【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1223話 総攻撃

「ちぃっ……! まだ倒れないのか!!」

 俺はそう叫ぶ。
 クラーケンは触手を何本か失っている。
 本体にもかなりダメージが蓄積されたはずだ。
 しかし、まだまだ戦闘続行には支障がないらしい。
 全員がチクチクと攻撃を加え続けているが、致命傷は与えられていないのだ。

「こうなりゃ、大きめの攻撃をするしかないか……」

「私も合わせるわ。ハイブリッジ男爵」

「月? 俺とお前で合わせても……。ああ、いや……そうか」

 俺は月の言葉に引っかかりを覚えたが、すぐに納得する。
 月は影魔法の使い手だ。
 攻撃に長けた魔法ではない。
 しかし、この局面において使い道はある。

「いくぞっ! ――【影縫い】!!」

「【影縫い】!!」

 俺と月は、同時に魔法を発動させる。
 それは影属性の魔法である。
 敵を影に縫い付けるイメージを持つ、行動阻害系・拘束系の魔法だ。

「グオオオオォ……?」

 クラーケンの動きが少し鈍っている……ように見えなくもない。
 さすがにこれだけの巨体だと、2人がかりでの影魔法でも効果がイマイチだな。
 だが、一瞬の隙は作れたらしい。
 ミリオンズでも古参の3人が、クラーケンに攻撃を加えるべく駆け出していた。

「ビッグ……」

「聖ミリアリア流奥義……」

「100万ボルト……」

 3人が闘気や魔力を高めていく。
 ミティ、アイリス、モニカの3人だ。
 それぞれの大火力をぶつけるのだろう。

「グオオォーッ!!」

 クラーケンが叫ぶ。
 3人に向けて触手で攻撃するが、その動きは影魔法によって阻害されており鈍い。
 彼女たちはそれを華麗に避ける。
 そして――

「ボンバー!!!」

「爆撃正拳!!」

「雷華崩脚!!!」

 3人の攻撃が炸裂する。
 クラーケンの触手は数本吹き飛び、本体にもかなりのダメージを与えたようだ。

「やった~! 倒したんじゃない~!?」

「……す、すごい攻撃……」

「私たちの大勝利だよー!」

 花、雪、ゆーちゃんが喜びの声を上げる。
 俺はミティたちに労いの言葉をかけ――

「ま、待て……! まだ終わってないみたいだぞ!!」

 ――かけた言葉を、途中で打ち消した。
 クラーケンがまた叫び声を上げたからだ。
 そして、最初の方に切り落とした触手が少しずつ再生を始めている……だと!?

「お館様! クラーケンが……!」

「ああ! 再生しているぞ!!」

 どうやら、クラーケンは触手を切り落としても生え変わるようだ。
 生命力や魔力が続く限り、襲いかかってくるかもしれない。
 俺たちは戦慄する。
 厄介な相手だ……。
 こうなれば、船への被害を考慮するのは止めだ。

「全員、総攻撃だっ! 手加減なしで叩き潰すぞ!!」

 俺はそう叫んだのだった。
 クラーケンとの戦闘を再開する俺たち。
 再生しつつある触手や本体にも攻撃を加えていく。

「ピピッ! 【生命体焼却砲】!!」

 ティーナが触手に向けて大火力で攻撃する。
 クラーケンの一部が黒焦げとなった。

「【ブランチスピア】!」

「【ジャッジメント・レイン】!!」

 さらに、サリエとリーゼロッテもそれに続いた。
 それぞれ、物理寄りの植物魔法と水魔法だ。

「グオオォッ!?」

 焦げた触手に攻撃が当たる。
 これは相当なダメージを与えることができたようだ。
 クラーケンは苦しそうに触手を引っ込めている。

「あの触手……根本から切れそうですね」

 レインがそうつぶやく。
 俺たちのここまでの攻撃により、少なくない数の触手を切り飛ばしたり痛めつけたりしている。
 だが、その多くは先端部分への攻撃しかできていない。
 根本からの切断に成功すれば、再生には相当な時間を要するはずだ。

「然らば、拙者が! ――【術式纏装・疾風怒濤】!!!」

 蓮華がそう叫び、彼女の姿がかき消える。
 そして次の瞬間には、焦げた触手の根本部分が両断されていた。
 船の上から、クラーケンの後方まであれほど素早く移動して攻撃を加えるとは……。

「おおっ! やるな、蓮華!!」

 俺は思わず叫んだ。
 あれが彼女の纏装術。
 速度・攻撃力ともに非常に優れた武技のようである。

「せいっ! はあああぁっ!! 今が好機!! このまま攻め続けるでござる!!!」

 蓮華は触手への攻撃を続けながら、そう叫んだ。
 大ダメージを与えて強気になっているのは分かるが……。
 今の蓮華は孤立している。
 ミリオンズの面々が船上で戦っているのに対して、蓮華はクラーケンの触手を深追いして海の上に出ている状況だからな。

「蓮華! 早く戻ってくれ! 海に落ちたらマズイぞ!!」

 俺はそう叫ぶ。
 だが――

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