【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
1167話 ミリオンズ集結
「むぅ……!? こ、これが隠密小型船でござるか……!!」
オルフェスの秘密造船所。
そこでは、ゴードン率いる特務隊によって秘密裏に建造された隠密小型船が引き続きお披露目されていた。
「こ、この技術は……。全くもって驚きでござる……!! さすがは一国の王が手配した優秀な技術者たちでござるな……!!」
隠密小型船の実物を目の当たりにした蓮華が驚きの声を上げている。
彼女はヤマト連邦の出身だ。
船の完成具合の確認についても、一段と熱心である。
「しかし、やはり狭いようですね。ミカは置いてきて正解でした」
「そうだねー。ボクも、できればアイリーンと過ごしたかったんだけど」
ミティとアイリスがそう言う。
隠密小型船の内部は、本来は10人も乗り込めば身動きがとりづらくなるほど狭い。
俺やレインの空間魔法に物資を収納できる分、多少はマシだが……。
それでも、広すぎるなんてことは決してない。
ミカ、アイリーン、モコナのような赤ん坊を連れて行くには適さない空間と言えるだろう。
隠密小型船を中心に、ミリオンズの面々が楽しそうにはしゃいでいる。
少し退いたところでそれを眺める俺に、レインが近づいてきた。
「お館様……。実は、以前から気になっていたことがあるのですが……」
「どうした?」
「私やお館様が『転移魔法陣』をこの船内に描けば、いつでもオルフェスやラーグまで戻ることができるのではないでしょうか?」
「それは俺も考えたんだが……。今回はやめておこうと思う」
レインの言葉に対して、俺は首を振る。
彼女の言う通り、『転移魔法陣』が使えるならば大人数で不便な船旅をする必要もない。
とても便利だ。
しかし、懸念点もある。
「どうしてそうされないのですか?」
「転移魔法陣ってのは、描いた者が込めた魔力によって維持される。起動時には、起動者の魔力を再び吸う。それは理解しているな?」
「そうですね。体感としてはそんな感じのようです」
俺もレインも、空間魔法もちゃんと学んだわけではない。
俺の『ステータス操作』によって得た能力だ。
そうしてスキルを得ることには一長一短がある。
優れている点として、魔法の発動方法などの的確性が高いことが挙げられる。
頭に直接的にインストールされるような感じとなるので、妙な癖が付きにくいのだ。
しかし一方で、悪い点もある。
知識や経験に厚みが出ないことだ。
本来ならば紆余曲折を経て得るべきだったスキルを、一朝一夕に取得してしまうわけだからな。
この点で言えば、俺もレインも空間魔法に関する知識や経験が不足していると言わざるを得ない。
「実は、転移魔法陣には術者以外の魔力も活用されているんだ」
「えっ! そうなのですか?」
「ああ。転移魔法陣は、地脈を走る魔力を吸収する機構を持っているのさ。その影響で、同じくらいの距離感でも設置場所によって必要魔力に差が出たり、転移魔法陣の劣化が速かったり遅かったりする」
「そ、それは……。知りませんでした」
俺の説明にレインが目を丸くしている。
知らない知識もあるのは、俺だって同じだ。
「だから、海面上や海中を動いていく隠密小型船の床に転移魔法陣を描くのは、あまり推奨されないのさ。地脈から魔力を吸収できず、発動に支障が出るリスクがある」
「そういうことでしたか……」
「ついでに言えば、常に揺れ動いているっていうのも良くない条件の1つだな。転移魔法陣同士の魔力の繋がりが断絶しやすい」
転移魔法陣の仕組みはどうなっているのか?
前述の通り、俺には知識も経験も不足している。
確かなことは言えない。
だが、ある程度は推測できる。
転移魔法陣同士は、魔力的に繋がってお互いの位置を把握していると思われる。
だからこそ、多少は移動していても正確に転移することが可能なのだ。
大陸プレートが少しばかり動いたとしても、それだけで『岩の中にいる』ような状況にはならないだろう。
だが、海上のように常に揺れ動いていれば話は別だ。
転移魔法陣同士が繋がりにくくなり、結果的に発動が不安定になることだろう。
「いざという時のために、この秘密造船所の一室に向けた転移魔法陣は描いている。だが、よほどのことじゃないと使うべきじゃないだろうな」
「よほどの時というのは……。例えば、船が沈みそうな時とかですか?」
「いや、違う。単に沈みそうなだけなら、そのまま海上に脱出した方がいいだろう。俺たちの実力なら、それでも十分に生存率が高い」
俺はレインの問いに首を振る。
ミリオンズの実力は高い。
多少の危機ぐらいなら、普通に乗り越えられるだろう。
「では、どういう場合なのですか?」
「例えば、船が海中深くに潜っている最中に、何らかの原因により上昇が不可となり、船内の空気や物資が足りなくなり、船体の維持も厳しくなってきたところに、海の巨大生物が船を襲ってきた場合とかだな」
いくらミリオンズでも、深海から外に脱出して無事に浮上できる者は限られるだろう。
しかも、目の前に敵意を持った巨大生物がいる状況ではさらに厳しい。
それならば、不安定であっても転移魔法陣を使って逃げた方がいい。
「かなり限られますね……。基本的には、転移魔法陣は使わない方針ということですか?」
「そうだな。なにせ、不安定な転移魔法では変なところに飛ぶリスクがあるからな。転移魔法陣を使うのは、ヤマト連邦の本土に到着してそこに設置してからでいいだろう。その土地に走る魔力にもよるが、たぶんオルフェスまでならギリギリ転移できるんじゃないかと思う」
「分かりました。覚えておきます」
レインが頷く。
一度でも転移魔法陣による移動が確立できれば、ヤマト連邦での任務も一気に楽になるのだが……。
こればかりは、行ってみないと分からない。
天に祈っておくことにしよう。
オルフェスの秘密造船所。
そこでは、ゴードン率いる特務隊によって秘密裏に建造された隠密小型船が引き続きお披露目されていた。
「こ、この技術は……。全くもって驚きでござる……!! さすがは一国の王が手配した優秀な技術者たちでござるな……!!」
隠密小型船の実物を目の当たりにした蓮華が驚きの声を上げている。
彼女はヤマト連邦の出身だ。
船の完成具合の確認についても、一段と熱心である。
「しかし、やはり狭いようですね。ミカは置いてきて正解でした」
「そうだねー。ボクも、できればアイリーンと過ごしたかったんだけど」
ミティとアイリスがそう言う。
隠密小型船の内部は、本来は10人も乗り込めば身動きがとりづらくなるほど狭い。
俺やレインの空間魔法に物資を収納できる分、多少はマシだが……。
それでも、広すぎるなんてことは決してない。
ミカ、アイリーン、モコナのような赤ん坊を連れて行くには適さない空間と言えるだろう。
隠密小型船を中心に、ミリオンズの面々が楽しそうにはしゃいでいる。
少し退いたところでそれを眺める俺に、レインが近づいてきた。
「お館様……。実は、以前から気になっていたことがあるのですが……」
「どうした?」
「私やお館様が『転移魔法陣』をこの船内に描けば、いつでもオルフェスやラーグまで戻ることができるのではないでしょうか?」
「それは俺も考えたんだが……。今回はやめておこうと思う」
レインの言葉に対して、俺は首を振る。
彼女の言う通り、『転移魔法陣』が使えるならば大人数で不便な船旅をする必要もない。
とても便利だ。
しかし、懸念点もある。
「どうしてそうされないのですか?」
「転移魔法陣ってのは、描いた者が込めた魔力によって維持される。起動時には、起動者の魔力を再び吸う。それは理解しているな?」
「そうですね。体感としてはそんな感じのようです」
俺もレインも、空間魔法もちゃんと学んだわけではない。
俺の『ステータス操作』によって得た能力だ。
そうしてスキルを得ることには一長一短がある。
優れている点として、魔法の発動方法などの的確性が高いことが挙げられる。
頭に直接的にインストールされるような感じとなるので、妙な癖が付きにくいのだ。
しかし一方で、悪い点もある。
知識や経験に厚みが出ないことだ。
本来ならば紆余曲折を経て得るべきだったスキルを、一朝一夕に取得してしまうわけだからな。
この点で言えば、俺もレインも空間魔法に関する知識や経験が不足していると言わざるを得ない。
「実は、転移魔法陣には術者以外の魔力も活用されているんだ」
「えっ! そうなのですか?」
「ああ。転移魔法陣は、地脈を走る魔力を吸収する機構を持っているのさ。その影響で、同じくらいの距離感でも設置場所によって必要魔力に差が出たり、転移魔法陣の劣化が速かったり遅かったりする」
「そ、それは……。知りませんでした」
俺の説明にレインが目を丸くしている。
知らない知識もあるのは、俺だって同じだ。
「だから、海面上や海中を動いていく隠密小型船の床に転移魔法陣を描くのは、あまり推奨されないのさ。地脈から魔力を吸収できず、発動に支障が出るリスクがある」
「そういうことでしたか……」
「ついでに言えば、常に揺れ動いているっていうのも良くない条件の1つだな。転移魔法陣同士の魔力の繋がりが断絶しやすい」
転移魔法陣の仕組みはどうなっているのか?
前述の通り、俺には知識も経験も不足している。
確かなことは言えない。
だが、ある程度は推測できる。
転移魔法陣同士は、魔力的に繋がってお互いの位置を把握していると思われる。
だからこそ、多少は移動していても正確に転移することが可能なのだ。
大陸プレートが少しばかり動いたとしても、それだけで『岩の中にいる』ような状況にはならないだろう。
だが、海上のように常に揺れ動いていれば話は別だ。
転移魔法陣同士が繋がりにくくなり、結果的に発動が不安定になることだろう。
「いざという時のために、この秘密造船所の一室に向けた転移魔法陣は描いている。だが、よほどのことじゃないと使うべきじゃないだろうな」
「よほどの時というのは……。例えば、船が沈みそうな時とかですか?」
「いや、違う。単に沈みそうなだけなら、そのまま海上に脱出した方がいいだろう。俺たちの実力なら、それでも十分に生存率が高い」
俺はレインの問いに首を振る。
ミリオンズの実力は高い。
多少の危機ぐらいなら、普通に乗り越えられるだろう。
「では、どういう場合なのですか?」
「例えば、船が海中深くに潜っている最中に、何らかの原因により上昇が不可となり、船内の空気や物資が足りなくなり、船体の維持も厳しくなってきたところに、海の巨大生物が船を襲ってきた場合とかだな」
いくらミリオンズでも、深海から外に脱出して無事に浮上できる者は限られるだろう。
しかも、目の前に敵意を持った巨大生物がいる状況ではさらに厳しい。
それならば、不安定であっても転移魔法陣を使って逃げた方がいい。
「かなり限られますね……。基本的には、転移魔法陣は使わない方針ということですか?」
「そうだな。なにせ、不安定な転移魔法では変なところに飛ぶリスクがあるからな。転移魔法陣を使うのは、ヤマト連邦の本土に到着してそこに設置してからでいいだろう。その土地に走る魔力にもよるが、たぶんオルフェスまでならギリギリ転移できるんじゃないかと思う」
「分かりました。覚えておきます」
レインが頷く。
一度でも転移魔法陣による移動が確立できれば、ヤマト連邦での任務も一気に楽になるのだが……。
こればかりは、行ってみないと分からない。
天に祈っておくことにしよう。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
40
-
-
444
-
-
381
-
-
124
-
-
3430
-
-
969
-
-
20
-
-
0
-
-
58
コメント