【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
1145話 超時短勤務
俺は残念な記憶力を元に、トリスタに謎の追及をしてしまう。
だが、『今のはお前を試したのだ……』ということにして、咄嗟に誤魔化した。
トリスタや蓮華の視線が少し冷たい気もするが、たぶん誤魔化せたはずだ。
「ゴホン! ……ところで、巨大図書館で何をするつもりなんだ?」
「もちろん、本を読むのさ。たくさんの本に囲まれた、優雅な空間を目指そうと思ってる」
「なら、これらの魔道具は……」
「普通の人は、読書なんてあまりしないからね。最初はこういう体験の方が、入り込みやすいと思う」
「ふむ……」
なるほど。
言われてみれば、そうかもしれない。
俺も、日本にいるときは本をよく読んでいた。
しかし、最初から活字好きだったかと言えば、そこまでではなかった気がする。
アニメからマンガに。
マンガから挿絵の多いライトノベルに。
挿絵の多いライトノベルから一般文芸に。
そんな感じで、徐々に本慣れしていったような気がする。
「す、素晴らしい……!」
「え? どうしたの、ハイブリッジ男爵?」
「俺はトリスタの考えに感銘を受けたぞ! 本など読みたい者が読めばいい。そんな認識ではダメだな!」
「え、あ……うん。そうだね」
トリスタが戸惑っている。
しかし俺は勢いを緩めない。
さっきの横領疑惑への申し訳なさもあるし、別のとある狙いもある。
ここはしっかりと褒めておかなければ。
「トリスタにはボーナスを支給しよう! これからも、ハイブリッジ男爵領のために励んでくれ!!」
俺はその場で、彼に金貨10枚を渡す。
もっと渡してもいいが、地味に嵩張るからな。
これぐらいが無難だろう。
「うん、ありがとう。これで本がたくさん買えそうだ」
トリスタが少しばかり嬉しそうにする。
だが、少しだけだ。
まぁ、彼には普段からそれなりの給料を渡しているからなぁ……。
金貨10枚では、あまり忠義度が上がりそうにない。
「……あ、でもさ」
「なんだ?」
「文官の仕事が多くて、読書の時間が取れないんだよね。はぁ……」
トリスタがため息をつく。
彼は元より仕事嫌いで、ずっと本を読んで暮らしたいと言っていたな。
加護(小)によって諸々の能力が上がった今、仕事自体が辛いとは思っていないかもしれない。
しかし一方で、時間不足だけはどうにもならない。
「……分かった。一般民衆から文官見習いを募る。それとは別に、俺の方からも文官の幹部候補生を探しておこう。それらの者が一人前になった暁には……」
「暁には?」
「お前に超時短勤務の特別待遇を与える。……そうだな、1日4時間だけの労働で切り上げる権利を与えよう。もちろん給料は据え置きか、むしろ微増させてもいい」
「ええっ!? ほ、本当!?」
トリスタが驚く。
そんな彼に、俺は大きくうなずく。
やはり、彼への褒美はこういった方向性が良さそうだな。
通常の昇進では、勤務時間を変えずに役職や給料を上げることが多いだろう。
現代日本ではそれが普通だ。
しかし、給料は据え置きで勤務時間を短くするパターンも考えられなくはない。
優秀な人にはドンドン働いてほしい雇用者側からすると、あまりメリットはないが……。
トリスタのように余暇を大切にするタイプには、これ以上にない褒賞となる。
彼にはヒナという嫁さんもいるしな。
ある程度の給料は維持してあげるから、読書や家族との時間を大切にしてほしい。
「一般民衆の文官見習いに関しては、トリスタの裁量に任せる。優秀な者を見つけたら、幹部候補として引き上げてもいいぞ」
「あ、ありがとう! ……なんだか、やる気が出てきたよ」
「そうか。それは何よりだ」
トリスタが喜んでいるので、俺も嬉しい。
彼はずっと働きづめだからな。
ヒナにも尻に敷かれているっぽいし……。
リンドウ図書館が完成する頃には、その他の諸々も一段落して、ハイブリッジ男爵領の運営は落ち着き始めているだろう。
優秀なトリスタには1日4時間の勤務で本当に重要な事柄を任せ、残りはその他の文官に任せる。
それで問題ない。
ま、現時点では机上の空論だが……。
きっと何とかなる。
俺は、今しがた達成したばかりの『とある事象』を前に、そう考えるのだった。
だが、『今のはお前を試したのだ……』ということにして、咄嗟に誤魔化した。
トリスタや蓮華の視線が少し冷たい気もするが、たぶん誤魔化せたはずだ。
「ゴホン! ……ところで、巨大図書館で何をするつもりなんだ?」
「もちろん、本を読むのさ。たくさんの本に囲まれた、優雅な空間を目指そうと思ってる」
「なら、これらの魔道具は……」
「普通の人は、読書なんてあまりしないからね。最初はこういう体験の方が、入り込みやすいと思う」
「ふむ……」
なるほど。
言われてみれば、そうかもしれない。
俺も、日本にいるときは本をよく読んでいた。
しかし、最初から活字好きだったかと言えば、そこまでではなかった気がする。
アニメからマンガに。
マンガから挿絵の多いライトノベルに。
挿絵の多いライトノベルから一般文芸に。
そんな感じで、徐々に本慣れしていったような気がする。
「す、素晴らしい……!」
「え? どうしたの、ハイブリッジ男爵?」
「俺はトリスタの考えに感銘を受けたぞ! 本など読みたい者が読めばいい。そんな認識ではダメだな!」
「え、あ……うん。そうだね」
トリスタが戸惑っている。
しかし俺は勢いを緩めない。
さっきの横領疑惑への申し訳なさもあるし、別のとある狙いもある。
ここはしっかりと褒めておかなければ。
「トリスタにはボーナスを支給しよう! これからも、ハイブリッジ男爵領のために励んでくれ!!」
俺はその場で、彼に金貨10枚を渡す。
もっと渡してもいいが、地味に嵩張るからな。
これぐらいが無難だろう。
「うん、ありがとう。これで本がたくさん買えそうだ」
トリスタが少しばかり嬉しそうにする。
だが、少しだけだ。
まぁ、彼には普段からそれなりの給料を渡しているからなぁ……。
金貨10枚では、あまり忠義度が上がりそうにない。
「……あ、でもさ」
「なんだ?」
「文官の仕事が多くて、読書の時間が取れないんだよね。はぁ……」
トリスタがため息をつく。
彼は元より仕事嫌いで、ずっと本を読んで暮らしたいと言っていたな。
加護(小)によって諸々の能力が上がった今、仕事自体が辛いとは思っていないかもしれない。
しかし一方で、時間不足だけはどうにもならない。
「……分かった。一般民衆から文官見習いを募る。それとは別に、俺の方からも文官の幹部候補生を探しておこう。それらの者が一人前になった暁には……」
「暁には?」
「お前に超時短勤務の特別待遇を与える。……そうだな、1日4時間だけの労働で切り上げる権利を与えよう。もちろん給料は据え置きか、むしろ微増させてもいい」
「ええっ!? ほ、本当!?」
トリスタが驚く。
そんな彼に、俺は大きくうなずく。
やはり、彼への褒美はこういった方向性が良さそうだな。
通常の昇進では、勤務時間を変えずに役職や給料を上げることが多いだろう。
現代日本ではそれが普通だ。
しかし、給料は据え置きで勤務時間を短くするパターンも考えられなくはない。
優秀な人にはドンドン働いてほしい雇用者側からすると、あまりメリットはないが……。
トリスタのように余暇を大切にするタイプには、これ以上にない褒賞となる。
彼にはヒナという嫁さんもいるしな。
ある程度の給料は維持してあげるから、読書や家族との時間を大切にしてほしい。
「一般民衆の文官見習いに関しては、トリスタの裁量に任せる。優秀な者を見つけたら、幹部候補として引き上げてもいいぞ」
「あ、ありがとう! ……なんだか、やる気が出てきたよ」
「そうか。それは何よりだ」
トリスタが喜んでいるので、俺も嬉しい。
彼はずっと働きづめだからな。
ヒナにも尻に敷かれているっぽいし……。
リンドウ図書館が完成する頃には、その他の諸々も一段落して、ハイブリッジ男爵領の運営は落ち着き始めているだろう。
優秀なトリスタには1日4時間の勤務で本当に重要な事柄を任せ、残りはその他の文官に任せる。
それで問題ない。
ま、現時点では机上の空論だが……。
きっと何とかなる。
俺は、今しがた達成したばかりの『とある事象』を前に、そう考えるのだった。
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