【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1209話 ゆーちゃんへの加護(小)付与

「ふっ……。我が聖剣エクスカリバーに、斬れぬものはない……」

 俺は聖気をまとったエクスカリバーを鞘に収納しながら、そう口にした。
 実に爽やかな気分だ。
 ちなみに、今のゆーちゃんは布団にくるまって丸まっている。

「私は幽霊なのに、赤ちゃんができちゃうよぉ……」

「いや、赤ちゃんはさすがにできないだろ」

 俺はゆーちゃんの言葉を否定した。
 いくら聖剣エクスカリバーでも、幽霊との間に子をなせるとは思えない。
 まぁ、ゆーちゃんの実体化がさらに進めばワンチャンあるかもだが……。

 この点については、ティーナやドラちゃんと似たようなものか。
 古代アンドロイドのティーナは、古代遺跡や古代研究所を探し出してアップデートすれば、妊娠が可能となる。
 ファイアードラゴンのドラちゃんは、『変化術』のスキルレベルを上げてより人に近しい存在になれば、俺との間に子をなせる。
 そして幽霊のゆーちゃんは、もっと魔力を吸って実体化が進んでいけば、俺との行為によって子どもをなせるかもしれない。
 だが、今の段階でのそれは不可能だろう。

「ま、今はゆっくり焦らずだな」

 俺はそう口にする。
 未来は未定。
 俺たちにはまだまだ時間があるのだから……。

「うん……」

 布団にくるまったゆーちゃんが、顔だけをこちらに向けて頷いた。
 俺は布団ごとゆーちゃんを抱きしめて、つぶやく。

「愛しているよ、ゆーちゃん」

「私も愛してるよ。おにーさん……」

 ゆーちゃんの声は、どこか幸せそうだった。
 しばらくすると、ゆーちゃんは寝てしまったようだ。
 俺はステータス画面を開く。
 そこにはこう表示されていた。

『ユーファミアに加護(小)を付与しますか? はい/いいえ』

 ティーナやドラちゃんに続き、今日だけで3人目の付与だ。
 まさかこれほど順調に進むとは……。
 ゆーちゃんの本名はまだ知らなかったのだが、この『ユーファミア』というのが彼女の本名と考えていいだろう。
俺はもちろん、『はい』を選択した。
 だが――

『加護(小)付与の処理について、権限者が中止を要求しました。付与処理を中止します』

 俺の頭の中に、そんな言葉が響く。
 どうやら、すんなりと付与はできないようだ。

「まぁ、想定内だな」

 俺はそう口にした。
 なにせ、ゆーちゃんは幽霊だからな。
 古代アンドロイドのティーナやファイアードラゴンのドラちゃんと同様、『権限者』が難色を示すのも当然だろう。

 しかし、だからと言ってここで引き下がるわけにはいかない。
 ゆーちゃんが加護(小)を得れば、いろいろと便利になるだろう。
 実体化も進むかもしれない。
 俺とゆーちゃんの幸せな未来のために、加護(小)は絶対に欲しいところだ。

「さて、どうするべきか……」

 俺は考える。
 ステータス画面の表示によると、『権限者』が付与処理を要求してきたらしい。
 ティーナやドラちゃんのときには、俺が抗議したことによって付与処理が再開された。

(今回もそうするか? しかし……)

 さすがに3回目はどうなんだろう?
 そろそろ『権限者』がブチギレてもおかしくない気もする。
 俺が痛い思いをするぐらいなら、まだいい。
 困るのは、付与対象のゆーちゃんに危険が及ぶことだ。

 今さらだが、あまり『権限者』を怒らせない方が身のためだ。
 ここはじっくりと作戦を考えて――

『……加護(小)付与の処理を再開。付与完了しました』

「え?」

 ステータス画面に付与の完了が表示された。
 一瞬、何が起こったのか分からなかった。
 だが、すぐに理解する。

「ほう……。『権限者』も話が通じる者のようだな……」

 俺はニヤリと笑う。
 この反応は予想外だった。
 もしかしたら、『権限者』も俺の性格というものを理解し始めているのかもしれない。

 実際、あのままなら俺はまた抗議していたことだろう。
 沈黙していたのは、あくまで作戦を練っていただけのことだ。
 どうせ抗議されるなら、さっさと付与処理してしまおう。
 そんな考えなのだろうか?
 なら、最初から付与処理の中止など要求しなければよかったものを……。

(まぁ、そんなことはどうでもいいか)

 俺は考えるのをやめた。
 最終的に加護(小)を付与してくれたのなら、『権限者』に対して文句はない。
 今はゆーちゃんのことだ。
 彼女は布団にくるまってすやすやと眠っている。
 さっそくステータスを確認させてもらうことにしよう。

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