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【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1152話 トミーへの加護(小)付与

「いやぁ、良いことをした後は気持ちがいいなぁ。リンドウでの俺の支持率も鰻登りだ」

 俺は今、重力魔法『レビテーション』を使いリンドウからラーグに向かっている。
 ゴブリンキングを討伐した俺は、住民たちの歓声に応えながら立ち去った。
 ブギー、ジョー、ケフィ、ヤックル、キサラあたりが俺を引き留めて歓待したがっていたが、丁重に断った。
 そろそろ転移魔法のクールタイムが終わる頃だ。
 モニカとニムがオルフェスで待っているし、あまり長々とラーグの街に滞在するのは良くない。

「今回は、結構なピンチだったようだな……」

 リンドウが魔物の脅威に晒されるのは、今回が初めてではない。
 周囲を森や山岳地帯に囲まれているため、魔物が襲来する確率が高いのだ。
 とはいえ、今回はこれまでの中で最大級の襲撃だった。
 ゴブリンキングが指揮を取っていたからだ。

 リンドウには鉱山戦力や治安維持隊がいる。
 いざとなればラーグに救援を要請することもできる。
 そのため、街全体が壊滅するなんてことはあり得ない。
 だが、俺やユナがいなければいくつかの家屋が倒壊するぐらいはあったかもしれないように思う。

「しかし、トミーとあの女性の関係は気になるな……。ひょっとして、トミーの女なのか……?」

 負傷した女性を前に、トミーはひどく狼狽していた。
 そして、治療後にはとても安堵していた。
 Cランクパーティ『緑の嵐』のメンバー同士として行動を共にすることは、別に男女の仲でなくともあり得る。
 だが、パーティ内でも2人だけでリンドウを訪れていたというのが怪しい。

「ふふ……。女はいいぞ。男だけであちこちを旅するのも楽しいだろうが……。守るべき者がいて、一つの拠点にどっしり構える。それはそれで楽しいものだ」

 俺は元無職だ。
 自宅警備員をしていたぐらいなので、一箇所に留まることは嫌いではない。
 しかし一方で、見知らぬ土地を旅する楽しさも知っている。
 どちらが上というわけでもなく、どちらも楽しんでいけばいい。

「トミーも守る者がいれば、ラーグやリンドウを拠点に頑張ってくれるだろう。『これ』の恩恵で、さらに強くなったわけだしな」

 俺は『レビテーション』で移動しながら、ステータス画面に視線を向けた。
 そこには、トミーのステータスが表示されている。


レベル?、トミー=ベイカー
種族:ヒューマン
身分:平民
役割:ハイブリッジ男爵家御用達冒険者
職業:武闘家
ランク:C

HP:??
MP:??
腕力:高め
脚力:??
体力:??
器用:低め
魔力:??

残りスキルポイント:???
スキル:
格闘術レベル4(3+1)
闘気術レベル3
風魔法レベル3(2+1)
??


「うむ……。Cランク冒険者の名に恥じないステータスだ」

 俺はトミーのステータスを見ながら満足する。
 やはり、冒険者が本業だけあってスキルが十分に育っている。
 加護(小)の時点では、基礎ステータスの具体的な数値までは見れない。
 だが、きっとなかなかのものだと推測できる。

「それにしても、意外なほど遅かったなぁ」

 俺とトミーの付き合いは、そこそこ長い。
 昨年の9月末頃に、ルクアージュで出会ったのが最初だったか。
 そこのゴタゴタが片付いた後、ラーグの街を本拠地にしないかと勧誘したところ、彼はそれに応じてくれた。
 あれからもう1年以上が経過している。

 彼は俺のことを『タカシの旦那』と呼んで慕ってくれている。
 俺も彼を御用達冒険者として扱い、重用している。
 にもかかわらず、今回でようやく加護(小)の付与ができたわけだ。

「やはり、女性よりも男性の方が上がりにくいか……。それに、トミーは実力者だしな」

 俺が男である以上、異性からの忠義度(好感度)の方が上がりやすいことは仕方ない。
 その上、元々の実力や社会的地位が高ければ、余計に上がりにくい傾向がある。
 冒険者アランも、トミーと似たような感じか。
 彼は俺のことを『我が神』とまで呼んでくれているが、加護(小)を付与できていない。

「ま、そのあたりはヤマト連邦の件が片付いてからにしよう。このタイミングで頑張って強化しても、連れてはいけないしな……」

 隠密小型船の乗員数には限りがある。
 俺たちミリオンズの11人で全員だ。
 詰めればあと数人ぐらいは乗船できるが……。
 ある程度は荷物も詰め込みたいからな。
 俺やレインの『アイテムルーム』だけに全ての必要物資を入れたら、はぐれたりした時に困ってしまう。
 ミリオンズだけでヤマト連邦に向かうのが無難だろう。

「そういや、『雪月花』には会えずじまいだな……。まぁ、クリスティ、ナオミ、フレンダ、アランあたりにも会っていないし、別にいいか……」

 ヤマト連邦の任務は、なかなかに難易度が高そうだ。
 しかし、死と隣り合わせというわけではないはずである。
 雪月花たちとは、また任務終了後に交友を深めればいいだろう。
 俺はリンドウからラーグに至る上空を飛びながら、そんなことを思った。
 そして俺は無事に自邸に帰還し、モニカやニムの待つオルフェスに転移したのだった。

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