん……。余裕だな」

 俺は剣先をポセイドンがいるであろう方向に向ける。

「さぁ、次の相手はどいつだ!?」

『見事ダ……人ノ子ヨ……』

 ポセイドンの声が脳内に響く。

『見込ミ通リ、最低限ノ実力ハアルヨウダ……。シカシ、コレカラガ本番デアル……!』

「なに?」

 次の瞬間――強いプレッシャーが俺に降り注いだ。

『グオオォオオオッ!!』

「うおっ!?」

 俺は思わず飛び退る。
 いつの間にか、目の前に巨大な生き物が2体も現れていた。
 こいつらは――まさか!?

「アビス・サーペント……? それに、クラーケンか?」

 俺はつぶやく。
 先ほどのリトルクラーケンやアビス・オクトパスもそこそこ強い魔物だ。
 アビス・サーペントやクラーケンは、そのさらに上位に位置する魔物である。
 どちらも強敵だ。
 ……普通なら。

『サア、倒シテミヨ……人ノ子ヨ。チカラヲ振リ絞ルガイイ』

 ポセイドンは余裕たっぷりに告げる。
 だが――

「力を振り絞る? その必要はない」

 俺はニヤリと笑ってみせた。

「こいつらなんか、俺の敵じゃないんだよ」

 俺はあっという間にアビス・サーペントとクラーケンを倒した。
 ぶっちゃけ、今の俺の敵ではない。
 アビス・サーペントは、ついさっきも倒したしな。

「どうした? もう試練とやらは終わりか?」

『……見事ナリ。マサカ、我ガ現世ニ出向クコトニナルトハ……』

「ん? 現世に出向く?」

『久々ノ現世……。楽シマセテモラオウ……』

 ポセイドンが告げる。
 それと同時に――
 周囲をまばゆい光が包み込んだのだった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品