【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1153話 オルフェスに戻る

「よっす。帰ってきたぜ」

「あ、おかえり! ダーリン!!」

「おかえりです。兄さん」

 転移魔法陣を使ってオルフェスに戻ると、モニカとニムが出迎えてくれた。
 ここは秘密造船所の一室。
 ひょっとして、俺の帰りをずっと待っててくれたのだろうか。

「お出迎え、ありがとうな。2人とも」

「ううん! ただボーッとしていただけだから大丈夫!!」

「はい。待ってなんかいませんよ? 待ちに待っていただけです」

 ふむ……。
 ラーグの街に帰った際には、ミティとアイリスが待っていてくれたな。
 もしかして、俺は自分で思っているよりも妻たちに愛されているのかもしれない。

「待たせてすまなかった。マイハニー、マイシスター」

 俺はそう言って、モニカとニムを抱きしめる。
 この呼び方をするのも、そろそろ終わりに近い。
 ヤマト連邦への潜入作戦の情報が漏れないようにするための設定だったが、これはこれで楽しかった。

「ふふっ、いいの。ダーリンの帰りをずっと待っているのも、いいものなんだから」

「はい。こうして兄さんに抱きしめられると落ち着きます……」

 モニカとニムが俺に抱きつきながら言う。
 俺としても、彼女たちとの抱擁はとても心が安らぐものだ。
 しばらくの間、俺たちは無言で抱き合っていた。

「さて……。オルフェスの近況はどうなっている?」

 やがて落ち着いた後、俺はモニカとニムに聞いてみた。
 何だか長い間オルフェスを離れていた気もするが、実際にはせいぜい半日ぐらいか。
 その間に何か事件でもあったのかどうか、確認しなければならない。

「特に変わりはないよ。隠密小型船の進捗も順調で……あと数日くらいで完成するはず」

「そうか。それは何よりだ」

 モニカの言葉に、俺は頷く。
 隠密小型船の進捗はいい感じらしい。

「え、えっと……。わたしは1つ、街で気になることがあったのですが……」

「ほう? 気になること?」

 ニムが遠慮がちに報告してきた。
 街、か……。
 ダダダ団がいなくなった今、特に脅威は残っていないと思っていたが。

「ダダダ団の人が、街で走り回っていて……それで……」

「何だと!?」

 俺はニムの言葉に驚く。
 ダダダ団が街で走り回っているとは……。
 残党がいたのか?
 それとも、一度は捕縛された連中が再犯したのか?

「それは断じて見過ごせんな!」

 エレナの話では、一度は捕縛された連中は既に解放されている。
 闇の瘴気が浄化された上で、社会奉仕活動に従事していたはずだ。
 せっかくの社会復帰チャンスを放棄するような奴に、これ以上の慈悲を与える必要はない。

「あ、たぶんそうじゃなくて……彼らは――」

「うおおおぉっ! オルフェスの街は、この俺が守る! サーニャちゃん! ムウ、メルル!! エレナ、ルリイ、テナ!!! 彼女たちの貞操は、ダダダ団ごときに渡さんぞっ!!!」

 俺はニムの話を遮り、秘密造船所から飛び出した。
 そしてオルフェスの街を走り始める。

「あっ、ちょっと兄さん! まだ話の途中なんですけどっ!?」

「ダーリンってば、もう……。女のことになると、人の話を聞かないんだから……」

 そんな声が後ろから聞こえるが気にしない。
 俺は走り続ける。

「うおおぉぉっ!! ダダダ団はどこだぁぁぁっ!!!」

 俺の声が街に響き渡る。
 街は平和そのもので、住民たちがギョッとした表情で俺のことを見る。

「な、何だあいつは……」

「お、おい……あれってタケシとかいうDランク冒険者じゃないか……?」

「ああ、ダダダ団に歯向かった冒険者の内の一人か……」

「低ランクの割には、度胸があるよな」

「今のオルフェスがあるのは、彼のおかげでもあるぞ」

 住民から、そんな声が聞こえてくる。
 この短期間で、俺のことが少しずつ認知されてきたようだ。
 ヤマト連邦への潜入作戦を考えると、あまり良いこととは言えないが……。
 マズイとまでも言えない。
 俺の正体として、ハイブリッジ男爵やBランク冒険者といった情報が加わらない限りは大丈夫だ。
 それに、あと数日で隠密小型船が完成し、1週間後かそのあたりにはもう出発するしな。

「ダダダ団! どこに隠れているっ!? 暴れるなら俺が相手だ!!」

 ニムの情報では、ダダダ団が街で暴れているとのことだった。
 しかし、見た限りでは街は平穏そのものである。
 ん?
 あれ?
 本当にそうだったか?
 ダダダ団が暴れている……確かにそう言っていたような気がするのだが。
 俺が戸惑っているときだった。

「きゃああぁっ! ど、どこ触っているのよ! この……野獣!!」

 エレナの叫び声がした。
 やはり、俺の懸念は間違っていなかった!

「どこだっ!? ダダダ団! 俺の女に手を出すとどうなるか、思い知らせてやる!!」

 俺はそう叫び、声の方角に駆け出すのだった。

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