【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
1142話 リンドウ図書館
俺はオリビアに加護(小)を付与した。
サリエも特に怒っていなかったし、とりあえずは安心だ。
俺は次の用事を片付けるべく、移動を開始する。
目的の人物は蓮華とユナだ。
「ふぅ、西の森にやってきたぞ」
俺は重力魔法『レビテーション』で西の森に到着した。
複数人なら『魔法の絨毯』で移動するところだが、今回は俺1人なので『レビテーション』だけで十分である。
「この森も、ずいぶんと開発が進んできたなぁ。ラーグとリンドウを結ぶ道も、だいぶ整備されてきたし……」
俺は木々の隙間から見える景色を見回しながら呟く。
かつては、うっそうと生い茂る深い森だった。
そんな場所に無理やり道を通し、この1年ほどで人の手が入った地域になってきた。
この調子なら、ヤマト連邦の件が終わる頃にはさらに開発が進んでいることだろう。
ただし一方で、無闇に自然破壊をしているわけでもない。
西の森は広大だ。
あくまでラーグとリンドウを結ぶ直線上のみを開発している。
ラーグとリンドウの位置関係は、ラーグが東、リンドウが西である。
それを結ぶ道は東西に走ることになる。
森の中で、北側と南側はほぼ手付かずのままだ。
さらに開発が進めば、王都側の地域にあたる北側の木々は伐採してもいいかもしれないが……。
南側は、そのままにしておいてもいいだろう。
森や魔物も資源の一種だ。
無闇に開発して、森に住む魔物の生息地を奪っては将来的に不利益が生じてくるかもしれない。
自然には逆らわず、共存していくべきだろう。
「さて、とりあえずは道に沿ってリンドウに向かうか。道中で蓮華やユナを見つけられるといいのだが……」
繰り返すが、西の森は広大だ。
俺には『気配察知』のスキルがあるとはいえ、あまり遠方の気配までは分からない。
森の深いところで狩りでもしているのなら、簡単には見つけられないだろう。
だが、ミリオンズのフルメンバーが揃っていない今、森深くまで入り込むのはリスクがある。
蓮華やユナも、そのような不用意な行動はしないだろう。
狩りをするにしても、道から大きくは外れないはずだ。
「――とか考えている間に、もうリンドウに着きそうだな。やはり『レビテーション』の移動は便利だ。……ん? あれは……!?」
リンドウの街の近くに、とても大きな建物が見える。
まだ建造中のようだ。
「なんだ? あんなもの、建設予定になかったと思うが……?」
俺は『レビテーション』を解除し、地面に降り立つ。
そしてその建物に歩いて近づき、眺める。
巨大な倉庫だろうか?
あるいは、ホテルか?
リンドウは温泉があるし、自然豊かな西の森にも近い。
観光地として栄えることも可能だろうが……。
それにしても、領主である俺への報告もなく建設が始まっているというのは、妙だ。
「ちょっと、そこの人! 危ないぞ!!」
巨大な建物の観察をしていると、近くで作業していた男が声をかけてくる。
領主である俺を『そこの人』扱いとは、なかなかの肝の据わり方だ。
いや、単純に俺の顔を知らないだけか。
リンドウはまだまだ発展途上の街だし、人の入れ替わりも多い。
俺は、男に向き直る。
「失礼。この巨大な建物は……?」
「ああ、これは『リンドウ図書館』だよ」
「…………なに?」
俺は驚く。
図書館?
そんな予定は、なかったような気がするが……。
あったっけ……?
俺の完璧な記憶力によると、そんな話はなかったはずだ。
「誰の指示で建設を?」
「もちろん、領主様だよ。ここまで大掛かりな建物なんだ。聞かなくても分かるだろ?」
「……そうだな」
本来、建物の建造に領主が口を出したりはしない。
この巨大な建造物が一住民の意向によって進められている可能性も、ゼロではない。
しかし、そう言っても予算というものがある。
人件費や材料費を考えれば、大掛かりな工事には領主が関わっていると考えるのが自然だ。
まぁ、領主である俺はこの件を知らないのだが……。
「質問を変えよう。ここの建設は、誰が取り仕切っている?」
「ああ、それはもちろん……」
男は俺の質問を聞いて、少し考え込み始めた。
それからしばらくして……。
「……あれ? 誰だっけ?」
首をかしげる男。
そんな男に、俺は思わずズッコケそうになる。
「忘れたのか? それとも言えないような者なのか?」
「いや、そういうわけじゃねぇんだが……。ええと、なんか覇気がなくて本ばっかり読んでいる人だよ。この図書館の構造にも、相当な口出しをしているんだ。なんだったかな……。『本に囲まれて過ごす、夢のような空間を建造したい』とかなんとか言っていたような……」
「ほう?」
本好きか。
まぁ気持ちは分からないでもない。
俺も、本は好きな方だ。
日本にいたときは、よく読んでいた。
「ああ、そうそう。名前は忘れたが、いる場所は思い出したぜ。ほら、あそこの仮設事務所だ」
男が指さす方向を見ると、仮設住宅のような建物があった。
それなりに大きいが、建造中の『リンドウ図書館』とは比べるべくもない。
「そうか。教えてくれてありがとう」
俺は男に礼を言う。
そして、俺に無断で巨大図書館の建造を始めた犯人を問い詰めるべく、その仮設事務所に向かうことにしたのだった。
サリエも特に怒っていなかったし、とりあえずは安心だ。
俺は次の用事を片付けるべく、移動を開始する。
目的の人物は蓮華とユナだ。
「ふぅ、西の森にやってきたぞ」
俺は重力魔法『レビテーション』で西の森に到着した。
複数人なら『魔法の絨毯』で移動するところだが、今回は俺1人なので『レビテーション』だけで十分である。
「この森も、ずいぶんと開発が進んできたなぁ。ラーグとリンドウを結ぶ道も、だいぶ整備されてきたし……」
俺は木々の隙間から見える景色を見回しながら呟く。
かつては、うっそうと生い茂る深い森だった。
そんな場所に無理やり道を通し、この1年ほどで人の手が入った地域になってきた。
この調子なら、ヤマト連邦の件が終わる頃にはさらに開発が進んでいることだろう。
ただし一方で、無闇に自然破壊をしているわけでもない。
西の森は広大だ。
あくまでラーグとリンドウを結ぶ直線上のみを開発している。
ラーグとリンドウの位置関係は、ラーグが東、リンドウが西である。
それを結ぶ道は東西に走ることになる。
森の中で、北側と南側はほぼ手付かずのままだ。
さらに開発が進めば、王都側の地域にあたる北側の木々は伐採してもいいかもしれないが……。
南側は、そのままにしておいてもいいだろう。
森や魔物も資源の一種だ。
無闇に開発して、森に住む魔物の生息地を奪っては将来的に不利益が生じてくるかもしれない。
自然には逆らわず、共存していくべきだろう。
「さて、とりあえずは道に沿ってリンドウに向かうか。道中で蓮華やユナを見つけられるといいのだが……」
繰り返すが、西の森は広大だ。
俺には『気配察知』のスキルがあるとはいえ、あまり遠方の気配までは分からない。
森の深いところで狩りでもしているのなら、簡単には見つけられないだろう。
だが、ミリオンズのフルメンバーが揃っていない今、森深くまで入り込むのはリスクがある。
蓮華やユナも、そのような不用意な行動はしないだろう。
狩りをするにしても、道から大きくは外れないはずだ。
「――とか考えている間に、もうリンドウに着きそうだな。やはり『レビテーション』の移動は便利だ。……ん? あれは……!?」
リンドウの街の近くに、とても大きな建物が見える。
まだ建造中のようだ。
「なんだ? あんなもの、建設予定になかったと思うが……?」
俺は『レビテーション』を解除し、地面に降り立つ。
そしてその建物に歩いて近づき、眺める。
巨大な倉庫だろうか?
あるいは、ホテルか?
リンドウは温泉があるし、自然豊かな西の森にも近い。
観光地として栄えることも可能だろうが……。
それにしても、領主である俺への報告もなく建設が始まっているというのは、妙だ。
「ちょっと、そこの人! 危ないぞ!!」
巨大な建物の観察をしていると、近くで作業していた男が声をかけてくる。
領主である俺を『そこの人』扱いとは、なかなかの肝の据わり方だ。
いや、単純に俺の顔を知らないだけか。
リンドウはまだまだ発展途上の街だし、人の入れ替わりも多い。
俺は、男に向き直る。
「失礼。この巨大な建物は……?」
「ああ、これは『リンドウ図書館』だよ」
「…………なに?」
俺は驚く。
図書館?
そんな予定は、なかったような気がするが……。
あったっけ……?
俺の完璧な記憶力によると、そんな話はなかったはずだ。
「誰の指示で建設を?」
「もちろん、領主様だよ。ここまで大掛かりな建物なんだ。聞かなくても分かるだろ?」
「……そうだな」
本来、建物の建造に領主が口を出したりはしない。
この巨大な建造物が一住民の意向によって進められている可能性も、ゼロではない。
しかし、そう言っても予算というものがある。
人件費や材料費を考えれば、大掛かりな工事には領主が関わっていると考えるのが自然だ。
まぁ、領主である俺はこの件を知らないのだが……。
「質問を変えよう。ここの建設は、誰が取り仕切っている?」
「ああ、それはもちろん……」
男は俺の質問を聞いて、少し考え込み始めた。
それからしばらくして……。
「……あれ? 誰だっけ?」
首をかしげる男。
そんな男に、俺は思わずズッコケそうになる。
「忘れたのか? それとも言えないような者なのか?」
「いや、そういうわけじゃねぇんだが……。ええと、なんか覇気がなくて本ばっかり読んでいる人だよ。この図書館の構造にも、相当な口出しをしているんだ。なんだったかな……。『本に囲まれて過ごす、夢のような空間を建造したい』とかなんとか言っていたような……」
「ほう?」
本好きか。
まぁ気持ちは分からないでもない。
俺も、本は好きな方だ。
日本にいたときは、よく読んでいた。
「ああ、そうそう。名前は忘れたが、いる場所は思い出したぜ。ほら、あそこの仮設事務所だ」
男が指さす方向を見ると、仮設住宅のような建物があった。
それなりに大きいが、建造中の『リンドウ図書館』とは比べるべくもない。
「そうか。教えてくれてありがとう」
俺は男に礼を言う。
そして、俺に無断で巨大図書館の建造を始めた犯人を問い詰めるべく、その仮設事務所に向かうことにしたのだった。
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