【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1208話 聖剣エクスカリバー

 俺はゆーちゃんに迫っている。
 幽霊とはいえ、彼女は可愛い。
 俺としては、何の不満もなかった。

「おにーさん……。もう許して……」

「ダメだ」

 俺は即答する。
 そして、ゆーちゃんの唇を奪った。

「んむっ!?」

 ゆーちゃんは驚いたように目を見開く。
 そんな彼女の口内を俺は堪能し――

「あれ?」

 不意に口の感覚がなくなった。
 そして、気付く。
 俺の体はゆーちゃんをすり抜けてしまっていたらしい。

「お、おにーさん……」

 振り返ると、ゆーちゃんもこちらを見ていた。
 なんか、新鮮な体験だな。
 キスしていたと思ったら、すり抜けてたなんて……。
 相手が幽霊だからこそ起きる謎の現象だ。

「ゆ、ゆーちゃん。今のは……」

「おにーさん、がっつき過ぎだよぅ……」

 ゆーちゃんはジト目でこちらを見ている。

「すまん。ゆーちゃんがあまりにも可愛かったから……」

 俺は言い訳を口にする。
 しかし、ゆーちゃんはジト目をやめなかった。
 むしろ、ジト目が強くなっている気がする……。

「……私は霊体だからね。普通の人には触れることさえできないの。聖魔法とかを使えるおにーさんは別だけど、それでも限界はあるんだよ?」

「ああ、そういうことか」

 俺は納得した。
 幽霊のゆーちゃん。
 みんなの魔力を吸収していったおかげで、こうして実体化が進んだ。
 それによりミリオンズのみんなも彼女の存在を認知したし、俺はこうして触れることもできる。

 だが、あくまで彼女は霊体。
 生身の体と完全に同じように扱うことはできない。
 こちらの聖気が不足していると、すり抜けてしまうようだ。

「すまんな、ゆーちゃん。嫌な思いをさせたか?」

「別に気にしてないよ……。ちょっとびっくりしただけだから……」

 俺としたことが、とんだ失態だ。
 まさか、キスしているときに相手の体をすり抜けてしまうなんて……。

「よし、もう同じ失敗は繰り返さないぞ。聖気を口や手に集中させて……ぬんっ!!」

「ひゃんっ!!」

 俺は気合いを入れて聖気をまとう。
 さっきまでは全身に満遍なく聖気をまとっていたが、今度は口や手にだけ集中させたのだ。
 ゆーちゃんの体を全身で感じることはできなくなるものの、すり抜けてしまうことはなくなる。
 今の俺にとっては、これがベストだ。

「いくぞ、ゆーちゃん……」

 俺は再びゆーちゃんにキスをする。
 今度はすり抜けることなく、ちゃんとお互いの唇が長く触れ合うことができた。
 そして――

「ぷはぁ……」

 俺はゆーちゃんとのキスを終える。
 とても充実した時間だった……。
 いや、俺だけが満足してはいけないな。
 ちゃんと、ゆーちゃんも満足させてあげないと……。

(さて、次はどうするべきか……)

 俺は考える。
 感覚的には、十分量の聖気を同時にまとえるのは2~3箇所といったところだ。
 今は口や両手にまとっている。
 このままでもイチャイチャすることはできるのだが、最終的に大満足まで到達することはできない。
 ならば――

「目覚めよ……! 俺のエクスカリバー!!!」

 俺はそう口にして、自分の体に手を伸ばした。
 そして――

「え? お、おにーさん……。いきなりどうしたの?」

 ゆーちゃんが戸惑っていた。
 まるで変態を見下すような目をしている気がする。

「ふっ……。俺のエクスカリバーが覚醒したのさ」

 俺はそう答えた。
 つまり、◯器に聖気を集中させたわけだな。
 ……いや、ダジャレを言いたかったわけじゃない。
 これこそが、今の俺に適した聖気の使い方なのだ。

「さぁ、ゆーちゃん。俺と一緒に天国を目指そう」

 俺はゆーちゃんに覆いかぶさる。

「ちょ、おにーさん!? 待って!!」

 ゆーちゃんは驚きの声を上げるが、抵抗はしなかった。
 なので、俺はゆーちゃんに迫り――

「神よ、俺に力を……! 聖剣・エクスカリバー!!!」

 そう叫んだ。
 すると、聖気をまとった俺のエクスカリバーが発光する。
 まるで魔法剣でも発動したかのような感じである。

「きゃんっ!!」

 ゆーちゃんが可愛らしい悲鳴を上げた。
 こうして、俺たちは聖気を駆使して仲を深めていったのだった。

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