【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1228話 ここは俺に任せて先に行け

 リトルクラーケン、クラーケンに続き、ジャイアントクラーケンが現れた。
 さすがのミリオンズでも、これと正面から戦うのは厳しい。
 ここは俺が対処する必要がある!

「お館様!?」

「船べりに立つと危ないです!」

「何をなさる気ですの!?」

 レイン、サリエ、リーゼロッテが叫ぶ。
 俺は視線だけそちらに向ける。

「俺が奴を引き付ける。その間に、みんなはこの場から逃げてくれ」

「タカシ様を置いていくなんてできません!」

 ミティが即座にそう反応する。
 しかし、俺は首を横に振った。

「このままでは追いつかれる。誰かが奴の注意を引きつけなければならない。それができるのは、俺しかいない」

 これは自惚れではないと思う。
 ミリオンズの中で、最もチートの恩恵を受けているのは俺だ。
 多彩なスキルを伸ばしており、あらゆる局面に臨機応変に対処できる。
 また、人魚メルティーネに加護をもらったことで、海中でもある程度の呼吸が可能となっている。

「そ、そんな!?」

「タカシさん!」

「き、危険だよ~!!」

 モニカ、ニム、花。
 みんなが俺を引き留めようとするが――

「ここは俺に任せて先に行け。なぁに、大丈夫。すぐに追いつくさ。……ミティ、蓮華。みんなのことを頼んだぞ」

「……承知しました!」

「任せるでござる!!」

 ミティと蓮華はドンと胸を叩いた。
 ここで2人に集団を任せるのには理由がある。

 ミティはミリオンズのサブリーダーであり、俺の第一夫人でもある。
 普段から、俺の不在時の指揮は彼女が取っている。
 俺の代わりが務まるのは、彼女しかいないだろう。

 そして、蓮華。
 ここから先は、いよいよヤマト連邦の領域となる。
 上陸前に俺が合流するのがベストだが、もし俺の合流が遅れたらどうなるか?
 いつまでもヤマト連邦の沖合に船を停泊させておくのは、『魔物の襲撃』『食料不足』『ヤマト連邦の国境警備兵に見つかる』などの様々なリスクがある。
 さっさと上陸だけは済ませておく方が、むしろ安全だ。
 上陸後は、ヤマト連邦出身の蓮華が頼りになるだろう。
 もちろん雪月花もな。

「タカシ! あとで必ず合流しようね!!」

「ピピッ……。マスターがジャイアントクラーケンを討伐できる確率:1パーセント未満……。時間稼ぎだけを考えた場合の生存率は……」

 アイリスとティーナがそう言う。
 彼女たちは、俺の強さをよくわかっている。
 だが、それでも勝てる見込みがないほどにジャイアントクラーケンは強大だ。

「よし、そろそろ行ってくる。みんなは、この速度を維持したままこの海域から離れてくれ」

 俺は船べりから飛び上がる。
 そして、重力魔法を活用してジャイアントクラーケンに向かっていった。

「タカシ様!」

「気をつけて!」

「幽霊の私の仲間入りはしちゃダメだよー!」

 仲間たちの声が聞こえた。
 俺は無我夢中でジャイアントクラーケンに向かっていく。

「お館様っ!!」

「たかし殿ぉっ!!」

 レインと蓮華の声だ。
 彼女たちの気持ちは嬉しいが、振り返る余裕はない。

「みんな……元気でな」

 俺は小さくそうつぶやく。
 ジャイアントクラーケンとの距離は、もう十数メートルしかない。

「ゴオオオオォ……!!」

 ジャイアントクラーケンが地鳴りのような叫び声を上げる。
 奴の視線は……俺を捉えてはいない。
 その巨体ゆえ、人間一人ひとりへの警戒度はあまり高くないのだろう。
 俺単体よりも、船に乗った10人以上の集団の方を意識している様子だ。

 獲物と認識しているのか、あるいは単なる好奇心なのか……。
 それは分からない。
 どちらにせよ、ジャイアントクラーケンは引き続き隠密小型船を追っている。

「まずは……足止めをしないとな。俺という存在を奴に認識させなければ」

 俺は空中で立ち止まり、『アイテムルーム』から剣を抜く。
 そして、ジャイアントクラーケンの触手めがけて跳躍した。

「――【斬魔一刀流・魔皇炎斬】!!!」

 俺は空中で剣を振った。
 斬撃が炎となり、触手の一本に深い切り傷を付けた。

「ゴオオォ……ッ!?」

 ジャイアントクラーケンは驚愕の声を上げる。
 俺は落下しながら叫ぶ。

「こっちだ! お前の敵はここにいるぞ!!」

「ゴオオオォ……ッ!」

 ジャイアントクラーケンは怒ったような声を上げると、その巨大な触手を振り上げる。
 そして、俺めがけて叩きつけてきた。
 巨体ゆえに鈍重にも見えるが、間近で見るとなかなか速い攻撃だ。
 それに、触手が大きくて攻撃範囲が広い!

「ぐうっ!?」

 俺は両腕で防御する。
 落下の勢いは殺せず、そのまま海へ叩き落された。

「ゴオオォ……!!!」

 ジャイアントクラーケンは、咆哮を上げる。
 そして、俺の落下地点に向かって泳ぎ始めた。

「ちっ! ……まぁいい。とりあえず、意識を俺に向かせることには成功したな」

 俺は水面から顔を出すと、すぐに飛び上がって態勢を整える。
 こうして、俺の時間稼ぎの戦いが始まったのだった。

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