【コミカライズ】無職だけど転移先の異世界で加護付与スキルを駆使して30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう ~目指せ! 俺だけの最強ハーレムパーティ~
1093話 慌ただしい冒険者ギルド
俺はモニカやニムと共に、オルフェスの冒険者ギルドにやって来た。
ダダダ団の頭領であるリオンを引き渡すためだ。
彼は俺の影魔法『影棺』に収納している。
別に彼を衛兵に引き渡しても良かったのだが、冒険者ギルドの方がスムーズに事が運びそうだと判断した。
(貴族としての『タカシ=ハイブリッジ男爵』とこの街の間に、あまり接点はないからな……。『身分さえ明かせば即座に信用される』とまではいかないだろう……)
俺が深い交流を持っている貴族家は限られている。
リーゼロッテの実家であるラスターレイン伯爵家。
サリエの実家であるハルク男爵家。
盟友シュタインのソーマ騎士爵家。
あとは、サリエが難病を治療してあげた縁のあるリリーナの実家、ハイルディン侯爵家ぐらいか。
他の貴族家とも交流は少なからずあるが、せいぜい合同結婚式や叙爵式の際に挨拶を交わした程度である。
身分を明かしたところで、トントン拍子に話が進むとは思えない。
むしろ、事情聴取とかで時間を取られたり目立ったりしてしまうリスクの方が高い。
かと言って、平民である『Dランク冒険者タケシ』のままでは、衛兵隊の上層部はおろか、一般兵からもろくに取り合ってもらえないだろう。
「こんにちはー……」
俺は冒険者ギルドの扉を開けると、中の様子を窺うようにしながら入っていく。
いつもは『Bランク冒険者タカシ』として堂々と入っているが、今の俺は『Dランク冒険者タケシ』だからな。
少し自信なさげな態度を取るのが正解だろう。
そうして入っていった俺たちの前には――
「ねぇっ! 例の処理は!?」
「ああ……! 今しているところだっ!」
「早くしないと……! 次の仕事が溜まっているわよっ!!」
「わかっているっ!! それよりも、あっちの件は大丈夫なのか!?」
「大丈夫じゃないわ! 頭領の行方だけが掴めない!!」
「なんだとっ! ふざけるなっ!!」
「いいから、そっちはそっちで処理を進めて! 頭領の捜索は、こっちで何とかするからっ!!」
――怒号が飛び交っていた。
どうやら、何かしらの大事件が発生して冒険者ギルドが大忙しとなっているらしい。
(ふむ……。『頭領』がどうとか言っていたな……。リオンを探しているのか……?)
もしそうなら、悪いことをした。
彼は俺が海上へ転移させ、激しい戦闘の末に倒したのだ。
その後は海岸付近に一時放置したり、回収後には『猫のゆりかご亭』で介抱したりした。
今は俺の『影棺』の中に収納している。
「あの……」
「あんた誰よ!? 今は忙しいの! 見て分からない!?」
受付嬢に声を掛けたら、凄い剣幕で睨まれた。
どう見ても緊急事態っぽいのに、申し訳ないことした……。
だが、その緊急事態の内容がダダダ団絡みっぽいからな。
ここは伝えるべき情報をしっかりと伝えなければならない。
「いえ、すみません。ちょっと聞きたいことがありまして……」
「はぁ? 何なの? もうっ……!」
受付嬢がようやく聞く態勢に入ってくれた。
しかし、そのタイミングで俺の背後にいた冒険者の男が割り込んでくる。
「おいおい、待てやっ! 順番を守れやっ! まずは俺たちが先に並んでいたんだぞっ!!」
「えっ? いや、あの……」
筋骨隆々の男が声を荒げる。
どうやら、俺は彼の順番を抜かしてしまったらしい。
「見て分かるだろ! 今、ギルドは忙しいんだ! 落ち着くまで少し待ってやろうっていう気配りはねぇのか!!」
「いや、でもですね……」
荒くれ者っぽい冒険者のくせに、意外と常識的なことを言うじゃないか……。
俺としては、彼に構わず話を進めたかったのだが……仕方がない。
「すみません。実は急ぎの用事がありまして……。先に受付嬢さんと話をさせてもらえないでしょうか?」
「ああ? てめぇ、舐めてんじゃねえぞっ! 順番を認識した上で、それでも自分が先だって言うのかっ!!」
「いや、しかしですね……」
面倒臭い男だな……。
いや、彼視点ではごもっともな正論を言っていることは分かる。
だが、こっちはこっちで事情があるんだよ……。
「お前みたいなヤツがいるから、秩序が乱れるんじゃねえかっ! そもそも、昨晩の『ダダダ団の追撃掃討作戦』に参加すらしなかった腰抜け野郎が偉そうな口叩くなっ!!」
……ん?
ああ、なるほどな。
昨晩、俺たち『ダークガーデン』の活躍により、ダダダ団は壊滅的な被害を受けた。
しかし、全滅ではなかった。
そこに、異変を察知した冒険者ギルドが主導して『ダダダ団の追撃掃討作戦』とやらが行われたのだろう。
なかなかに迅速で優秀な判断を下していたんだな。
「分かったか? なら、さっさと後ろに並び直せよっ!!」
「いや、でも……」
「うるさいっ! 黙れやっ! いいから、どけっ!!」
「ぐっ……」
俺は肩を押されて、無理やり冒険者ギルドの外に押し出された。
ニムとモニカも、慌てて外に出てくる。
「あ、あの……。どうしましょうか?」
「う~ん……。困ったねぇ……」
ニムとモニカが心配そうに俺の顔を見つめてくる。
俺はもちろん、彼女たちもその気になれば実力で押し通るのは簡単だ。
しかし、それをすると目立ってしまう。
「これは弱ったな……。う~ん……」
何とか冒険者ギルドにリオンの身柄を引き渡さないと……。
それも、できる限り穏便で目立たないやり方で。
俺は腕を組んで思案を始めるのだった。
ダダダ団の頭領であるリオンを引き渡すためだ。
彼は俺の影魔法『影棺』に収納している。
別に彼を衛兵に引き渡しても良かったのだが、冒険者ギルドの方がスムーズに事が運びそうだと判断した。
(貴族としての『タカシ=ハイブリッジ男爵』とこの街の間に、あまり接点はないからな……。『身分さえ明かせば即座に信用される』とまではいかないだろう……)
俺が深い交流を持っている貴族家は限られている。
リーゼロッテの実家であるラスターレイン伯爵家。
サリエの実家であるハルク男爵家。
盟友シュタインのソーマ騎士爵家。
あとは、サリエが難病を治療してあげた縁のあるリリーナの実家、ハイルディン侯爵家ぐらいか。
他の貴族家とも交流は少なからずあるが、せいぜい合同結婚式や叙爵式の際に挨拶を交わした程度である。
身分を明かしたところで、トントン拍子に話が進むとは思えない。
むしろ、事情聴取とかで時間を取られたり目立ったりしてしまうリスクの方が高い。
かと言って、平民である『Dランク冒険者タケシ』のままでは、衛兵隊の上層部はおろか、一般兵からもろくに取り合ってもらえないだろう。
「こんにちはー……」
俺は冒険者ギルドの扉を開けると、中の様子を窺うようにしながら入っていく。
いつもは『Bランク冒険者タカシ』として堂々と入っているが、今の俺は『Dランク冒険者タケシ』だからな。
少し自信なさげな態度を取るのが正解だろう。
そうして入っていった俺たちの前には――
「ねぇっ! 例の処理は!?」
「ああ……! 今しているところだっ!」
「早くしないと……! 次の仕事が溜まっているわよっ!!」
「わかっているっ!! それよりも、あっちの件は大丈夫なのか!?」
「大丈夫じゃないわ! 頭領の行方だけが掴めない!!」
「なんだとっ! ふざけるなっ!!」
「いいから、そっちはそっちで処理を進めて! 頭領の捜索は、こっちで何とかするからっ!!」
――怒号が飛び交っていた。
どうやら、何かしらの大事件が発生して冒険者ギルドが大忙しとなっているらしい。
(ふむ……。『頭領』がどうとか言っていたな……。リオンを探しているのか……?)
もしそうなら、悪いことをした。
彼は俺が海上へ転移させ、激しい戦闘の末に倒したのだ。
その後は海岸付近に一時放置したり、回収後には『猫のゆりかご亭』で介抱したりした。
今は俺の『影棺』の中に収納している。
「あの……」
「あんた誰よ!? 今は忙しいの! 見て分からない!?」
受付嬢に声を掛けたら、凄い剣幕で睨まれた。
どう見ても緊急事態っぽいのに、申し訳ないことした……。
だが、その緊急事態の内容がダダダ団絡みっぽいからな。
ここは伝えるべき情報をしっかりと伝えなければならない。
「いえ、すみません。ちょっと聞きたいことがありまして……」
「はぁ? 何なの? もうっ……!」
受付嬢がようやく聞く態勢に入ってくれた。
しかし、そのタイミングで俺の背後にいた冒険者の男が割り込んでくる。
「おいおい、待てやっ! 順番を守れやっ! まずは俺たちが先に並んでいたんだぞっ!!」
「えっ? いや、あの……」
筋骨隆々の男が声を荒げる。
どうやら、俺は彼の順番を抜かしてしまったらしい。
「見て分かるだろ! 今、ギルドは忙しいんだ! 落ち着くまで少し待ってやろうっていう気配りはねぇのか!!」
「いや、でもですね……」
荒くれ者っぽい冒険者のくせに、意外と常識的なことを言うじゃないか……。
俺としては、彼に構わず話を進めたかったのだが……仕方がない。
「すみません。実は急ぎの用事がありまして……。先に受付嬢さんと話をさせてもらえないでしょうか?」
「ああ? てめぇ、舐めてんじゃねえぞっ! 順番を認識した上で、それでも自分が先だって言うのかっ!!」
「いや、しかしですね……」
面倒臭い男だな……。
いや、彼視点ではごもっともな正論を言っていることは分かる。
だが、こっちはこっちで事情があるんだよ……。
「お前みたいなヤツがいるから、秩序が乱れるんじゃねえかっ! そもそも、昨晩の『ダダダ団の追撃掃討作戦』に参加すらしなかった腰抜け野郎が偉そうな口叩くなっ!!」
……ん?
ああ、なるほどな。
昨晩、俺たち『ダークガーデン』の活躍により、ダダダ団は壊滅的な被害を受けた。
しかし、全滅ではなかった。
そこに、異変を察知した冒険者ギルドが主導して『ダダダ団の追撃掃討作戦』とやらが行われたのだろう。
なかなかに迅速で優秀な判断を下していたんだな。
「分かったか? なら、さっさと後ろに並び直せよっ!!」
「いや、でも……」
「うるさいっ! 黙れやっ! いいから、どけっ!!」
「ぐっ……」
俺は肩を押されて、無理やり冒険者ギルドの外に押し出された。
ニムとモニカも、慌てて外に出てくる。
「あ、あの……。どうしましょうか?」
「う~ん……。困ったねぇ……」
ニムとモニカが心配そうに俺の顔を見つめてくる。
俺はもちろん、彼女たちもその気になれば実力で押し通るのは簡単だ。
しかし、それをすると目立ってしまう。
「これは弱ったな……。う~ん……」
何とか冒険者ギルドにリオンの身柄を引き渡さないと……。
それも、できる限り穏便で目立たないやり方で。
俺は腕を組んで思案を始めるのだった。
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