【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1127話 俺が一度でも

 俺は魔導技師ムウの治療に取り組んでいる。
 ここは秘密造船所の医療室。
 この場にいるのは、俺とムウの他、モニカ、ニム、メルルである。

「次は、俺の魔力をムウの心臓に直接注ぎ込むことにする」

「えっ!? そ、それって大丈夫なの?」

 俺の説明を聞いて、モニカは驚きを露わにした。
 メルルはきょとんとしている。
 彼女には馴染みのない方法なのだろう。

「慌てるな。何も、MP量に物を言わせた荒療治をするわけじゃない。見たところ、ムウの心臓付近の魔力回路が異常になっているようだ。そこに微細な魔力を送り込めば、正常化させられる可能性がある」

「な、なるほど……」

「だが、これは繊細な作業となる。そこで、より詳細に魔力回路の様子を把握できるよう、物理的な障害を取り除いておきたい」

「物理的な障害?」

「ああ。具体的には、服を脱いでもらう」

「「「えぇ~~~っ!?」」」

 モニカ、ニム、メルルの3人が同時に叫んだ。
 かなり驚いている様子だ。

「ちょっ! そんなことをしたら、ムウちゃんが恥ずかしい思いをしちゃうじゃん!」

「そ、そうです! ムウさんは女の子なんですよ!?」

「は、破廉恥な行為を強要するのは止めてください!」

「まぁ、待て」

 俺は興奮気味の3人をなだめた。
 そして、説明を続ける。

「勘違いしないでほしいのだが、別にムウの裸が見たくて脱がせると言っているわけではない。完全に脱がせるのではなく、魔力回路に異常がある箇所の衣服だけをずらすだけでいいんだ。まずは、胸部だけだな」

「……本当に、そうなの? やらしい気持ちは……ないの?」

「あぁ。本当だ」

「兄さん、信じていいのですか?」

「もちろん。俺が一度でも、女性に対して鼻の下を伸ばしたことあったか?」

 疑惑の視線を向けてくるモニカとニムに、俺は真顔でそう言った。
 俺と付き合いの長い彼女たちであれば、きっと俺を信じてくれるはずだ。

「ダーリンは、いつも鼻の下を伸ばしていると思うけど……」

「デレデレしっ放しですよね。わたしたちというものがありながら……」

 モニカとニムはジト目で俺を見つめてきた。
 俺の信用度は、想定以上に低かったらしい。
 ならば、最後の砦はメルルだ。

「……確かに、ハイブリッジ様は重度の女好きでいらっしゃるようです。いつも胸やお尻を見ていますし……。初対面のときなんか、私は裸にされて辱められました」

「えっ!? だ、ダーリン、まさか……」

「見損ないましたよ、兄さん」

「ち、違うって! 前に説明しただろう!? ダダダ団の件で、不幸な事故があっただけだ!!」

 メルルの発言により、モニカとニムの疑いは晴れるどころかさらに深まってしまった。
 このままでは、俺の社会的地位が危うい。
 いや、この際それはどうでもいい。
 だが、ムウの治療に差し障りが出るのはマズイ。

「おほん……。まぁ、俺を疑うのは仕方ないとしよう。しかし、今はムウの治療を最優先したいんだ。頼む。ここは俺に任せてくれ」

 俺は真摯に頭を下げる。
 決して、ムウの胸を見たくて言っているわけではない。
 彼女を無事に治療したい。
 その一心なのだ。

「分かったよ……。でも、ダーリンが変なことしようとしたら、すぐに止めるからね」

「はい、兄さん。わたしも協力します」

「ありがとう。助かる」

 モニカとニムが俺のフォローに入ってくれた。
 これで何とかなりそうだ。

「……」

 しかし、肝心のメルルは何も言わなかった。
 無表情で、じっとこちらを見ている。

「ど、どうかしたか?」

「いえ……ハイブリッジ様がそこまで仰るのなら……。でも、ちょっと気になることがあるのですけど……」

「何だ? 言ってみてくれ」

「どうして私たちにここまでしてくれるのかなって……。今回のムウさんへの治療以外にも、普段から疲労回復の治療魔法とか、差し入れとかをたくさんしてくださっているのに……」

 メルルはそんな疑問を口にした。
 彼女の言う通り、俺がメルルたちに親切にしてきたのは事実だ。

「……あまり詳しくは話せないが、あの船はとても重要な作戦の遂行に必要なものでね。君たちがいなかったら、作戦に支障が出る」

「でも……。それだけでしょうか?」

「そうだな……。後は、メルルやムウがとても魅力的な美少女だから……かな?」

「ふぇっ!?」

 メルルは顔を真っ赤にして、うつむいてしまった。
 褒められると弱いタイプなのかな。

「わ、私なんて、そんな……。薄汚い貧乏人なのに……」

「いやいや、そんなことないぞ。俺は自分の理性を保とうと必死なんだからな」

「ほ、本当ですか?」

「ああ。俺だって男だしな。可愛い女の子が近くにいたら、つい手を出したくなる」

 俺は好意をストレートに伝える。
 こういうのは、正直が一番だろう。
 これでメルルからの好感度が上がること間違いなし!

「じゃ、じゃあ……。やっぱり今からの治療は、ムウさんの胸を見るために……」

「いやいやいや!! それは誤解だ!!!」

「……冗談です」

 メルルはいたずらっぽく笑った。
 なかなかお茶目な性格をしているようだ。

「――さて、おしゃべりはこの辺にしておこう。ムウの治療に取り掛かるとするか」

 俺は改めてムウに向き直る。
 そして、胸元の衣服へと手を伸ばしたのだった。

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