【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
1262話 治療岩再び
俺が左腕が解放された翌日――
「よう。また来たぜ」
「……」
俺は治療岩(治療院)を訪れていた。
メルティーネや護衛兵と一緒だが、彼女たちは後方で待機している。
(俺が1人で頑張っていかないとな)
この現場の責任者は、人魚族の女性だ。
彼女は俺のことを認識すると、ため息と共に口を開く。
「また来られたのですか……。あなたに任せる仕事はありませんよ?」
「そう言うなって。前回は、軽傷者の治療をバッチリこなしたじゃないか」
「ふん……。確かに、後で確認したところ完治していましたが……」
女性人魚は不機嫌そうに言う。
あの時、彼女は忙しそうにしていた。
そのため、俺の治療魔法をリアルタイムで確認できていなかったのだ。
「彼らは感謝していました。『あの人族に改めて礼を言っておいてくれ』……と」
「そうだろう、そうだろう。いやぁ、良いことをした後ってのは気持ちがいいな」
軽傷者の戦士たちも、当初は俺に対する当たりがキツかった。
あの治療を通じて、評価を改めてくれたらしい。
俺はつい得意げになってしまう。
だが、女性人魚は冷たい目で俺を見つめた。
「勘違いしないでください。今は人手不足。軽傷者の経過観察までは手が回っていませんでした。彼らは、自分でも気付かない内に自己回復で完治に近づいていたのでしょう」
「……ふむ」
「今回は、彼らの自己回復とあなたの治療魔法のタイミングがたまたま合致しただけです。そんな幸運がいつまでも続くと思わないことですね……」
人魚族の女性は冷たく言う。
取り付く島もないな。
「そんなこと言うなよ。俺とお前の仲じゃないか」
「……気持ち悪いことを言わないでください。そもそも、あなたとの関係などありません……」
女性人魚は俺に冷たい視線を向けてくる。
だが、ここで引くわけにはいかないのだ。
「改めて自己紹介しよう。俺はナイトメア・ナイト。この里で色々と活躍する予定だ」
「自己紹介は不要です。今後、あなたがこの場に来る必要はありません。帰ってください」
「つれないなぁ……。まぁ、自己紹介くらい聞かせてくれよ」
俺はしつこく食い下がる。
メルティーネにとりなしてもらえばマシになるだろうが、それはあまり良くない。
人族の俺が1人で信用を得ていくべきだ。
ここは粘り強く交渉するしかない。
「とりあえず名前だけでも教えてくれ。そこから少しずつ親しくなっていこうぜ」
「……はぁ。私は、リリアンと申します。これで満足ですか?」
女性人魚――リリアンはため息をつく。
どうやら、諦めてくれたようだ。
俺は軽くガッツポーズを取る。
「よろしくな、リリアンと呼べばいいかな?」
「軽々しく名前を呼ばないでください。虫酸が走ります」
「まぁそう言うなよ、リリアンと俺との仲だろ?」
俺はリリアンに親しげに話しかける。
だが、リリアンは完全に無視している。
前よりも当たりがキツくなっていないか?
メルティーネが近くにいるかいないかで、これほどの差が出るとは……。
「それで? 今日は邪魔をしに来られたのですか?」
「違うって。重傷者の治療に協力しに来たんだよ」
俺はそう言うと、リリアンの目の前で両腕を軽く挙げる。
俺の行動を見て、彼女はハッとした様子を見せた。
「左腕の拘束が……なくなっている?」
「そうだ。国王や元老院に、俺の功績が認められたのさ。そして、エリオット王子からは人格が認められた」
まぁ、最後の方はシスコンをこじらせたエリオットとひと悶着あったのだが……。
細かいことはいいだろう。
嘘は言っていない。
俺の言葉を受け、リリアンが目を見開く。
「エリオット様が……?」
「そうだ。そして俺は、人魚族の里を豊かにするために、全力で努力をしていくつもりだ」
俺は力強く宣言する。
だが、リリアンはなおも困惑している様子だ。
「……信じられません。人族が人魚族のために尽力するなど……」
「そうかもな。でも、俺は本気だぜ?」
リリアンに反発されても、俺は主張を続ける。
ここで引き下がったら意味がないからな。
「まぁいいさ。とりあえず、重傷者の様子だけでも見させて――」
俺がありきたりの交渉をしようとした、その時――
「た……大変です!!」
治療岩(治療院)に駆け込んでくる人物の姿があった。
服装を見るに、戦士だろう。
「どうしたのですか? そんなに慌てて……」
リリアンが尋ねる。
駆け込んできた人物は呼吸こそ乱れているものの、何とか口を開いた。
「結界外より、魔物の襲撃がありました! 戦士たちが応戦し追い払ったものの、重傷者多数!!」
「え……」
「負傷者はすぐにでもここへ運び込まれてきます! 至急、治療をお願いいたします!!」
「な、なんてこと……!」
リリアンが動揺した声を上げる。
どうやら、のんびりとしている暇はなさそうだな……。
俺は静かに、拳を握りしめたのだった。
「よう。また来たぜ」
「……」
俺は治療岩(治療院)を訪れていた。
メルティーネや護衛兵と一緒だが、彼女たちは後方で待機している。
(俺が1人で頑張っていかないとな)
この現場の責任者は、人魚族の女性だ。
彼女は俺のことを認識すると、ため息と共に口を開く。
「また来られたのですか……。あなたに任せる仕事はありませんよ?」
「そう言うなって。前回は、軽傷者の治療をバッチリこなしたじゃないか」
「ふん……。確かに、後で確認したところ完治していましたが……」
女性人魚は不機嫌そうに言う。
あの時、彼女は忙しそうにしていた。
そのため、俺の治療魔法をリアルタイムで確認できていなかったのだ。
「彼らは感謝していました。『あの人族に改めて礼を言っておいてくれ』……と」
「そうだろう、そうだろう。いやぁ、良いことをした後ってのは気持ちがいいな」
軽傷者の戦士たちも、当初は俺に対する当たりがキツかった。
あの治療を通じて、評価を改めてくれたらしい。
俺はつい得意げになってしまう。
だが、女性人魚は冷たい目で俺を見つめた。
「勘違いしないでください。今は人手不足。軽傷者の経過観察までは手が回っていませんでした。彼らは、自分でも気付かない内に自己回復で完治に近づいていたのでしょう」
「……ふむ」
「今回は、彼らの自己回復とあなたの治療魔法のタイミングがたまたま合致しただけです。そんな幸運がいつまでも続くと思わないことですね……」
人魚族の女性は冷たく言う。
取り付く島もないな。
「そんなこと言うなよ。俺とお前の仲じゃないか」
「……気持ち悪いことを言わないでください。そもそも、あなたとの関係などありません……」
女性人魚は俺に冷たい視線を向けてくる。
だが、ここで引くわけにはいかないのだ。
「改めて自己紹介しよう。俺はナイトメア・ナイト。この里で色々と活躍する予定だ」
「自己紹介は不要です。今後、あなたがこの場に来る必要はありません。帰ってください」
「つれないなぁ……。まぁ、自己紹介くらい聞かせてくれよ」
俺はしつこく食い下がる。
メルティーネにとりなしてもらえばマシになるだろうが、それはあまり良くない。
人族の俺が1人で信用を得ていくべきだ。
ここは粘り強く交渉するしかない。
「とりあえず名前だけでも教えてくれ。そこから少しずつ親しくなっていこうぜ」
「……はぁ。私は、リリアンと申します。これで満足ですか?」
女性人魚――リリアンはため息をつく。
どうやら、諦めてくれたようだ。
俺は軽くガッツポーズを取る。
「よろしくな、リリアンと呼べばいいかな?」
「軽々しく名前を呼ばないでください。虫酸が走ります」
「まぁそう言うなよ、リリアンと俺との仲だろ?」
俺はリリアンに親しげに話しかける。
だが、リリアンは完全に無視している。
前よりも当たりがキツくなっていないか?
メルティーネが近くにいるかいないかで、これほどの差が出るとは……。
「それで? 今日は邪魔をしに来られたのですか?」
「違うって。重傷者の治療に協力しに来たんだよ」
俺はそう言うと、リリアンの目の前で両腕を軽く挙げる。
俺の行動を見て、彼女はハッとした様子を見せた。
「左腕の拘束が……なくなっている?」
「そうだ。国王や元老院に、俺の功績が認められたのさ。そして、エリオット王子からは人格が認められた」
まぁ、最後の方はシスコンをこじらせたエリオットとひと悶着あったのだが……。
細かいことはいいだろう。
嘘は言っていない。
俺の言葉を受け、リリアンが目を見開く。
「エリオット様が……?」
「そうだ。そして俺は、人魚族の里を豊かにするために、全力で努力をしていくつもりだ」
俺は力強く宣言する。
だが、リリアンはなおも困惑している様子だ。
「……信じられません。人族が人魚族のために尽力するなど……」
「そうかもな。でも、俺は本気だぜ?」
リリアンに反発されても、俺は主張を続ける。
ここで引き下がったら意味がないからな。
「まぁいいさ。とりあえず、重傷者の様子だけでも見させて――」
俺がありきたりの交渉をしようとした、その時――
「た……大変です!!」
治療岩(治療院)に駆け込んでくる人物の姿があった。
服装を見るに、戦士だろう。
「どうしたのですか? そんなに慌てて……」
リリアンが尋ねる。
駆け込んできた人物は呼吸こそ乱れているものの、何とか口を開いた。
「結界外より、魔物の襲撃がありました! 戦士たちが応戦し追い払ったものの、重傷者多数!!」
「え……」
「負傷者はすぐにでもここへ運び込まれてきます! 至急、治療をお願いいたします!!」
「な、なんてこと……!」
リリアンが動揺した声を上げる。
どうやら、のんびりとしている暇はなさそうだな……。
俺は静かに、拳を握りしめたのだった。
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