【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
1163話 言ってダメなら物理的に口を塞ぐ作戦
俺はリオンを浄化した。
新技の『五精・オーバーエレメンツ』で強化した状態からの、大規模な聖魔法。
それは彼の闇の瘴気をすっかり浄化した。
あとはリオンをオルフェスの衛兵隊に引き渡し、彼の処遇を決めればいい。
そう思っていたのだが……。
「嘘……タケシ……?」
呆然としたような声が聞こえてきた。
その声の主はエレナだ。
彼女は大きく目を見開いて俺を見ていた。
「ああ、エレナか。奇遇だな」
俺はそう言って手を振る。
だが、エレナは呆然としたまま硬直している。
「おーい、エレナ?」
俺はゆっくりと彼女に近づいていく。
すると、彼女はハッとしたような表情を浮かべた後、なぜか数歩後ろに下がった。
「お、おい、エレナ? どうしたんだ?」
「…………」
俺が問いかけるが、エレナは無言である。
彼女の目は俺に釘付けになったままだ。
「エレナ? おーい?」
俺が更に呼びかけてみるが、彼女はまだ固まったままである。
どうしたものかと思案していると、ようやく彼女が言葉を発した。
「……のよ」
「ん? なんて?」
「……どうして、あんたがここにいるのよ! タカシ様はどこ!?」
エレナが叫ぶ。
その表情は、信じられないものを見たかのようだ。
「どうしてって……偶然に通りがかっただけだ。それにタカシなんて人、ここには来ていないぞ?」
「そんなわけないでしょ!? だって……」
エレナがそう言って後ずさる。
彼女の目は泳いでおり、明らかに動揺しているのが見て取れる。
(……少し苦しい言い訳だったか?)
ここは森の中。
偶然に通りがかるなんてことは滅多にない。
まぁ冒険者なら、絶対にないとも言い切れないのだが……。
あと、タカシが来ていないと断言したのもマズかったかもな。
エレナは何かしらの根拠を持って、タカシ=ハイブリッジがここにいると思っていた可能性がある。
「なあ、エレナ。なんか様子が変だぞ? 少し休んだ方がいいんじゃないか?」
俺はそんな提案をする。
おかしいのは俺ではなく、エレナだったということで話を済ませたい。
しかし、エレナは俺の言葉に納得するどころか、今度は詰め寄ってきた。
「う、うるさいわね! あんたみたいな変態のカスに心配される筋合いはないわ!!」
「そ、そうか……」
変態のカスか……。
なかなかのパワーワードだな……。
美少女が言っているので、どちらかと言えばご褒美ではある。
しかし、今のエレナの迫力には鬼気迫るものがあった。
俺が気圧されていると、彼女はさらに続けて言う。
「ほら、正直に答えなさい! あんたは今、ここで何をしていたの?」
「いや、別に俺は何もしてない。この森にはたまたま入ってみただけだ」
俺は適当に答える。
すると、エレナはジト目で俺を見つめた。
「そんなわけないでしょ! よく見れば、そっちにはあんたの女が2人ともいるし! 地べたに座っているのは、脱走した首領リオンでしょう!?」
「うっ……」
「それに、さっきここで大型魔法の発動を感じたわ! 事情を説明してちょうだい!!」
「ぐっ……それは……」
厳しい追及だ。
もういっそのこと、俺の正体がタカシ=ハイブリッジ男爵であることを明かしてみるか?
いやいや、それは最後の手段だ。
いろいろな意味で声の大きいエレナに正体を明かせば、オルフェスで噂が広まるかもしれない。
ただでさえ、流れでリオンに正体を明かしてしまったのだ。
浄化済みの彼の口は固そうなのでギリギリセーフとしても、これ以上は無理だ。
「返答次第によっては、ただじゃおかないわよ?」
エレナが凄む。
もはや、適当な言い訳で隠し通すことはできそうもないな……。
俺は理知的な話し合いを諦める。
そして、エレナに近づき、彼女を抱きしめた。
「ちょっ……!? 何すんのよ!?」
「黙れ。その口を俺の口で塞いでほしいのか?」
「は、はぁ!? あんた、ふざけるのも大概に――んぷっ!?」
俺はエレナの唇を奪う。
突然のことに、彼女は呆然とした表情を浮かべた。
「むー!? むーっ!?」
エレナがもがく。
しかし、俺は絶対に離さないように彼女の体をガッチリと固定した。
言ってダメなら物理的に口を塞ぐ作戦だ!
やがて、エレナが大人しくなる。
俺はゆっくりと唇を離した。
「はぁ……はぁ……」
エレナの顔が真っ赤だ。
彼女は俺をキッと睨みつける。
このままビンタでも飛んできそうだな。
そう思っていたのだが……。
「こ、これで勝ったと思わないことね! 次に会ったら100倍にして返してやるんだから!!」
エレナはそう叫ぶと、踵を返して走り去っていった。
苦し紛れにやってみた『言ってダメなら物理的に口を塞ぐ作戦』が、なぜか上手くいった。
俺は彼女の後ろ姿を眺めつつ、ホッと胸をなで下ろすのであった。
新技の『五精・オーバーエレメンツ』で強化した状態からの、大規模な聖魔法。
それは彼の闇の瘴気をすっかり浄化した。
あとはリオンをオルフェスの衛兵隊に引き渡し、彼の処遇を決めればいい。
そう思っていたのだが……。
「嘘……タケシ……?」
呆然としたような声が聞こえてきた。
その声の主はエレナだ。
彼女は大きく目を見開いて俺を見ていた。
「ああ、エレナか。奇遇だな」
俺はそう言って手を振る。
だが、エレナは呆然としたまま硬直している。
「おーい、エレナ?」
俺はゆっくりと彼女に近づいていく。
すると、彼女はハッとしたような表情を浮かべた後、なぜか数歩後ろに下がった。
「お、おい、エレナ? どうしたんだ?」
「…………」
俺が問いかけるが、エレナは無言である。
彼女の目は俺に釘付けになったままだ。
「エレナ? おーい?」
俺が更に呼びかけてみるが、彼女はまだ固まったままである。
どうしたものかと思案していると、ようやく彼女が言葉を発した。
「……のよ」
「ん? なんて?」
「……どうして、あんたがここにいるのよ! タカシ様はどこ!?」
エレナが叫ぶ。
その表情は、信じられないものを見たかのようだ。
「どうしてって……偶然に通りがかっただけだ。それにタカシなんて人、ここには来ていないぞ?」
「そんなわけないでしょ!? だって……」
エレナがそう言って後ずさる。
彼女の目は泳いでおり、明らかに動揺しているのが見て取れる。
(……少し苦しい言い訳だったか?)
ここは森の中。
偶然に通りがかるなんてことは滅多にない。
まぁ冒険者なら、絶対にないとも言い切れないのだが……。
あと、タカシが来ていないと断言したのもマズかったかもな。
エレナは何かしらの根拠を持って、タカシ=ハイブリッジがここにいると思っていた可能性がある。
「なあ、エレナ。なんか様子が変だぞ? 少し休んだ方がいいんじゃないか?」
俺はそんな提案をする。
おかしいのは俺ではなく、エレナだったということで話を済ませたい。
しかし、エレナは俺の言葉に納得するどころか、今度は詰め寄ってきた。
「う、うるさいわね! あんたみたいな変態のカスに心配される筋合いはないわ!!」
「そ、そうか……」
変態のカスか……。
なかなかのパワーワードだな……。
美少女が言っているので、どちらかと言えばご褒美ではある。
しかし、今のエレナの迫力には鬼気迫るものがあった。
俺が気圧されていると、彼女はさらに続けて言う。
「ほら、正直に答えなさい! あんたは今、ここで何をしていたの?」
「いや、別に俺は何もしてない。この森にはたまたま入ってみただけだ」
俺は適当に答える。
すると、エレナはジト目で俺を見つめた。
「そんなわけないでしょ! よく見れば、そっちにはあんたの女が2人ともいるし! 地べたに座っているのは、脱走した首領リオンでしょう!?」
「うっ……」
「それに、さっきここで大型魔法の発動を感じたわ! 事情を説明してちょうだい!!」
「ぐっ……それは……」
厳しい追及だ。
もういっそのこと、俺の正体がタカシ=ハイブリッジ男爵であることを明かしてみるか?
いやいや、それは最後の手段だ。
いろいろな意味で声の大きいエレナに正体を明かせば、オルフェスで噂が広まるかもしれない。
ただでさえ、流れでリオンに正体を明かしてしまったのだ。
浄化済みの彼の口は固そうなのでギリギリセーフとしても、これ以上は無理だ。
「返答次第によっては、ただじゃおかないわよ?」
エレナが凄む。
もはや、適当な言い訳で隠し通すことはできそうもないな……。
俺は理知的な話し合いを諦める。
そして、エレナに近づき、彼女を抱きしめた。
「ちょっ……!? 何すんのよ!?」
「黙れ。その口を俺の口で塞いでほしいのか?」
「は、はぁ!? あんた、ふざけるのも大概に――んぷっ!?」
俺はエレナの唇を奪う。
突然のことに、彼女は呆然とした表情を浮かべた。
「むー!? むーっ!?」
エレナがもがく。
しかし、俺は絶対に離さないように彼女の体をガッチリと固定した。
言ってダメなら物理的に口を塞ぐ作戦だ!
やがて、エレナが大人しくなる。
俺はゆっくりと唇を離した。
「はぁ……はぁ……」
エレナの顔が真っ赤だ。
彼女は俺をキッと睨みつける。
このままビンタでも飛んできそうだな。
そう思っていたのだが……。
「こ、これで勝ったと思わないことね! 次に会ったら100倍にして返してやるんだから!!」
エレナはそう叫ぶと、踵を返して走り去っていった。
苦し紛れにやってみた『言ってダメなら物理的に口を塞ぐ作戦』が、なぜか上手くいった。
俺は彼女の後ろ姿を眺めつつ、ホッと胸をなで下ろすのであった。
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