【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
1294話 宝物庫
俺はネプトリウス陛下と共に、玉座の間で待機する。
クーデター軍に備え、ここの守りは固められた。
部屋の中に、精鋭たちが30人ほど。
入口の扉前には、100人を軽く超える兵士たちがいる。
エリオット王子たちが攻めてきても、問題なく対処できるだろう。
彼らの勢力は、せいぜい100人ぐらいらしいからな。
「ふむ……」
俺は小さくうなる。
それにしても、エリオット王子がクーデターとはなぁ……。
一体どうしてしまったのだろうか?
「余はな、自らの息子を心から愛してきたつもりだ」
玉座に座ったネプトリウス陛下が、ぽつりと言う。
「エリオット王子は、とても優秀なお方でした」
「そうだな……。少し風変わりなところはあったが……」
俺の言葉を聞いて、ネプトリウス陛下は苦笑した。
おそらく、シスコンのことだろう。
エリオットはメルティーネを溺愛していた。
普段はまともなのに、彼女が絡むと途端に変なことになる。
「メルティーネも、余にとっては大事な娘だ。少々奔放に育ってしまったがな……」
ネプトリウス陛下は遠くを見つめながら言った。
メルティーネ姫は、なかなかに自由な性格をしている。
王族という身分でありながら、1人で里の外に出て遊び回るような娘だ。
そのせいでオルフェスの海岸に打ち上げられ、マッドサイエンティストのリオンに捕らわれてしまったこともあったな。
「陛下……。やはりお怒りですか? 実の妹を人質にとった、エリオット殿下のことを」
「それは……な。だが、奴の真意が分からぬ。一体なぜ、余に反旗を翻す気になったのか……。怒りよりも困惑の方が大きい」
ネプトリウス陛下は深いため息を吐いた。
第一王子がクーデターを企むなど、普通はあり得ないだろう。
この国は世襲制のようだし、ネプトリウス陛下のご子息ならば次期国王に間違いはない。
しかし、なぜエリオット王子がそんな行動に出てしまったのか……。
「……ともかく、今は待つしかあるまい」
ネプトリウス陛下は、静かに玉座から立ち上がった。
彼は両手を組み、入口方向に視線を向ける。
「100人程度の勢力では、ここの守りを突破することはできぬ。諦めて逃げたところで、潜伏先などない」
「はい……。しかし……」
俺はどうにも胸騒ぎがしてならない。
先ほどから、『何か』を感じるのだ。
クーデターの報を受けた瞬間から……いや、もっと前からだろうか?
俺の本能が告げている気がする。
(正面突破は……陛下の言う通り不可能だ。しかし、潜伏するつもりならそもそも蜂起する意味がない。気づかれないまま水面下で勢力を増やし、機会を狙って一気に攻める方が効率的だろう)
俺は思考する。
気になることは他にもある。
リトルクラーケンの討伐帰りにそのまま蜂起したこと。
溺愛しているメルティーネを人質にとったこと。
玉座の間ではなく宝物庫を先に狙ったこと。
これらが示す答えは……。
「……陛下!」
俺は立ち上がる。
ネプトリウス陛下は怪訝な表情で俺を見た。
「どうした?」
「宝物庫には、いったいどんな宝があるのでしょうか?」
「む? いや、人族のそなたが気に入るようなものはないぞ。せいぜい、里に伝わる古い芸術品や宝石類ぐらいしかない」
「ならば、魔道具の類は?」
「そうだな、いくつかの特殊な魔道具はある。しかし、それがどうしたというのだ?」
ネプトリウス陛下は首をかしげる。
俺は続けた。
「クーデター軍が、最初に宝物庫を狙ったということは……」
「む……!? しまった! そういうことか……!!」
ネプトリウス陛下はハッとする。
俺が何を言いたいのか理解したようだ。
「奴らの狙いは魔道具――」
陛下がそう言いかけた瞬間、にわかに部屋の外が騒がしくなった。
兵士たちのどよめきや怒号のようなものが聞こえている。
そして……。
――バァンッ!!!
部屋の正面の大きな扉が勢いよく開かれてしまったのだった。
クーデター軍に備え、ここの守りは固められた。
部屋の中に、精鋭たちが30人ほど。
入口の扉前には、100人を軽く超える兵士たちがいる。
エリオット王子たちが攻めてきても、問題なく対処できるだろう。
彼らの勢力は、せいぜい100人ぐらいらしいからな。
「ふむ……」
俺は小さくうなる。
それにしても、エリオット王子がクーデターとはなぁ……。
一体どうしてしまったのだろうか?
「余はな、自らの息子を心から愛してきたつもりだ」
玉座に座ったネプトリウス陛下が、ぽつりと言う。
「エリオット王子は、とても優秀なお方でした」
「そうだな……。少し風変わりなところはあったが……」
俺の言葉を聞いて、ネプトリウス陛下は苦笑した。
おそらく、シスコンのことだろう。
エリオットはメルティーネを溺愛していた。
普段はまともなのに、彼女が絡むと途端に変なことになる。
「メルティーネも、余にとっては大事な娘だ。少々奔放に育ってしまったがな……」
ネプトリウス陛下は遠くを見つめながら言った。
メルティーネ姫は、なかなかに自由な性格をしている。
王族という身分でありながら、1人で里の外に出て遊び回るような娘だ。
そのせいでオルフェスの海岸に打ち上げられ、マッドサイエンティストのリオンに捕らわれてしまったこともあったな。
「陛下……。やはりお怒りですか? 実の妹を人質にとった、エリオット殿下のことを」
「それは……な。だが、奴の真意が分からぬ。一体なぜ、余に反旗を翻す気になったのか……。怒りよりも困惑の方が大きい」
ネプトリウス陛下は深いため息を吐いた。
第一王子がクーデターを企むなど、普通はあり得ないだろう。
この国は世襲制のようだし、ネプトリウス陛下のご子息ならば次期国王に間違いはない。
しかし、なぜエリオット王子がそんな行動に出てしまったのか……。
「……ともかく、今は待つしかあるまい」
ネプトリウス陛下は、静かに玉座から立ち上がった。
彼は両手を組み、入口方向に視線を向ける。
「100人程度の勢力では、ここの守りを突破することはできぬ。諦めて逃げたところで、潜伏先などない」
「はい……。しかし……」
俺はどうにも胸騒ぎがしてならない。
先ほどから、『何か』を感じるのだ。
クーデターの報を受けた瞬間から……いや、もっと前からだろうか?
俺の本能が告げている気がする。
(正面突破は……陛下の言う通り不可能だ。しかし、潜伏するつもりならそもそも蜂起する意味がない。気づかれないまま水面下で勢力を増やし、機会を狙って一気に攻める方が効率的だろう)
俺は思考する。
気になることは他にもある。
リトルクラーケンの討伐帰りにそのまま蜂起したこと。
溺愛しているメルティーネを人質にとったこと。
玉座の間ではなく宝物庫を先に狙ったこと。
これらが示す答えは……。
「……陛下!」
俺は立ち上がる。
ネプトリウス陛下は怪訝な表情で俺を見た。
「どうした?」
「宝物庫には、いったいどんな宝があるのでしょうか?」
「む? いや、人族のそなたが気に入るようなものはないぞ。せいぜい、里に伝わる古い芸術品や宝石類ぐらいしかない」
「ならば、魔道具の類は?」
「そうだな、いくつかの特殊な魔道具はある。しかし、それがどうしたというのだ?」
ネプトリウス陛下は首をかしげる。
俺は続けた。
「クーデター軍が、最初に宝物庫を狙ったということは……」
「む……!? しまった! そういうことか……!!」
ネプトリウス陛下はハッとする。
俺が何を言いたいのか理解したようだ。
「奴らの狙いは魔道具――」
陛下がそう言いかけた瞬間、にわかに部屋の外が騒がしくなった。
兵士たちのどよめきや怒号のようなものが聞こえている。
そして……。
――バァンッ!!!
部屋の正面の大きな扉が勢いよく開かれてしまったのだった。
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