【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1241話 一大事

「ふむ……。こうなっているのか……」

「あの……。恥ずかしいのであまりまじまじと見ないでください……」

 俺の目の前で、侍女リマが恥ずかしそうに身をよじった。
 現在、彼女は下半身の着衣をずらし、股間部を露出している。

「恥ずかしがる必要などない。これは重要な行為なんだ。人族と人魚族の相互理解のためにも、しっかりと見ておかねば……」

「そ……そうですね! これは種族間の相互理解なのですから!!」

 俺が胸を張ってそう言うと、リマも納得した様子でうなずいた。
 彼女の視線は、俺の股間部分に集中している。

「これが……人族の……」

 リマは興味深そうに俺の股間部を観察している。
 少しくすぐったい感覚だ。

「あ……あの、触ってみてもよろしいでしょうか……?」

 リマが興味津々な様子で聞いてきた。
 10歳ほどの美少女にして、王女メルティーネに仕える忠実な侍女。
 きっと、教養や家柄が良く、品行方正な少女なのだろう。
 そんな彼女が頬を上気させ、目を潤ませて……俺の大事なところを触りたがっている……。
 正直、興奮するなという方が無理な話だろう。

「ああ、もちろん構わない。何ならそれ以上の――いや、待て!!」

「えっ?」

 俺はリマを静止した。
 行為に後ろめたさを感じたわけではない。
 この『海神の大洞窟』に近づいてくる気配を察知したのだ。

「え? ど、どうなさったんですか?」

 リマが困惑している。
 彼女は俺の股間に夢中で気づかなかったようだが……。

(この気配は……?)

 俺もリマも、股間を露出した状態だ。
 これをメルティーネあたりに目撃されるとマズイかもしれない。
 彼女は俺に対して好意を抱いてくれている様子だからな。
 囚われの身にもかかわらず侍女に手を出すなんて……。
 そんな不名誉な誤解をされる可能性がある。

「リマ! 服を着るんだ! 俺の服も頼む!!」

「は……はい……」

 俺はリマに指示を出す。
 彼女は慌てて、自分の衣服を整えた。
 続けて俺のズボンも元に戻そうとするが――

「あの……ナイト様……! 一大事です!!」

「一大事だと!? いったいなんだ?」

「引っかかって元に戻せません……! い、いつの間にかサイズが変わっていませんか?」

 リマが困ったような顔で言った。
 彼女の言うとおり、俺のアレはサイズアップしている。
 この展開への期待感から、徐々に反応していたのだ。
 少しずつの変化だったのでリマは気づいていなかったようだが、こうしてズボンに戻す段階になって異変に気づいたらしい。

「こうなったときの対処は1つだが……! そんな時間はない……!!」

 俺は残念に思う。
 時間さえあれば、リマにアレコレしてもらえたかもしれないのに……。

(いや、諦めるな! 他の方法を考えるんだ!!)

 俺は思考を巡らせる。
 すぐに脳内検索が完了した。

「強引に戻してもらうしかないな……」

「え? 強引に……?」

「リマ! 俺のズボンを元の位置に戻すんだ! 全力でな!!」

 俺は指示を出す。
 時間がないからな。
 さっさと済ませる必要があるだろう。

「で、でも……。引っかかってますけど……。無理やりしたら、折れちゃったりしませんか?」

「大丈夫! 俺の体は頑丈なんだ! この程度で折れたりはしない!!」

 俺は『夜戦術』や『精力強化』のスキルを取得済みだ。
 その副次的な恩恵により、アレの頑強さも通常の比ではない。
 俺が力強く言うと、リマも納得した様子でうなずいた。

「そう……ですか? わ、わかりました! やるだけやってみます!」

 リマは俺のズボンを全力で引っ張った。
 ズボッ!!

「やった!」

 リマが嬉しそうな顔をする。
 俺のズボンは、強引に元の位置に戻った。

「よし!」

 俺はガッツポーズをした。
 これでメルティーネが戻ってきても問題ない。
 股間部のズボンが盛り上がってしまっているのが不自然だが……。
 モロに露出したままよりはマシだろう。

 あとは、彼女が来るまでに少しでも鎮めておけば問題はあるまい。
 そんなことを考え、安心する俺。
 だが――

「くくっ! 捕らえられた人族ってのは、どんな奴なのかねぇ……」

「噂じゃ、ジャイアントクラーケンと互角に戦ったとかどうとか……」

「そんなことあり得ねぇだろ! 正規軍やジジイどもが大げさに言っているだけさ!!」

「おいおい……。もし本当にそうだったらどうするんだよ?」

「だから、本当なわけねぇって! 嘘つきの人族は、俺たちでボコボコにしてやろうぜ!!」

「うひょー! そりゃいいねぇ!!」

 洞窟の入口方面から、下卑た笑い声が響く。
 どうやら、来客はメルティーネ姫ではないようだ。
 友好的な雰囲気も感じない。
 むしろ、敵意を向けられている。
 さて、どうしたものか……。

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