【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1181話 リンやロロの件

 俺たちはミリオンズ会議を開いている。
 ヤマト連邦へのミッションの件を話した後は、各自の現状ステータスを共有した。
 俺が回したメモに、それぞれが目を通している。

「少しよろしいですか? タカシさん」

「もちろんだ。何か質問か? サリエ」

「ええ……。その、どうしてリンとロロのステータス紙面も回しているのでしょうか?」

 サリエが困惑した様子で、俺に聞いてくる。
 あ、そうか。
 いつもの癖で、全員分のステータスメモを回してしまった。
 今回のヤマト連邦への潜入作戦を考えると、ミリオンズの分だけで良かったのに。
 間違いは間違いと認めてもいいが……。
 ここは頑張って誤魔化してみよう。

「ヤマト連邦の件が片付いたら、俺たちはサザリアナ王国に戻ることになる。そして、頃合いを見てリンやロロと活動を共にしていくことも検討しているんだ」

「それは……まぁそういうこともあるかもしれませんね」

 サリエがうなずく。
 加護は強力だ。
 加護(微)でもなかなかの恩恵があるし、加護(小)になるとさらに効果が大きくなる。
 さらにその上の加護……通常の加護ともなると、もはや説明不要だろう。

「俺としては、リンとロロの意思を尊重したいと思っている。スキル欄を見れば分かるかもしれないが、2人の意思はちゃんと聞いていてな。リンは剣術と造形魔法を使った冒険者志望で、ロロは鍛冶師志望だ」

 リンは『剣術』『造形魔法』『魔力強化』を伸ばしている。
 ロロは『鍛冶術』を伸ばした。
 俺のチートスキル『ステータス操作』のおかげで、スキルだけなら既に一人前である。
 知識や経験が伴っていないので、さすがに一流と見なされるほどではないが……。
 1年……いや、ヤマト連邦の件が終わる頃には独り立ちしかけていても不思議ではない。

「そうですか。彼女たちの成長は喜ばしいことですが……今回の件に、何か関係があるでしょうか?」

「ま、一応の情報共有だよ。リンとロロの方向性次第で、みんなの方向性にも若干の影響があるだろ?」

 リンが剣術と造形魔法を使った冒険者になるなら、ミリオンズの中で新たに造形魔法を取得する優先度は下がる。
 ミリオンズ及びハイブリッジ男爵家の中である程度の多様性を確保したいからだ。
 これから下される各種のミッション、あるいはネルエラ陛下なり聖ミリアリア統一教会なりの要求や介入によっては、様々な仕事をこなす必要がある。
 多種多様な人材が必要となるだろう。

「なるほど……」

「あくまで参考程度だけどな。ヤマト連邦の件は大仕事になる可能性があるし、鎖国国家への潜入はそれだけでリスキーだ。言っておいて何だが、リンとロロの件はさほど気にせず、とにかく自分の能力を最大化する方向性で考えてもらっていい」

 俺としては、それが最優先だと思っている。
 とりあえず生きて帰れば、何とかなる。
 俺のチートスキル『加護付与』や『ステータス操作』は強力だからな。
 時間さえあれば、どんどん強くなれる。
 喫緊の脅威があるのなら、それに対処できるようスキルを伸ばすのが先決だ。

「承知いたしました。では、そのように」

 サリエが了承した。
 そして、他のメンバーも次々と了解の旨を伝えてくる。
 よし。
 これで一通り、俺の意図する方向性は伝えられただろう。

「ちなみにですが、トリスタにはいつ加護を与えられたのです?」

「ああ、俺がラーグに一時的に帰還したときだよ。ほら、治療院とかリンドウとかを一通り視察して帰ったときにさ」

 サリエの問いに、俺は答える。
 オルフェスからラーグに転移したとき、俺は治療院やリンドウを訪れた。
 そしてトリスタに通常の加護を与え、オルフェスに帰還したのだ。

「そんなことが……。オリビアに加護(小)を付与されたことは聞いていましたが……。ちなみに、トリスタの件は何が決定打となったのですか?」

「ああ……。おそらくは、超時短勤務かな」

「超時短勤務?」

 サリエが首を傾げる。
 トリスタの件については、まだ詳しく話していなかったな……。

「ざっくり言えば、文官の後進が一人前になったらトリスタの負担を軽くするという話だ。あいつの趣味は読書だから、それが最も良い褒美になると思ってな」

「そういうことでしたか。しかし、そんなことで加護が……。オリビアは加護(小)なのに……」

 サリエの言いたいことも分かる。
 オリビアは加護(小)だ。
 それに対し、トリスタは通常の加護である。
 その差のきっかけが超時短勤務だと知ったら、少しばかり複雑な気持ちにもなるだろう。

「ま、どういった出来事がきっかけになるかは人それぞれさ。それだけ、トリスタが読書好きってことだ」

「ふむ……。仕方ありませんね。オリビアの加護は、帰ってから検討しましょう」

 サリエが嘆息する。
 オリビアは彼女のお付きメイドだ。
 主として、オリビアの将来を真剣に考えているらしい。

「さて、そろそろ本題に入ろうか。俺たち自身のステータスについて、何か気になったことや意見があればどんどん言ってくれ」

 俺は改めて、全員に言う。
 こうして、ミリオンズ会議は進んでいくのだった。

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