【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
1293話 海神の憤怒
クーデターの主犯はエリオット王子だった。
彼は不意打ちで宮殿入口の警備兵を無力化した上、メルティーネ姫を人質にして宝物庫へ向かっているらしい。
「……にわかには信じがたいことですな」
俺はそうつぶやく。
ネプトリウス陛下は現国王であり、エリオットは次期国王である。
後継者としてしっかりとした教育をしていたに違いない。
実際、俺と接していた際のエリオットは、王族として恥ずかしくない振る舞いをしていた。
メルティーネ絡みの話になると……まぁアレだったが……。
いやしかし、いくら何でもこんな暴挙に出るような人物じゃないはずだ。
「奴は王位継承権第一位。こんなことをせずとも、国王の座は手にできたのだ」
「やはり、何か事情があるのでしょうか……」
俺はそう言って、顎に手を当てた。
ネプトリウス陛下も何かを考えている。
「……念のため、もう一度確認する。情報に誤りはないのだな?」
「はい。誇り高き人魚族の戦士として、嘘偽りなく報告いたしました」
ネプトリウス陛下の問いに、兵士はうなずく。
彼はただの伝令兵のようだが……。
自らの職務に誇りを持っているのだろう。
嘘をついているようには見えない。
「そうか……。ならば仕方あるまい。我が子とはいえ、見過ごすことはできん。ここ玉座の間の守りを固めよ。そして、エリオットたちを即刻捕らえるように」
「はっ!」
兵士は玉座の間を退室する。
ネプトリウス陛下は、鋭い視線で俺を見た。
「陛下……」
「客人の前で無様を見せたな。許せ」
「いえ……。それよりも、エリオット王子とメルティーネ王女は……」
俺が言うと、ネプトリウス陛下は深くため息を吐く。
そして言った。
「エリオットは、同世代の兵士からなる『海神の憤怒』という組織を率いている」
「聞いたことはあります」
俺は以前、『海神の怒り』というチンピラたちに襲撃されたことがある。
その上位組織だろう。
エリオットも、そんな組織があることを言っていた気がする。
「連中は『人族を殲滅すべし』という過激な思想を持っている。エリオットは形だけのトップだったはずだが、いつの間にか毒されていたのかもしれん。こうなった以上、有耶無耶にはできんが……。何とか未遂に抑えられんものか……」
クーデターは、非常に重い罪だ。
この国でどんな規定があるかは知らないが、いわゆる反逆罪が適用されれば死刑は免れないだろう。
だが、その規模や被害実態によっては『未遂』扱いにできる余地はあるかもしれない。
それならば、死刑ではなく幽閉ぐらいで済む。
「陛下、俺は……」
「客人を巻き込むわけにもいかん。安全な場所に逃げてもらう……と言いたいところだが、この状況では下手に動くのも危険だ。当面は、ここ玉座の間に留まるのがよかろう」
「そうですね。では、そうさせてもらいます」
俺はうなずく。
それが無難だろう。
しかし、エリオット王子はいったいどうしてしまったのだろうか……。
リトルクラーケンの討伐を通して何か心境の変化でもあったのか、あるいは以前から計画していたことなのか……。
俺は考えを巡らせつつ、玉座の間で静かに思考を巡らせるのだった。
彼は不意打ちで宮殿入口の警備兵を無力化した上、メルティーネ姫を人質にして宝物庫へ向かっているらしい。
「……にわかには信じがたいことですな」
俺はそうつぶやく。
ネプトリウス陛下は現国王であり、エリオットは次期国王である。
後継者としてしっかりとした教育をしていたに違いない。
実際、俺と接していた際のエリオットは、王族として恥ずかしくない振る舞いをしていた。
メルティーネ絡みの話になると……まぁアレだったが……。
いやしかし、いくら何でもこんな暴挙に出るような人物じゃないはずだ。
「奴は王位継承権第一位。こんなことをせずとも、国王の座は手にできたのだ」
「やはり、何か事情があるのでしょうか……」
俺はそう言って、顎に手を当てた。
ネプトリウス陛下も何かを考えている。
「……念のため、もう一度確認する。情報に誤りはないのだな?」
「はい。誇り高き人魚族の戦士として、嘘偽りなく報告いたしました」
ネプトリウス陛下の問いに、兵士はうなずく。
彼はただの伝令兵のようだが……。
自らの職務に誇りを持っているのだろう。
嘘をついているようには見えない。
「そうか……。ならば仕方あるまい。我が子とはいえ、見過ごすことはできん。ここ玉座の間の守りを固めよ。そして、エリオットたちを即刻捕らえるように」
「はっ!」
兵士は玉座の間を退室する。
ネプトリウス陛下は、鋭い視線で俺を見た。
「陛下……」
「客人の前で無様を見せたな。許せ」
「いえ……。それよりも、エリオット王子とメルティーネ王女は……」
俺が言うと、ネプトリウス陛下は深くため息を吐く。
そして言った。
「エリオットは、同世代の兵士からなる『海神の憤怒』という組織を率いている」
「聞いたことはあります」
俺は以前、『海神の怒り』というチンピラたちに襲撃されたことがある。
その上位組織だろう。
エリオットも、そんな組織があることを言っていた気がする。
「連中は『人族を殲滅すべし』という過激な思想を持っている。エリオットは形だけのトップだったはずだが、いつの間にか毒されていたのかもしれん。こうなった以上、有耶無耶にはできんが……。何とか未遂に抑えられんものか……」
クーデターは、非常に重い罪だ。
この国でどんな規定があるかは知らないが、いわゆる反逆罪が適用されれば死刑は免れないだろう。
だが、その規模や被害実態によっては『未遂』扱いにできる余地はあるかもしれない。
それならば、死刑ではなく幽閉ぐらいで済む。
「陛下、俺は……」
「客人を巻き込むわけにもいかん。安全な場所に逃げてもらう……と言いたいところだが、この状況では下手に動くのも危険だ。当面は、ここ玉座の間に留まるのがよかろう」
「そうですね。では、そうさせてもらいます」
俺はうなずく。
それが無難だろう。
しかし、エリオット王子はいったいどうしてしまったのだろうか……。
リトルクラーケンの討伐を通して何か心境の変化でもあったのか、あるいは以前から計画していたことなのか……。
俺は考えを巡らせつつ、玉座の間で静かに思考を巡らせるのだった。
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