【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
1101話 鉄血のゴードン
秘密造船所にて、自己紹介を終えた俺たち。
次は、総責任者ゴードンに先導されて造船作業が行われている現場へと向かった。
秘密造船所の奥には、いくつもの部屋があった。
その中の最も大きな部屋に通された俺は、そこで作業をしている男たちの姿を目にする。
男たちは作業に集中しており、こちらに気付いていない様子だ。
「これは……思っていたよりも進んでいるな」
「はい。元より、魔導回路部だけが遅れていましたから。魔導技師を確保した今、そこを集中的に進めています。もちろん、他の場所も手は抜いておりませんよ。最終仕上げに向けて万全の態勢です」
「いや、その点は疑っていないさ」
俺はゴードンの説明に対して首を振る。
秘密造船所は、機密性の高い施設だ。
そのため、どうしても作業に割ける人数に限りがある。
納期を考えれば、多くの作業員を雇って大々的に進めるべきなのだろうが……。
今回は、潜入作戦に向けて秘密を漏らさないよう、少人数での対応となっていたようだ。
「うーん……。しかし、わかってはいたことだが……」
「どうされましたか?」
「少人数に急ぎ対応してもらうのはありがたい。しかし、ここまで無理をさせると少し申し訳ない気持ちになる」
作業員たちは、それぞれ疲れている様子だ。
効率や健康に重大な悪影響を与えるほどではないと思うが……。
元無職で労働嫌いの俺としては、見ていられない。
「ははは……。それは、ハイブリッジ卿の気にすることではありませんよ。元々、我々の仕事の進め方やタイミングが悪かっただけですので……。まさかダダダ団なんていう地元マフィアが邪魔してくるとは思いませんでしたから」
「ふむ……。そう言ってもらえると助かるが……」
「それに、この造船所で働いている者たちは、ほとんどが陛下直属の特務隊所属なので……。彼らのことを考えると、急ぐのが一番なんですよ」
「あぁ、そういうことか」
ゴードンの言葉に納得した俺は相槌を打つ。
特務隊というのは、その名の通り極秘任務を遂行する組織だ。
今回のような隠密活動も、彼らにとっては日常茶飯事なのだろう。
入口付近で警戒している警備兵たちは、戦闘寄り。
ここで作業している作業員たちは、技術寄りの人員というわけだ。
急いで作業を進めて完成を早めることができれば、陛下からの評価が高まったりすることもあるのだろう。
「それで、こちらの進捗はいかがですか? もし、問題があるようでしたら、すぐに改善させますが」
「問題はない。と言うより、見てもわからん。俺は造船に関しては素人だからな」
「ははは……。ご謙遜を。ハイブリッジ卿と言えば、武功だけではなく内政手腕にも長けていると聞き及んでおります。平民からの登用、農地改革、鉱山開発などなど……」
ゴードンは感慨深げに話す。
彼が言っているのは、全て俺の功績とされているものだ。
確かに、俺はハイブリッジ領の内政に関わっている。
だが、その多くは配下にほぼ丸投げだ。
俺がしていることと言えば、魔法や人手が必要な案件に手を貸したり、前世のちょっとした聞きかじりの知識を元にアドバイスをする程度。
決して、俺自身が功績を上げたわけではない。
「いやいや……。ほとんど部下にやらせただけだ。実際に動いたのは、信頼できる配下の者だよ」
「その配下の方々を見出し、信頼関係を築いたのが素晴らしいのです。そんな貴方様であれば、造船についての知識もお持ちでしょう。我々に何か助言はありませんか?」
「ははっ。そう言われてもな……。俺から言えることは、本当にないんだ。総責任者のゴードンの方が、圧倒的に詳しいだろう? ――あ、いや、お前は戦闘寄りの人員か?」
秘密造船所にいる特務隊員たちは、大きく2つに分けられる。
入口付近で警戒している警備兵。
それと、造船作業を行っている作業員たちだ。
ゴードンは総責任者だが、筋骨隆々で見るからに強そうである。
そして、実際にそこそこ強かった。
戦闘力を買われて総責任者になったのかと思ったのだが――
「いえ……。私は両方ですね」
「両方だと?」
「ええ。私の二つ名はお伝えしましたよね? 『鉄血』というんですが……」
「聞いた覚えはあるが……。それがどうし――ああ、なるほどな」
遅れて理解した。
鉄血――ただの格好いい二つ名だと思っていたが、ちゃんと本来の意味にある程度は即していたらしい。
鉄は兵器、血は兵士を意味する。
「つまり、兵器や船に精通しているだけでなく……兵士の指揮能力や一兵士としても優秀だということか?」
本来の『鉄血』の意味とは少しばかりズレている気もする。
が、細かいことはいいだろう。
こういうのはイメージが大切だ。
「はい、その通りでございます。純粋な戦闘能力では特務隊でも上はいるのですが……。今回の任務には、造船に関する知識も併せ持つ私が適任ということで、総責任者を務めさせていただいております」
「ふむ……。やはりお前は優秀だったのだな」
ネルエラ陛下直属の特務隊で、今回の隠密小型船を造るための造船所の総責任者。
二つ名『鉄血』を持つぐらいだし、特務隊の中でも序列は上の方なのだろう。
王都騎士団で言えば、どれくらいの地位なのだろう?
俺はそんなことを考えるのだった。
こうして、俺たちの秘密造船所の見学は続いていく――。
次は、総責任者ゴードンに先導されて造船作業が行われている現場へと向かった。
秘密造船所の奥には、いくつもの部屋があった。
その中の最も大きな部屋に通された俺は、そこで作業をしている男たちの姿を目にする。
男たちは作業に集中しており、こちらに気付いていない様子だ。
「これは……思っていたよりも進んでいるな」
「はい。元より、魔導回路部だけが遅れていましたから。魔導技師を確保した今、そこを集中的に進めています。もちろん、他の場所も手は抜いておりませんよ。最終仕上げに向けて万全の態勢です」
「いや、その点は疑っていないさ」
俺はゴードンの説明に対して首を振る。
秘密造船所は、機密性の高い施設だ。
そのため、どうしても作業に割ける人数に限りがある。
納期を考えれば、多くの作業員を雇って大々的に進めるべきなのだろうが……。
今回は、潜入作戦に向けて秘密を漏らさないよう、少人数での対応となっていたようだ。
「うーん……。しかし、わかってはいたことだが……」
「どうされましたか?」
「少人数に急ぎ対応してもらうのはありがたい。しかし、ここまで無理をさせると少し申し訳ない気持ちになる」
作業員たちは、それぞれ疲れている様子だ。
効率や健康に重大な悪影響を与えるほどではないと思うが……。
元無職で労働嫌いの俺としては、見ていられない。
「ははは……。それは、ハイブリッジ卿の気にすることではありませんよ。元々、我々の仕事の進め方やタイミングが悪かっただけですので……。まさかダダダ団なんていう地元マフィアが邪魔してくるとは思いませんでしたから」
「ふむ……。そう言ってもらえると助かるが……」
「それに、この造船所で働いている者たちは、ほとんどが陛下直属の特務隊所属なので……。彼らのことを考えると、急ぐのが一番なんですよ」
「あぁ、そういうことか」
ゴードンの言葉に納得した俺は相槌を打つ。
特務隊というのは、その名の通り極秘任務を遂行する組織だ。
今回のような隠密活動も、彼らにとっては日常茶飯事なのだろう。
入口付近で警戒している警備兵たちは、戦闘寄り。
ここで作業している作業員たちは、技術寄りの人員というわけだ。
急いで作業を進めて完成を早めることができれば、陛下からの評価が高まったりすることもあるのだろう。
「それで、こちらの進捗はいかがですか? もし、問題があるようでしたら、すぐに改善させますが」
「問題はない。と言うより、見てもわからん。俺は造船に関しては素人だからな」
「ははは……。ご謙遜を。ハイブリッジ卿と言えば、武功だけではなく内政手腕にも長けていると聞き及んでおります。平民からの登用、農地改革、鉱山開発などなど……」
ゴードンは感慨深げに話す。
彼が言っているのは、全て俺の功績とされているものだ。
確かに、俺はハイブリッジ領の内政に関わっている。
だが、その多くは配下にほぼ丸投げだ。
俺がしていることと言えば、魔法や人手が必要な案件に手を貸したり、前世のちょっとした聞きかじりの知識を元にアドバイスをする程度。
決して、俺自身が功績を上げたわけではない。
「いやいや……。ほとんど部下にやらせただけだ。実際に動いたのは、信頼できる配下の者だよ」
「その配下の方々を見出し、信頼関係を築いたのが素晴らしいのです。そんな貴方様であれば、造船についての知識もお持ちでしょう。我々に何か助言はありませんか?」
「ははっ。そう言われてもな……。俺から言えることは、本当にないんだ。総責任者のゴードンの方が、圧倒的に詳しいだろう? ――あ、いや、お前は戦闘寄りの人員か?」
秘密造船所にいる特務隊員たちは、大きく2つに分けられる。
入口付近で警戒している警備兵。
それと、造船作業を行っている作業員たちだ。
ゴードンは総責任者だが、筋骨隆々で見るからに強そうである。
そして、実際にそこそこ強かった。
戦闘力を買われて総責任者になったのかと思ったのだが――
「いえ……。私は両方ですね」
「両方だと?」
「ええ。私の二つ名はお伝えしましたよね? 『鉄血』というんですが……」
「聞いた覚えはあるが……。それがどうし――ああ、なるほどな」
遅れて理解した。
鉄血――ただの格好いい二つ名だと思っていたが、ちゃんと本来の意味にある程度は即していたらしい。
鉄は兵器、血は兵士を意味する。
「つまり、兵器や船に精通しているだけでなく……兵士の指揮能力や一兵士としても優秀だということか?」
本来の『鉄血』の意味とは少しばかりズレている気もする。
が、細かいことはいいだろう。
こういうのはイメージが大切だ。
「はい、その通りでございます。純粋な戦闘能力では特務隊でも上はいるのですが……。今回の任務には、造船に関する知識も併せ持つ私が適任ということで、総責任者を務めさせていただいております」
「ふむ……。やはりお前は優秀だったのだな」
ネルエラ陛下直属の特務隊で、今回の隠密小型船を造るための造船所の総責任者。
二つ名『鉄血』を持つぐらいだし、特務隊の中でも序列は上の方なのだろう。
王都騎士団で言えば、どれくらいの地位なのだろう?
俺はそんなことを考えるのだった。
こうして、俺たちの秘密造船所の見学は続いていく――。
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