【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1267話 エリアヒール

 右足の拘束を解除した俺は、中級治療魔法『エリアヒール』の詠唱を始めた。

「それは悪手です! 広く浅く治療魔法をかけても、MPを無駄遣いするだけですよ!?」

 リリアンが忠告してくる。
 治療岩の責任者だけあって、治療魔法に対する理解もしっかりしている。
 一般的な感覚で言えば、彼女の言っていることは正しい。

(だが、これでいいんだ)

 俺はリリアンに笑いかける。
 もちろん、今の俺は治療魔法の行使に集中しているので言葉で返す余裕はないのだが……。
 少しぐらい意図は伝わるだろう。

「――【エリアヒール】」

 俺は魔法を発動させる。
 すると、周囲の人魚族の戦士たちの体が光で包まれていった。
 その光は瞬く間に全身を包み込み――

「あ、あれ……? 痛みが……消えた?」

「俺たち……助かったのか?」

「あれほど怪我が癒やされているだと……? そんなバカな……」

 人魚族の戦士たちは自分の身に起こった出来事を理解できず、困惑の表情を浮かべていた。
 チート持ちの俺の魔力やMPをもってすれば、『エリアヒール』であっても十分な効果を発揮できるというわけだ。

「なっ!? 『エリアヒール』で、これほどの効果が……!? ど、どうして……」

 リリアンが俺の魔法を見て呆然としている。
 ちょっと驚かせすぎただろうか?

「す、すごいです……!」

「ああ……。これが、彼の力なの……?」

 人魚族の女性職員たちも同様の反応だ。
 彼女たちも驚愕の表情を浮かべている。

「安心するのはまだ早い。ほとんどの重傷者が命の危機を脱しただろうが、完治したわけではない。引き続きの治療は必要だ」

「は、はいっ!」

「それに……。今の『エリアヒール』でも治療できないほどの重傷者がいる可能性もあるぞ。一人ひとりに対する応急処置は完了したから、次はその重傷者たちを何とかする必要がある」

「な、なるほど……!」

「リリアン。それに、人魚族の治療師たち。お前たちの力を貸してほしい」

 俺は彼女たちに協力を呼びかける。
 一刻も早く重傷者の命を救うために……。

「は、はい……! 分かりました!!」

 リリアンは真剣な表情で返事をする。
 そして、すぐに部下の人魚族たちに指示を飛ばす。

「聞いていましたね? まずは重傷者の存在を把握することが最優先です! 先ほどの『エリアヒール』で命をとりとめた者たちの治療は後回しで構いません!!」

「「はいっ!!」」

 リリアンの指示を受けて、人魚族の女性職員たちはすぐさま行動を開始する。
 その様子を俺は黙って見つめていた。

(よし……)

 当初は俺に対して冷たい目を向けていたリリアンだが、やるべきことを理解してくれれば話は早い。
 彼女は非常に優秀な職員なのだろう。
 先ほどの『エリアヒール』を見て、俺の能力を認めてくれたようだ。

「ナイトメア・ナイト様! こちらです! 重傷者を見つけました!!」

「分かった!」

 リリアンに呼ばれた俺は、すぐに彼女の元へ向かう。
 そこには1人の人魚族の戦士が横たわっているのが見えた。
 俺の『エリアヒール』でも治せなかった者ということになる。
 集中して治療する必要があるだろう。
 俺は気を引き締めるのだった。


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