【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1233話 決着

 俺はジャイアントクラーケンと戦っている。
 新技の『英霊纏装』で攻めていったが、触手による反撃をもらってしまった。

「ぐあぁっ!?」

 俺は海面を跳ねながら転がっていく。
 くそっ……!
 奴も攻勢に転じやがった。
 いや、考え方によっては、これはチャンスか。
 奴がリスクを承知で攻めなければ生命の危機を感じるほど、俺の攻撃が奴に効いていたという見方もできるからな。

「ゴオオォッ!!」

 ジャイアントクラーケンが追撃してくる。
 俺はすぐに体勢を立て直す。
 そして、奴の攻撃を迎撃することにした。

「はああぁ……っ! これで最後だっ!! 全力で迎え撃つ!! 奥義――」

 俺は自身の周囲を闘気で覆う。
 それは俺を中心とした闘気の球体となった。
 俺はド闘気の球体を纏いながら、ジャイアントクラーケンに突っ込んでいく。

「【ドラゴニック・ノヴァ】!!!」

 ドガァアッ!!
 渾身の体当たりがジャイアントクラーケンに命中した。
 そのまま奴の巨体を貫く。

「ゴオオォッ!?」

 ジャイアントクラーケンが苦悶の声を上げる。
 さすがにこれには堪えたか?

「いや、まだだ!」

 ここで追撃の手を緩めてはいけない!!
 俺はさらに闘気をひねり出し――

「あれ……?」

 プスン……。
 突如、俺の纏っていた闘気が消えた。
 一時的に体のバランスを失い、俺は海に落下してしまう。

「いったい、何が……。これは……」

 まさか、闘気切れか?
 こ、これはマズイぞ……!

「ゴオオオォ……!!」

 ジャイアントクラーケンが迫ってくる。
 かなりのダメージを与えているが、瀕死というほどでもない。
 ゲームのHPで言えば……残り1~2割ぐらいだろうか。

 俺のHPは問題ない。
 治療魔法で適度に治療しているからだ。
 しかし、肝心の闘気が切れてしまった。
 聖気も空っぽだ。

 後は、なけなしのMPを使ってどうにかするしかない。
 まずは、重力魔法を再発動して海上に浮上しなければ……。

「うっ!? あぐ……!!」

 魔力を集中させようとした瞬間、不意に俺は強い頭痛に襲われた。
 これでは、重力魔法どころではない。

「ぐ……あ……」

 意識が遠のいていく。
 HPやMPはまだ残っているはずだが……。
 急速に消費したため、意識や体の方がついていけていないのか……!?
 ダメだ……これはマズい……!!

「はぁっ! させませんの!!」

「ゴオオォッ……?」

 突然、俺の体を何かが引っ張った。
 海中へと引き込まれる。
 ジャイアントクラーケンの触手か……?
 いや、漁夫の利を狙っていた他の魔物かもしれない。

 いずれにせよ、海中に引きずり込まれると大ピンチだ。
 人魚メルティーネの加護があるおかげで、俺は水中でも最低限の呼吸はできるが……。
 今のコンディションで海洋生物に抗うことは難しい。

「くっ……この……」

「心配なさらないで……。あなたは私が守りますの……!」

 ふにゅん……。
 何かに顔が包まれる感触がした。
 何だ?
 柔らかい……?
 ああ、この感触は知っている。
 これは――

「おっぱい……?」

「お、おっぱい!? こんな事態に、胸のことを!?」

 俺のつぶやきを聞いて、誰かが声を上げた。
 ああ……。
 俺を襲っているのは、ジャイアントクラーケンや魔物ではないらしい。
 言語を解する知的生命体にして、海に住まう者。
 つまり――人魚だ。

「メル……ティーネか……?」

「は、はいですの。私の初恋の御方……今はゆっくりと休んでくださいですの」

 やはり、人魚メルティーネだったようだ。
 どうやら彼女は今、俺を抱き寄せているらしい。
 俺は柔らかいものに包まれている。
 彼女の大きな胸だ。

「だが……ジャイアントクラーケン……が……」

「そちらも心配無用ですの。里の戦士たちが……戦っていますの」

「里……?」

「はいですの。私の故郷は、このすぐそばにあるんですの……!!」

 メルティーネはそう言って微笑んだ。
 ああ、そうか……。
 俺は人魚の里の近くで、ジャイアントクラーケンと戦っていたのか……。

「行くぞぉっ! 巨大イカを倒せぇえっ!!」

「我らの積年の念、今こそ晴らす時っ! この機を逃すな!!」

「ぽっと出の人族ごときに手柄を独占されてたまるかよ! 人魚の誇りを示せぇっ!!」

「総員、突撃ーーーっ!!!」

「うおおぉっ!!」

「どりゃああああぁっ!!」

 戦士たちの雄叫びが聞こえる。
 かなりの大人数のようだ。
 しかし、いくら俺が大ダメージを与えておいたとはいえ、あの巨体をどうにかできるのか……?
 少しでも援護しなければ……。

「うぐっ……!!」

 しかし、無理だった。
 俺の体は既に限界を迎えている。
 そして、俺はメルティーネに抱き抱えられたまま意識を失ったのだった。

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