【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

1113話 砂浜で生き埋めにされる

 オルフェスの浜辺にて、ビーチバレーボール大会が開かれようとしている。
 チーム分けは『エレナ&ルリイ&テナ』vs『サーニャ&モニカ&ニム』。
 Cランクパーティ『三日月の舞』の連携力が勝つのか、あるいはサーニャちゃんのやる気が勝るか。
 全員が水着姿だし、いろいろな意味で見どころのある試合になる。
 ……と思ったのだが、彼女たちはなぜか俺を拘束するために動き出した。

「で、そっちのチビっ子。作戦ってのは、どういうものなのよ?」

「なっ……! ち、チビっ子!? だ、誰がですか!?」

 エレナの言葉を受け、ニムが憤慨する。
 確かに、ニムはやや小柄な方だが……。

「ふふふー。ごめんね、妹ちゃん。エレナちゃんはこれが平常運転だからー……。それで、どんな作戦を考えたのー?」

「えっとですね……。兄さんには申し訳ない作戦なのですけど……」

「いや、いいんだ。気にしないでくれ」

 俺は笑顔で答えた。
 愛する妻が俺を拘束するための作戦を考えている。
 普通に考えれば、少しばかり悲しい場面だ。

 しかし、考え方を変えてみよう。
 拘束されちゃってもいいさと考えるんだ。
 夜のプレイでも、ニムはそっち方面の趣味があるしな。
 むしろラッキーぐらいの気持ちでいるべきだ。
 そんな俺の態度を見て、ニムはホッとしたような表情を浮かべた。

「で、では……この砂浜に寝転んでください!」

「分かった。……こんな感じでいいかな?」

「はい。そのまま動かないでくださいね……!」

 俺は言われるままに砂浜に仰向けで横たわる。
 そして――ドサドサッ!
 俺の上に、大量の砂がかけらされた。

「なるほどっす! 砂の力を利用するということっすか!!」

「そ、その通りです。いくら兄さんの力が強くても、砂をかけられたら身動きが取れなくなるはずです!!」

「偉大なる大地のパワーを利用するその発想……! 土魔法使いの端くれとして、感服するっす!!」

「えへへ。それほどでもないですよぉ~」

 2人で盛り上がるテナとニム。
 同じ土魔法使いとして、通じるものがあったのだろうか。
 一方の俺は、やや困惑している。

「おいおい、ガチの拘束じゃないか。いくらなんでもこれはマズイだろう」

「ふんっ! あんたが変態だからでしょうが! 観念しなさい!!」

 エレナは鼻息荒く言い放つ。
 ニムとテナと共に、彼女も俺に対して砂をかけ始める。

「まぁまぁ。勝負の間だけだからさ。諦めなよ」

 モニカが穏やかな口調で言う。
 彼女も砂かけ作業に参戦した。
 砂浜で大の字になった俺の上に、4人がかりで砂がドンドン盛られていく。

(まだ動けるが……これ以上盛られたら、簡単には動けなくなるな……)

 魔力や闘気を全開にしていいのであれば、多少の砂ごときで動けなくなる俺ではない。
 だが、今の俺は『Dランク冒険者タケシ』である。
 Dランクでも不自然ではない程度に力を抑えるなら、そろそろ動けなくなってくる砂の量だ。

「本当に後で解放してくれるんだよな? 約束してくれよ?」

「ふんっ! それはどうかしらね! 変態のカスは、このままここで埋まっていればいいんじゃない?」

「はぁっ!?」

 エレナの物言いに、思わず声を上げる俺。
 今ならまだ、『Dランク冒険者タケシ』としての力でも砂から脱出が可能だ。
 変な展開になる前に、ここらで一度抜け出させてもらうか……。
 俺がそんなことを考え、左右の腕を動かした瞬間だった。

「にゃにゃっ!?」

「ひゃんっ!?」

 むにゅっ!!
 動かした左右の手が、何かにぶつかった。
 それは、とても柔らかいもので……。

「こ、これは一体……? まるでマシュマロのような感触だが……」

 むにゅっ!
 むにゅむにゅっ!!
 俺は砂に埋まっているため、顔や視線も動かしづらくなっている。
 自分の手が何に触れているのか、分からなかった。

「んにゃああああっ!!」

「ちょ……ちょっとー……! どこを揉んでいるのー……!」

 左右から悲鳴が上がり、同時にペシッと頭を叩かれた。
 それは、サーニャちゃんとルリイからの突然の暴力だった。

(そ、そんなバカな……。エレナはともかく、俺に対して好意的に接してくれていたこの2人まで……?)

 予想外の事態に混乱する俺。
 2人から暴力を受けたことに、抗議の声を上げよう。

「あの……さっちゃんさんとルリイさん? なぜ俺の頭を――」

「にゃーっ! お客様は、黙って埋まっているといいのですにゃ!!」

「ふふふー。そうだねー。さすがに、ちょっと反省してほしいかもー」

「あ、はい……」

 サーニャちゃんとルリイに叱られる。
 何が何だか分からない。
 だが、この2人が怒っているのだから、相当なことを俺はしてしまったようだ。

(大人しく生き埋めになっておくか……)

 俺はそう思い、口をつぐむ。
 そして程なくして、俺は頭部を除いて完全に砂の中に埋められてしまったのだった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品