【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1291話 節操なし

 俺はネプトリウス陛下からいろいろと話を聞いている。

「なるほど……。海の精霊ですか」

「うむ。メルティーネは精霊に愛されておるからな。ファーストキスだけでも、海への適応力は相当まで高まる。しかしそれにしても、貴殿の適応力は常軌を逸しているように思えてな」

「そ、そうですかね……」

 俺はしどろもどろになってしまう。
 メルティーネと『そういう仲』になっていないのは本当だ。
 ネプトリウス陛下の言う通り、彼女は身持ちが固い。
 なかなかチャンスがなかった。
 それに、一国の王女ということもあり、俺の方が遠慮していたという事情もある。

 まぁ、その他の面々に関しては話は別だが……。
 侍女リマ、治療岩責任者リリアン、そして魔道師団の分隊長。
 具体的な進展度の差はあるものの、キス以上の仲にはなっていたりする。

「貴殿が女性人魚と親しくしていると、もっぱらの噂だ。真偽は如何に?」

「は、はい。仕事上の付き合いとはいえ、大変よくしていただいております。いやぁ、人魚族は優しい方々ばかりでありがたいですよ!」

 俺は必死に誤魔化す。
 メルティーネ王女に比べると精霊との親和性は下だろうが、リマやリリアンも十分にエリートだ。
 親和性が全くのゼロというわけではあるまい。
 そんな彼女たちと仲を深めたのだから……俺の海への適応力が上がるのも必然である。

 何となく感じてはいたんだよ。
 海の中での生活が、だんだん楽になってきたなぁと……。
 しかし、そんな事実を正直に話すわけにもいくまい。
 メルティーネのファーストキスをいただいただけでも、それなりに大事だったはず。
 その男が、侍女、治療岩責任者、魔導師団分隊長などにまで手を出しているなど、とんでもないことである。
 節操なしと激怒されるかもしれない。
 
「……ふむ。まぁよい」

 ネプトリウス陛下が矛を収めた。
 どうやら、俺への追及はひと段落したらしい。

「メルティーネとの仲はさほど進展しておるまい。もし奴の処女を散らしたのであれば、『海への適応力が高まる』というレベルに留まらず、もっとすごいことになるだろう。相手が貴殿ほどの強者であればなおさらだ。それこそ、ポセイドン様が目覚めて……」

「え? それってどういう……」

「おっと、つい口が滑ったな。今のは忘れてくれ」

 ネプトリウス陛下が首を横に振る。
 ポセイドンって……確か海の神だった気がするが……?
 俺が拠点としている『海神の大洞窟』に空気が満ちていたのは、海神ポセイドンの息吹が生み出したものだとか何とか……。
 いや、あれはただの自然現象に尾ヒレがついたものかもしれないが。

「しかし、貴殿のような強者が友好的に接してくれるのであれば、我々人魚族としても心強い」

「はっ! もったいなきお言葉、ありがとうございます」

「いずれは、人族の国々とも交流を持っていきたいものだな」

「はい。そのときは、ぜひ協力させていただきたいと思います」

 俺はネプトリウス陛下に頭を下げる。
 友好的な関係を築けて良かったと思う。
 国としてはやや小さな集団とはいえ、やはり一国の王だ。
 粗相をしたりしたら、外交的にマズイことになりかねないところだった。

「それで、エリオット殿下とメルティーネ王女は……」

「そろそろ来てもおかしくないはずだが……。やけに遅いな。奴らめ、客人を待たせおって……」

 ネプトリウス陛下が顔をしかめた。
 リトルクラーケンなどの後処理の指示をしているらしいが……。
 それにしても遅い。
 何かトラブルだろうか?

「し、失礼いたします!」

 玉座の間へと駆け込んでくる者があった。
 伝令の兵士だろうか?

「何事か! 今は客人と会談中であるぞ!!」

 ネプトリウス陛下が叱責する。
 だが、その兵士は真っ青な顔をしていた。

「く、クーデターです! クーデターが発生しました!」

「なっ!?」

「なんだと!?」

 俺と陛下は、揃って驚愕した。
 まさか、こんなタイミングでクーデターが発生するとは……!
 エリオット王子とメルティーネ王女は無事なのか!?

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