【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1120話 人生で最も酷い裏切り

 俺の変態疑惑を証明したいエレナ。
 彼女は、生き埋め状態の俺にタオルをかけた上で、何やらストリップを始めてしまった。
 俺から見えないところで彼女のおっぱいが露出されている……。
 その事実が、たまらなく悔しい。

「ふふっ。どう? 私の胸はきれいだから、みんなに注目されちゃっているわね~。タケシにだけは見せないけど」

 エレナは勝ち誇っている。
 俺は彼女に何も言い返せない。

「エレナちゃんー……。趣味が悪いよー」

「どうしちゃったんすか? 最近のエレナっち、変っすよ?」

 ルリイとテナがエレナを注意する。
 2人は俺の味方をしてくれるようだ。

(ルリイとテナ……。俺にとっての女神だ!)

 2人のおかげで、少し冷静になれた気がする。
 ここでエレナに言い返したところで、俺が不利になるだけだ。
 ここは耐え忍ぶべき場面である。

「タケシ、今の気分はどう?」

「……」

 俺は無言を貫く。
 エレナの質問なんて無視だ。

「ふーん、黙り込むんだ。残念ねぇ……。あんたが自白するなら、見せてあげようかなと思ったのに」

「!!??」

 な、なんだって……!!
 エレナの言葉を聞き、俺は大きく動揺する。

(こいつ……! 正気か!?)

 まさに悪魔の囁きだ!
 俺が変態だと認めれば、彼女の胸を拝めるというのか……!

(俺の心が揺らいでいる……。ダメだ……。エレナの誘惑に負けてはいけない……!)

 俺は歯を食いしばり、エレナの誘惑に耐える。
 股間も熱を帯び始めてはいるが、まだ大丈夫だ。
 エレナのストリップ気配を感じて興奮し始めているが、なんとか我慢できる。

「あら、頑張るわねぇ」

「当たり前です。俺には愛する妻もいますし、エレナさんなんかには屈しませんよ」

「本当にいいの? ただ自白するだけでいいのよ? 『私は変態のカスです。エレナ様の胸を盗み見して興奮していました』ってね。そうすれば、あんたの望み通りの展開になるのに……」

「なっ……!」

 エレナが追い打ちをかけるように言う。
 なんとも屈辱的なセリフだ。
 しかし、所詮はただのセリフだとも言える。
 言うだけで素晴らしいおっぱいが見られるのなら、一考の余地がある気がしてきた。
 こんなことを言われ、俺は一体どうすればいいのか……。

「ふふっ。ほら、早く白状しちゃいなさいよ。そうしたら楽になれるわよ?」

「……」

 俺は誇り高きタカシ=ハイブリッジ男爵だ。
 そして、『紅剣』の二つ名を持つBランク冒険者でもある。
 決して、このような低俗な誘惑に負けてはならない。
 絶対におっぱいなんかに、負けたりしない!!

「はぁ……。強情ねぇ。じゃあ、下も脱ごうかしら……。今日は暑いものねぇ……」

「!?!?」

 エレナが呟いた直後、しゅるりという衣擦れ音が聞こえた。
 今まさに、彼女が水着の下を脱いだのかもしれない。

(くっ! 下半身まで露わにされたら、さすがに耐えられなくなるぞ……!!)

 俺は戦慄する。
 このままだと、俺はエレナに敗北してしまう。
 そうなったら、もう取り返しがつかなくなってしまう。
 それだけは何としても避けなければ……!

「どう? これが最後のチャンスよ。早く自白しなさい」

「…………くっ」

「残り5秒以内に答えないと、全ての水着を着直すわ。5……4……3……2……」

「『私は変態のカスです。エレナ様の胸を盗み見して興奮していました』」

「はい、自白ゲット~」

 俺の敗北が決まった。
 おっぱいには勝てなかったよ……。
 悔しい反面、俺のマグナムは期待感でさらに膨らみ始めている。

「ふふんっ。やっと認めたわね。最初から素直になればよかったのよ。さーて、それではご対面~」

 エレナが嬉々として声を上げる。
 それと同時に、俺の顔にかけられていたタオルが剥ぎ取られた。
 俺の視界にエレナの胸元が入る。

「なっ……!? 水着を着ている……だと……!?」

「当然でしょう? 私が人前で脱ぐはずないわ。あんたの変態を証明するために、脱ぐフリをしただけ。まんまと自白したわね!」

 エレナが嘲笑を浮かべた。
 俺はエレナのストリップを楽しみにしていたのに……。
 そんな……!
 俺は失意のどん底に突き落とされた。
 人生で最も酷い裏切りにあった気分である。

「くっ……! こ、こんな自白は無効です! 対価のために仕方なく言っただけですから!!」

「自白は自白よ! そもそも、あんな下らない対価につられて自白する時点で、変態なのは確定的に明らかでしょう!!」

「くっ……。そ、それは……」

 エレナの正論を前に、俺は口籠もってしまう。
 確かに、俺が自白した動機は、エレナのおっぱいを見たいがため……。
 変態の疑いをかけられても仕方のないことだ。
 しかし、言い負かされてばかりではいられない。

「男なら、当然のことですよ! 美少女の胸を合法的に見たいと思うのは!! さっきの自白は、俺が変態であることの証明にはなりません!!」

「ちっ……! 往生際の悪いカスね……!!」

 俺は大の字で砂に埋められた状態のまま、エレナとにらみ合う。
 ここまで持ち込めば、話は平行線となるだろう。
 舌戦は引き分け……ってところか。
 後は、この股間の猛りを気付かれないまま鎮めることができれば……。

「あんた、何をモゾモゾしているのよ?」

「いえ……。ずっと埋められていたので、砂が少しかゆくなってきただけです」

 エレナが俺を睨む中、俺は平静を取り繕う。
 頼む……。
 気付いてくれるな……!
 一刻も早く股間の怒張を鎮めるため、俺は精神を集中させるのだった。

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