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【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1177話 当機の存在をお忘れですか?

 潜水誤差の要因は何だろうか?
 ゆーちゃんとドラちゃんが加わったせいで、11人+2人の計13人が搭乗していることになる。
 正確に言えば、11人と1霊と1竜か。

 ゆーちゃんは軽いが、ドラちゃんは結構重い。
 彼女たちの搭乗が潜水誤差の原因だろう。
 俺はそう思った。
 しかし、誤差の原因はそれだけじゃないらしい。

「ピピッ! 実は、もう4名が――」

「あ、すまん。その前に、さっきの果実水をもらえるか? まだ喉の渇きが治まらなくてな……」

 俺は追加の果実水を要求する。
 ハッスルしすぎて汗をかいてしまったため、喉が渇いている。

「承知いたしました」

 俺の要求を了承した誰かが、グラスを渡してくれる。
 俺は果実水を飲んだ。

「うん……美味いな。この味は、果樹園で取れたものかな?」

「ピピッ! 仰る通りです。個体名ニムの果樹園から収穫した果物を、絞ったものになります」

「ほう。そうなのか」

 俺はコップの中の果実水を見つめる。
 少しピンクがかった色合いの液体だ。
 色からして、桃だろうか?
 いや、ここは異世界なので、あくまで桃っぽい謎の果物だが……。

 これはこれで美味い。
 喉の渇きを潤すのにちょうどいい感じだ。
 栽培術のスキルを持つニムは、果物や野菜の栽培も一流だ。

「ふー……。ありがとう。美味かったよ」

「ピピッ! マスターにお喜びいただけて、何よりです」

 俺がお礼を言うと、果実水の提供者がそう言った。
 彼女も喜んでくれているようだ。

「それで、さっきの続きだが……」

「はい。まずは当機の存在でしょうか? マスターは、当機の重量を算入されていないと思われます」

「ん? ゆーちゃんとドラちゃん以外の乗組員は、全員ちゃんと重量を算入して――あれ? 当機だって?」

 俺は首を傾げる。
 そう言えば彼女は誰なのだろう?
 ハッスルの余韻で頭がボーッとしている上、薄暗くて顔が見えにくい。
 よく考えれば、俺のことを『マスター』と呼んだり、自分のことを『当機』と呼んだりする者は乗組員にいなかったはずだ。

「お前は何者……うぉっ!?」

「当機の存在をお忘れですか? マスター……」

 少女がどこか悲しそうな声色と共に、こちらに近づいてくる。
 薄暗い部屋でも、近づけば顔が判別できるようになる。
 明らかになった少女の顔を見て、俺は驚く。

「お、お前は……!?」

 俺の目の前に立っていたのは、人型ロボットだった。
 外見年齢は10歳ぐらい。
 彼女はアヴァロン防衛システム管理アンドロイド『T-17』だ。
 名前は――

「ティーナじゃないか! どうしてここに!?」

「ピピッ! マスターの行くところが、当機の居場所ですから」

 ティーナは、無表情を一切崩すことなくそう答えた。
 俺は驚きつつ、彼女に質問する。

「あ、ああ……。なるほどな。しかし、まさか隠密小型船に乗船していたとは……」

 ミリオンズの正確な構成員は11人だ。
 俺、ミティ、アイリス、モニカ、ニム。
 ユナ、マリア、サリエ、リーゼロッテ、蓮華、レイン。
 この11人で、冒険者ギルドにミリオンズとして登録している。

 しかし実際のところ、冒険者ギルドに届け出ていない人外構成員が2人いる。
 ドラゴンのドラちゃんと、古代アンドロイドのティーナだ。
 ドラちゃんを置いてこようと思った理由は、前述の通り『そこそこの重量があること』と『ヤマト連邦でどの程度注目されてしまうか不透明であること』だ。

 ティーナについても、ある程度は似たようなものだな。
 まず、古代アンドロイドである彼女がどの程度注目されるか分からない。
 そして、彼女もかなりの重量がある。
 初めて出会った際には、スリープモードの彼女を俺が運ぼうとして無理だったことがあったぐらいだ。
 あの時の俺の腕力は、今よりも一回り下だったが……。
 それでも既にBランク冒険者だったし、そこらの冒険者よりも腕力が強かった。
 そんな俺でも彼女を持ち上げることは不可能だったのである。
 おそらくだが、体重は100キロ……いや200キロ以上あるかもしれない。

「ピピッ! 何か失礼なことを思われていませんか?」

「い、いや。別に……」

 ティーナが無表情でこちらを見つめてくる。
 古代アンドロイドとはいえ、性別は女性。
 体重の話題は厳禁らしい。
 俺は彼女の勘の鋭さにドキッとさせられたのだった。

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